ジビエの姫

山本律磨

ワイルドキングダム!(前編)(脚本)

ジビエの姫

山本律磨

今すぐ読む

ジビエの姫
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇豪華な部屋
綾「・・・」
姫子「そのナイフ、お気に召しまして?」
綾「す、すみません。勝手に触って」
綾「使い込まれて黒ずんで、立派なナイフだなって思って」
姫子「お褒めに預かり」
綾「・・・」
姫子「何か?」
綾「やっぱりよく見ると猟師さんの家ですね」
綾「ファッション雑誌に隠すように地形図や物々しいファイル」
綾「あ、中は見てませんよ」
姫子「鹿の首と猪の剥製は地下室に飾ってあるわ」
姫子「100体ほど」
綾「・・・」
姫子「冗談よ」
姫子「私ならやりかねないって思ったでしょ」
綾「・・・はい」
姫子「正直でよろしい」

〇お化け屋敷
  『それにフィールドワークのデータはもう全部デジタル化してあるわ』

〇豪華な部屋
綾「さ、さすがです」
姫子「足跡、食痕、糞の痕、ヌタ場」

〇山の中
姫子「そしてここが彼らの幹線道路」
綾「けもの道、ですね」

〇豪華な部屋
姫子「私は犬を使わないから彼らの生活パターンを読んで先回りしてるの」

〇山の中
綾「うわ!フルCG!」
姫子「それっぽいでしょ」
  『うわ!シカCG!』
  『分かりやすいでしょ』
  『エサ食べてる。リアル~♪』
  『昨年のデータに照らし合わせると、ここを含めあと五、六か所は今年の餌場が手つかずで残ってるわ』
姫子「翻って猟友会の捕獲数を見るに、弓引山の総頭数の三割も獲ってない」
姫子「多分年明けにも役場から大規模な駆除妖精が出るはず」
綾「・・・」

〇豪華な部屋
姫子「さあ・・・」
姫子「・・・ジェノサイドが始まるわよ」
綾「・・・!」
姫子「・・・」
綾「あ、いや、あの、その、わ、わた、私!」
綾「い、い、今、あ、あ、汗くさいんで!」
姫子「お風呂使って頂いてよろしくてよ。今日はパリから取り寄せたソープもあるわ」
綾「い、いえ、強い香りは猟の邪魔になりますので!」
姫子「あらそうなの?勉強になるわ」
綾「か、か、からかわないで下さい。知ってるくせに」
姫子「ふふ・・・」
綾「・・・」
姫子「ねえ。彼女美しかったと思わない?」
綾「え?誰ですか?」
姫子「鹿。ちゃんと見てなかったの?」
綾「も、勿論見ましたよ。顔なんて背けません」
綾「そうですね。毛並みもとても綺麗で・・・」
姫子「目よ」
綾「・・・目?」
姫子「彼女だけじゃないわ」
姫子「みんな最後の最後まで生きる事を諦めない」
姫子「足掻いて足掻いて、最後まで生き切る」
姫子「開き直っていじけて生きてる、下品な人間よりよほど美しいわ」
姫子「その生き抜く必死さ、美しさを前にして男が偉いだの女の時代だの」
姫子「まして復讐なんて・・・」
姫子「なにもかも恥ずかしくなりませんこと?」
綾「・・・」
綾「どうせ私は美しくないんで・・・」
姫子「あらそう?」
姫子「じゃあ、私の見立て違いだったかしら」
綾「わ、私だって、今のすっぴんの姫子さんの方がよっぽど上品に見えますけど!」
綾「派手な服でしょ。クドイ化粧でしょ。芝居がかったカラコンでしょ。あとあれだグッドルッキングガイとか超キモイし!」
綾「外国の石鹸も匂いがキツくて苦手です!」
綾「べ、別に開き直ってなんて」
綾「げほっ!げほげほげほっ!」
姫子「・・・」
綾「・・・」

〇二階建てアパート

〇本棚のある部屋
綾「・・・」
綾「開き直ってなんて・・・」
綾「いじけてなんて・・・」

〇教室の教壇
  オトコ女!
  ネクラ!
  ブス!

〇本棚のある部屋
綾「弱肉強食・・・か」
  Tobe・・・

次のエピソード:ワイルドキングダム!(後編)

成分キーワード

ページTOPへ