失恋中の俺は姫と公国再建中

ルーデンス

第三話 アシリア女王陛下万歳 (前編)(脚本)

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〇西洋の街並み
  俺達はトルメニア公国の首都エバンスに到着したが何故か人々は悲しみに沈んでいる
アシリア姫「ど、どうした何故皆、何を騒いでおるのじゃ」
町人2「崇拝する国王夫妻が何者かに殺されちまってさ」
アシリア姫「な、なに?父上と母上が?」
神座慎吾「兎に角、宮殿へ行きましょう姫」
アシリア姫「そうじゃな、急ごう」

〇西洋の城
アルバート国務大臣「姫君・・・」
アシリア姫「おぉ、アルバートの爺・・・一体何が?」
アルバート国務大臣「申し訳ございません。私がお側に付いてながら・・・」
アシリア姫「兎に角、話は中で聞こう」

〇謁見の間
  宮殿の謁見の間には若い軍人が佇んでた
コリンズ司令官「ひ、姫様」
アシリア姫「コリンズ司令官、大義。事件の経緯を聞こう」
コリンズ司令官「それより姫、マクシミリアン伯爵との婚約は如何なりましたでしょうか」
アシリア姫「破棄したぞ」
コリンズ司令官「よ、よくご無事で」
アシリア姫「それより、事件の経緯を申してみよ」
コリンズ司令官「一昨日の朝セントエレニア教会内でお二人の亡骸が女中達により発見されました」
アシリア姫「あそこは、我がルドルフ家の教会」
アルバート国務大臣「左様でございます、許可がない限り入れません」
コリンズ司令官「ところで、その町人の身なりは如何されたのですか姫様」
アシリア姫「ダフィットの奴目がわが領内まで入り込みわらわを追い掛け回しての」
コリンズ司令官「それは、許せん・・・至急討伐隊を編成し追い返しましょう」
アルバート国務大臣「そんな事より犯人の捕縛が先では?コリンズ」
コリンズ司令官「しかし、犯人の目星が・・・ここは警察に任せたら如何かと」
アルバート国務大臣「今朝、妃の召使であるヘンリーが許可なく町を出ていったそうでございます姫様」
アシリア姫「そうか、それならコリンズ司令官、ヘンリーを捕縛しろ、抵抗するなら斬り殺してもかまわん よいな」
コリンズ司令官「ハッ、では行ってまいります」
神座慎吾「姫様、この度は何と申し上げてよいのやら・・・」
アシリア姫「おぉ、慎吾・・・いやお主達のお蔭で戻る事ができ葬儀にも間に合った、大儀である」
神座慎吾「お褒めに預かり恐悦至極」
アシリア姫「褒美の金はアルバートに言ってあるからな心配無用じゃ・・・そうじゃ、ゆっくりと我が町エバンズを楽しんでいってくれ」
  その時、俺のスマホが鳴り響いた
神座慎吾「ハイ」
早乙女綺羅の声「転送場所はトルメニアのセントエレナ教会祭壇前に設定しましたから」
神座慎吾(全く言いたい事だけ言って切りやがって)
アシリア姫「今のはなんじゃ・・・魔術か?」
神座慎吾「まぁ、そんなものです・・・それより、セントエレニア教会を見せてくれませんか?」
アシリア姫「ダメダメ、あそこは普段でも国王関係者以外は立ち入り禁止じゃ」
アルバート国務大臣「それに今では国王夫妻の殺された場所となってしまっておるからのう」
神座慎吾「そこを何とか・・・俺は姫をお約束通りトルメニアまでお送りしてきたんですよ」
アシリア姫「仕方ない、暗殺者を捜す目的なら許可しよう」
神座慎吾「ええっ!召使いのヘンリーが犯人でしょ」
アルバート国務大臣「ヘンリーは容疑者の一人にすぎんからのう」
アシリア姫「黒幕がいるかもしれんからな・・・それを探るなら」
神座慎吾「分かりました・・・面白そうですね」
アシリア姫「ところで、用意する部屋は一部屋でいいか?」
神座慎吾「二部屋でお願いします」
  俺の言葉を聞くとアリシア姫は不思議そうに首をかしげた
アシリア姫「本当にソフィアはそちの許嫁なのか?」
神座慎吾(親密になると戻る時の別れが辛いからな)
神座慎吾「まだ両親に紹介してませんので・・・」
アシリア姫「他に女がいると言う訳か・・・道理でキスが上手い訳よのう」
神座慎吾「恐れ入ります」

