幸せの味

夏目心 KOKORONATSUME

4 師匠の秘密(脚本)

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〇洋館の廊下
桐宮霧斗「あ、花恋さん、お早う御座います」
鮫島花恋「お早う霧斗君。これからお弁当作り?」
桐宮霧斗「はい。今から厨房で仕事するつもりです」
鮫島花恋「そっか!霧斗君、良かったら私に手伝わせてくれない?まだ時間有るから、やりたくてウズウズしてるのよ!」
桐宮霧斗「そのやる気、師匠が見たら大喜びですよ。分かりました。一緒にやりましょう」
「やめてぇぇぇ!!!」
桐宮霧斗「今の悲鳴、サヤカちゃん!?」
鮫島花恋「何か有ったのかしら!?霧斗君、行きましょう!!」
  朝方から聞こえたサヤカちゃんの悲鳴。俺達は嫌な予感がして急いでサヤカちゃんの元に向かった。

〇城の客室
鮫島サヤカ「止めて・・・止めてってば!!」
工藤信宏「良いから食え!!僕が作った高級のスープだぞ!!食えないなら無理矢理!!」
鮫島花恋「貴方達!一体何をしてるの!?」
工藤信宏「あ、花恋お嬢様、今サヤカお嬢様にスープを飲ませようと」
鮫島サヤカ「お姉ちゃぁぁん!!!」
鮫島花恋「ちょっと工藤君!?サヤカが嫌がってるじゃ無い!!無理矢理飲ませようとした訳!?」
工藤信宏「そのガキが偏食なのが行けないんですよ!!そこのぽっと出の料理は食えるのに、超一流で在る僕の料理が食えない」
工藤信宏「こんなふざけた話が有りますか!?僕はその雌ガキに僕の努力を否定されてるんですよ!!」
鮫島花恋「何て馬鹿な事!そんな事してサヤカが食を怖がるなんて事に成ったらどう責任取る気なの!!」
工藤信宏「そもそも!貴方方金持ちでしょ!?金持ちなら腕利きの医者に偏食治して貰う事位出来るでしょ!何でやろうとしないんですか!?」
桐宮霧斗「おい、言って良い事と悪い事が有るだろ。世の中治したくても治せない人は沢山居るし、それで責められるのはお門違いだろ」
工藤信宏「黙れぽっと出!!ロクな努力もして無い奴が僕に勝つだなんて、僕は超有名料理店、夏目ホールディングスのエースだったんだぞ!!」
工藤信宏「一人前に成る為に日々努力して、此処に呼ばれたのも僕の腕を見込まれてだ!」
桐宮霧斗「ロクな努力もして無いね。あんたがどんな苦労して来たかなんて興味は無いけど、俺も10年間師匠の下で頑張ったけど、」
桐宮霧斗「自慢したいと思った事は無いな」
工藤信宏「はぁ?どうせお前の師匠も大した事無いだろ!?どうせそこらの素人共と大差無いだろうに!!」
桐宮霧斗「おい、別に俺の悪口なら好きなだけ言って良いが、俺の師匠、佐藤博之さんの悪口言おうってなら、覚悟して貰うからな」
工藤信宏「お、おい、今何つった!?」
桐宮霧斗「え?だから、師匠の悪口言うなら覚悟しろって」
工藤信宏「だから!お前の師匠の名前だよ!!」
桐宮霧斗「だから、佐藤博之さんだよ」
工藤信宏「そ、そんな馬鹿なぁぁ!!こんなぽっと出が、佐藤博之オーナーの弟子だってぇぇぇ!!!」
桐宮霧斗「え?何でそんなに驚いてる訳?」
鮫島花恋「霧斗君知らないの!?佐藤博之さんは、超一流でしか入れない夏目ホールディングスのオーナーで、料理の腕で彼の右に出る者は」
鮫島花恋「居ないとまで言われた伝説の料理人よ!私が14歳の時にある日突然電撃引退して、その後の消息は誰にも掴めて無いって!」
工藤信宏「おいぽっと出。夏目ホールディングスのオーナーは僕でさえ成るのが難しくて、成れるのはほんの一握りの逸材だけだ」
工藤信宏「その人の教え子だってなら何で早く言わないんだよ!!?」
桐宮霧斗「い、いや、そんな事言われても、師匠からそんな話一度も聞いた事無かったし。そもそもそんなに凄い人だったの??」
工藤信宏「当たり前だ!!佐藤博之さんの名前を知らない料理人は一人も居ない!お前だけだぞ!!」
桐宮霧斗「そ、そんな事言われてもな・・・・・・」
鮫島花恋「霧斗君聞いて。私達が貴方に初めて会ったあの日、貴方に作って貰ったおにぎりの味、何処かで食べた事が有る味だったの」
鮫島花恋「霧斗君の発言でやっと思い出した。あれは佐藤博之オーナーの料理の味だって。子供の頃父に連れられて行ったお店で、」
鮫島花恋「一度だけ食べた事が有ったんだけど、まさか貴方が佐藤さんの弟子だったなんて!しかもあの人が佐藤博之さんだったなんて、」
鮫島花恋「全然気付かなかったわ!!」
桐宮霧斗「な、何だろう、凄く現実味が湧かない」
工藤信宏「おいあんた、霧斗って言ったよな。何で佐藤オーナーは夏目ホールディングスを辞めたか知ってるか?」
桐宮霧斗「いや、知らない」
工藤信宏「いや知っとけよ!!」
桐宮霧斗「そうか。でもそんなに知りたいなら、先ずサヤカちゃんにした事、謝ってくれないか?サヤカちゃんの食事は、今後俺が作るから、」
桐宮霧斗「もう余計な手出しはしないでくれ」
工藤信宏「謝ったら、教えてくれるんですか!?」
桐宮霧斗「あぁ、約束する」
工藤信宏「分かりました!!霧斗さん・・・いや・・・兄貴!!」
  その後、工藤はサヤカちゃんに対して誠意を込めて謝罪し、この騒動は無事に収まった。工藤は俺に敵わないと見たのか、
  どう言う訳か俺の下に自ら着く事に成った。

次のエピソード:5 帰るべき場所

コメント

  • 努力家の劣等感からの嫉妬はよくあるものですが、魔理沙みたいにそれを他人のせいにせず自分が未熟者だからと努力を続ける努力家こそが、一流の努力家ですからね。
    しかし、師匠が一流中の一流の料理人とはたまげものですね・・・
    その後に腰が低くなるのもまたww
    しかし、どんな理由であれ間違いを認められる事も一流への一歩ですから今後の期待がありますね!いい話でした!

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