さつらもん

Saphiret

エピソード5(脚本)

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〇綺麗な部屋
  うおおおお!
  無間がものすごい形相で咆哮した!
田中真司(たなかしんじ)「くっ・・・!」
  その聞くに堪えない音響に歯を食いしばる。
田中真司(たなかしんじ)(なんだこれ・・・ まるで音の刃物みたいだ!)
  そのすさまじさに思わず目を閉じる
田中真司(たなかしんじ)(耳だけじゃなく、頭の芯まで痛めつけられそうだ)
  わはははは
  もう怖気づいたか、たわいもない
  どれ、もう少し遊んでやろう
  一瞬、叫び声が止み、おそるおそる目を開けてみる
田中真司(たなかしんじ)「わっ!?」
  そこにはむくむくと膨らんでいく無間の姿があった
  無間はまるで結界など無いかのように、見る間に巨大化を続け、一度天井まで届いた。
  ふふふふふふふふ
  愉快や、愉快
  ゆらゆらとしながら、舌なめずりしてこちらを見下ろしている
田中真司(たなかしんじ)(な、なんだこれ・・・ 無間って、さっきこんなに大きかっただろうか)
  小僧、貴様のような不心得者に吾をどうにかできるとでも思っているのか。
田中真司(たなかしんじ)(この勢いでは・・・結界を破かれてしまうんじゃないのか!?)
  わはははは・・・
  意気地なしめ。そら、魂がしぼんでおるぞ
  すると無間は蛇が滑り降りるように、にゅーっと顔を近づけてきた。
  あっという間に距離を詰められ、鼻先でニヤリと笑われた
田中真司(たなかしんじ)「うっ!」
  その禍々しさに背中がぞわりと震えた
  その張りぼての刀すら貴様には荷が重かろう。持ち上げることすらかなわん
田中真司(たなかしんじ)(あ、そう言われてみれば・・・)
田中真司(たなかしんじ)(さっきから本当に重たくて持ち上がらない)
  身の程を教えてやる。
  その命と引き換えにな
  そういうと無間はぐるりと僕の周りを一周し
  その枯れ枝のような両手を軋ませながら僕の首に巻き付けてくる
田中真司(たなかしんじ)「ひっ・・・!」
  あまりの恐怖に思わず腰が引ける
  その時・・・
殺裏比可理(さつうらひかり)「田中真司、引くんじゃないよ」
田中真司(たなかしんじ)「札浦さん! 大変です、結界が・・・無間が・・・!」
殺裏比可理(さつうらひかり)「結界は張ってある。緩めただけだって言ったでしょ」
田中真司(たなかしんじ)「え、でも無間があんなに」
殺裏比可理(さつうらひかり)「しっかり自分の目で見てごらん!」
  札浦さんに言われてもう一度無間を見てみると
田中真司(たなかしんじ)「あ・・・!」
  御札の塊からこっちに手を伸ばそうとして、空を掻いている無間の細い腕が見えた
田中真司(たなかしんじ)「えっ、どうして・・・」
殺裏比可理(さつうらひかり)「無間が何か言ってきても惑わされちゃだめ」
殺裏比可理(さつうらひかり)「田中真司を取り込もうとして言葉巧みに騙しているだけ」
殺裏比可理(さつうらひかり)「自分の信じるべきをしっかり見極めないと相手のいいように取り込まれるよ」
  そう言われて改めて見てみると無間の体は
  相変わらず部屋の隅で、文字の書かれた御札でがんじがらめのままだ
殺裏比可理(さつうらひかり)「さあ、刀をしっかり持って!」
田中真司(たなかしんじ)「あ、はい!」
田中真司(たなかしんじ)(あ、さっきまであんなに重たかったのに・・・)
  ぬうう・・・
  小僧、生意気な!
殺裏比可理(さつうらひかり)「それじゃあ、田中真司」
殺裏比可理(さつうらひかり)「無間の正体を暴こうか」
田中真司(たなかしんじ)「どうやって、聞き出しましょう?」
殺裏比可理(さつうらひかり)「この無間はストーカーをしていた男に憑りついていたところを捕まえたんだけど・・・」
殺裏比可理(さつうらひかり)「そもそもなぜ、無間という凶つ者が生じたのか、その因縁は単純ではないだろうね」
殺裏比可理(さつうらひかり)「とりあえず『どこから来たか』とでも聞いて、反応を見るか」
田中真司(たなかしんじ)「は、はい!」

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