〇貴族の応接間
神座慎吾(しかしまるで雲を掴むような話だよな、全く右も左も分からない人間が捜査なんて)
  俺が部屋で休んでるとソフィアがやってきた
ソフィア「あの、慎吾」
神座慎吾「どうしたの?部屋が気に入らないのかい」
  ソフィアは烈しくかぶりを振った
ソフィア「と、とんでもない・・・町に出て買い物に行ってもいいですか?」
神座慎吾「買い物なら召使にやらせれば?」
ソフィア「実はした事がないんです・・・買い物するの。良かったら二人で・・・」
神座慎吾「ゴメン、今はチョット・・・そうそうお金はアルバートさんから貰えるみたいだよ」
ソフィア「あっ、そうですよね・・・ごめんなさいお忙しいところを邪魔して、行って来ますね私」

〇西洋の街並み
  私は少し気落ちしながら町に出た
ソフィア「折角だから慎吾と二人で散策したかったのに・・・ダメダメ、慎吾の傍にいるだけで満足しなきゃ私」
  でも、町の賑わいがそんな私の気持ちを吹き飛ばしてくれた
ソフィア「わぁ、綺麗な生地だこと」
町娘5「いらっしゃいませー何か生地をお探しですか?」
ソフィア「えぇ」
町娘5「これなんかいかがでしょう?」
ソフィア(そうだ、この生地で慎吾にマフラーを・・・)
ソフィア「ありがとういただくわね」
町娘5「毎度ありがとうございます。旅人さんですか?」
ソフィア「ええ、アリシア姫の所に逗留しているんです」
町娘5「王位継承に関係して逗留されているの?」
ソフィア「いえ違うの、ひょんなことから旅先でアリシア姫と出会って・・・」
町娘5「ねぇ、次期国王・・・お城では誰になるか・・・まさかヘンリーじゃぁないんでしょ」
ソフィア「ヘンリー?」
町娘5「何時も飲んだくれて、女とみればちょっかいを出す、あのヘンリー・・・自分では次期国王だって息巻いてるけどさ」
ソフィア「わ、私そういう事に疎くて・・・先を急ぎますから」
  暫くすると私の耳に料理教室の呼びかけの声が聞こえてきた
町娘6「料理教室をやってます・・・如何ですか」
町娘6「如何ですか、料理習いませんか?」
ソフィア(そうだ、料理なんてちゃんと習ったことなかったわ・・・慎吾にちゃんとした料理を出せるようにしないと)
ソフィア「すみません、家庭料理も教えてくれるんですか?」
町娘6「勿論ですとも・・・宜しければ今から教室に来られます?」
ソフィア「えぇ」

〇暖炉のある小屋
町娘6「さぁ、お入りくださいな」
町娘6「先ずは、簡単なパンケーキを作りましょう」
ソフィア「分かったわ」
  ソフィアが腕まくりすると腕輪が露わになった
町娘6「ルドルフ家の腕輪じゃぁないですか」
ソフィア「母の腕輪の事?」
町娘6「あなた様は国王に関係した・・・まさかヘンリーの関係者ではないでしょうね」
ソフィア「違うわ、そのヘンリーってどんな人?」
町娘6「お后様がお若かった頃、魔族の王子に乱暴されて生まれた奴、国王は召使いとしてそばに置き厳重に監視してたのよ」
ソフィア「まぁ、お后様可哀想に」
町娘6「でもね、父親が魔物だから殺すと魔物との争いになるそうなの」
ソフィア「本当にヘンリーが殺したのかしら?」
町娘6「じゃぁどうして逃げたのかしら?」
ソフィア「そうねぇ」
町娘6「ゴメンなさい、料理作りましょう」
ソフィア「ハイ」

〇怪しげな酒場
  俺が町のパブに入ると、そこでは町人達が盛んに次期国王の噂をしていた
町人「イヤ、俺は親戚筋のバートラム王子が次期国王になると思うね」
町人2「けどよう、血筋から言うとアリシア姫だろう?」
町人「フン、あんな冷酷な女に国王が務まるわけねぇバカ」
町人2「バカとなんだバカとは」
神座慎吾(シメタ、この喧嘩を収めてヘンリーの情報を聞いてみよう)
神座慎吾「まぁ、熱くならず・・・そうだ、皆に一杯奢るぜ」
  その声を聞いた喧嘩していた連中が俺の傍に近寄ってきた
町人「そうかい、ゴチになるぜ」
町人2「お兄さんは気前がいいねぇ」
町人「ひやー、うめい」
町人「おめぇさんは、誰だと思う?」
神座慎吾「ヘンリーって奴も候補の一人だろ?」
  ヘンリーの名を聞くと、皆急に下を向き押し黙り、十字を切った
町人「そ、そうだ俺、これから仕事があるからよ、御馳走さん」
町人2「この町でヘンリーはご法度だぜ、旦那」
居酒屋の主人「さっ、もういいだろ、出てってくれ」

〇西洋の街並み
  俺は居酒屋を追い出され外を歩き始めた
神座慎吾(なんだよ、ヘンリーの名を聞くと皆口を閉ざして)
町娘5「ねぇ、バートラム王子見なかった?」
町娘4「えぇっ、来てるの?どこどこ教えて」
町娘5「あっ、見つけた向こうよ!!」
町娘4「待って、私も行く」
神座慎吾「凄い人気だなバートラム王子は」
  その時、町の娘達に囲まれた一組の男女が近づいてきた
バートラム王子「すぐ近くに洒落た店があるんだ、お茶でもどう?」
町娘1「いいわよ」
神座慎吾(この男がバートラム王子かイケメンでモテモテだな)
神座慎吾「す、すみません。写真を」
バートラム王子「えっ?写真」
神座慎吾「ありがとうございます・・・すごい人気ですねバートラム王子」
バートラム王子「君は?」
神座慎吾「神座慎吾、アリシア姫の御厄介になっております」
バートラム王子「そうかい、本家のアリシア姫の客人かバートラムです。よろしくね!」
町娘1「ねぇ、バート早く行こうよ・・・私疲れちゃったわ」
バートラム王子「ごめんね、チョット待っていてくれないかな?」
神座慎吾「王子が町人服を・・・御忍びですか」
町娘1「ねぇ、バート・・・」
バートラム王子「別に他意はないよ、僕は旅が好きなんだ」
神座慎吾「国王夫妻にお会いしたんでしょ」
バートラム王子「オイオイ、今回の国王夫妻暗殺と僕は無関係だよ」
神座慎吾「巷の噂では、次期国王にあなた様を推す声が高こうございますが」
バートラム王子(そうさ、今まで分家の地位に甘んじてたけど国王がいなくなれば分家でも男子の俺様が国王になるのが当然さ)
バートラム王子「だからって、次期国王になる私を疑うのは失敬なんじゃないか」
神座慎吾「疑うなんて、とんでもございません。ただあなた様は関係者の一人ですから」
バートラム王子「失敬にも程がある。国王夫妻にお会いしてアリシア姫との縁組を正式に認めて下さるようお願いした僕を疑うのかね君は」
  その時、俺のスマホに着信があった
神座慎吾「ハイ、神座」
吉澤美香の声「ヤッホー、久しぶり元気?慎吾」
神座慎吾「み、美香どうして?」
吉澤美香の声「どうでもいいじゃん・・・それよりさぁ、同棲してた頃の部屋の鍵変えてない?」
神座慎吾「まぁ、美香が出ていった時と変わらないけど」
早乙女綺羅の声「神座さん、早乙女ですけど転送は明後日にな・・・」
吉澤美香の声「よかった~じゃぁ慎吾が帰ってくるまで部屋を使わせてね」
早乙女綺羅の声「チョット、吉澤さん話の途中ですから」
神座慎吾「場所はどこ?」
早乙女綺羅の声「セントエレニア教会の祭壇最前列です。当日焦点を合わせますから動かないで下さい」
神座慎吾「その日は戴冠式で・・・」
神座慎吾(その日は戴冠式で入れないんだよな・・・どうしようか)

〇貴族の応接間
  俺は疲れて、ソファーにうつ伏し寝ていた
ソフィア「慎吾・・・もうしょうがないわね。風邪ひくわよ」
  ソフィアは慎吾に手編みのマフラーを掛けた
神座慎吾の声「美香・・・むにゃむにゃ」
ソフィア「美香って誰?・・・考えてみれば慎吾の事何も知らないわ私・・・どうしよう」
ソフィア「そうよ、慎吾を信じると決めたからついてきたんじゃない私・・・気持ちをしっかり持たなきゃ」

〇屋敷の書斎
オズワルド「な、何ですと村長、ヘンリーが逃げた」
村長「そうじゃ、ここに来たら報告をな」
オズワルド「も、もちろんですとも」
オズワルド(ふぅ、本当に息子の奴が国王陛下夫妻を殺したのか?・・・馬鹿な事を)
ヘンリー「邪魔するぜオッサン」
オズワルド「へ、ヘンリー」
ヘンリー「驚く事はねぇぜ、オッサンよ」
オズワルド「本当にやっちまったのか国王夫妻を」
ヘンリー「あぁ、中々俺様を次期国王としなかったしな」
オズワルド「な、何て事を」
ヘンリー「そんな事より魔物達に召集をかけてくれねぇか」
オズワルド「魔物なんて世迷言・・・信じてるのか」
ヘンリー「何だい?そりゃ」
オズワルド「ワシは罪を犯して逃亡の果てこの時空にたどり着いた元時空管理局員さ」
ヘンリー「俺様は后と魔物との間に出来た子と聞いてるがな」
オズワルド「儂が宮廷に召使を見繕って差し出そうとした中にかわいい女がいてな、つい手を出しちまった、その女がまさか后になるとはな」
ヘンリー「と言う事は、俺様は・・・」
オズワルド「そう、儂の息子だよヘンリー」
ヘンリー「ち、違う俺様は魔物と母とに出来た子で次期国王だ」
オズワルド「とにかく、何処かに身を隠して一生を過ごせ」
  オズワルドはヘンリーの前に財産を差し出した
ヘンリー「俺には夢がある、国王になる夢が・・・何人とも俺様の夢を邪魔する奴は許さねぇ」
オズワルド「ば、馬鹿な真似はよせヘンリー、父を殺すのか」
ヘンリー(何か見えたが・・・まぁいいか魔物は無理でもダフィットが後ろ盾だからな)

〇貴族の応接間
ソフィア「おはようございます。神座様」
神座慎吾(あれ?今朝は随分と他人行儀だなソフィア)
神座慎吾「お、おはようソフィア、何かあったのかい?」
ソフィア「別に何も」
神座慎吾「そうか、慎吾でいいよ。何時ものように」
ソフィア「許嫁では無いのですから、これからは礼儀はわきまえようと思いますわ」
神座慎吾「そ、そうかそれならいいんだが」
神座慎吾「ところで、町は面白かったかい?」
ソフィア「ええ、料理教室に通う事にしましたわ」
神座慎吾(ソフィアの手料理が食べられる訳か・・・楽しみだな)
ソフィア「それはそうと町では、ヘンリーを殺すと魔物との戦争になるって噂ですわ」
神座慎吾「な、なんだってー!至急姫に報告して追跡隊に連絡しなければ」

次のエピソード:第四話 アシリア女王陛下万歳(後編)

コメント

  • 想像を超える複雑な展開で凄いですね‼
    女性も、実は姉妹の2人だけでなく電話の向こうにもいるし…
    またヘンリーがダブル父殺しという運命的な展開もあって、話がどんどん因果で絡んでいくのがシナリオを学んでる方はさすがと感心いたしました!!

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