第八涙 約束(脚本)
〇古びた神社
〇屋敷の寝室
紫苑(しおん)「くそっッッッ!!!!!!」
閻魔(えんま)「・・・悔しいか?紫苑?」
紫苑(しおん)「ゲ・・・!!」
〇後宮の庭
『あなたに愛されて幸せ』
その言葉は・・・
永遠に・・・
私を・・・
囚え続けて・・・
離さない
それは・・・
まるで呪いのような・・・
甘い言葉
その優しい言葉に・・・
私は・・・
今でも・・・
囚われ続けてる・・・
ねぇ?
最愛の花言葉を・・・
贈ってくれた人
あなたは・・・
”私に愛されて幸せ”
でしたか?
〇睡蓮の花園
瑚蓮(これん)「菖さんが・・・食べた・・・!?」
佐須良(さすら)「・・・」
瑚蓮(これん)「どういう事!?」
菖(しょう)「・・・」
菖(しょう)「『葫蘆(ころ)』の記憶があるなら・・・ わかっているわよね・・・?」
菖(しょう)「アナタの父さまと母さまが 亡くなったのは・・・ 萱草と紫苑!! アイツらの所為だって!!」
瑚蓮(これん)「・・・やっぱり・・・ そうなんだ・・・」
菖(しょう)「アタシはね・・・瑚蓮 アナタの・・・ 俱生神なの・・・」
瑚蓮(これん)「俱生神?」
菖(しょう)「アナタと共に生まれて・・・ アナタを見守る存在・・・」
佐須良(さすら)「本来ならば・・・ 俱生神は男女一対で人を見守る存在・・・」
瑚蓮(これん)「え? でも・・・」
菖(しょう)「・・・」
佐須良(さすら)「そなたの女神は・・・ 喰われたのだ・・・ あの兄弟鬼に・・・」
菖(しょう)「アナタがまだ幼子の頃よ・・・」
菖(しょう)「アナタが幼心の優しさで・・・ ある祠に 花を供えたの・・・」
佐須良(さすら)「・・・それが運悪く・・・ あの兄弟鬼の住まう祠でな・・・」
菖(しょう)「兄弟鬼に目をつけられたアナタは・・・ 川に誘い込まれて・・・」
佐須良(さすら)「・・・そなたの代わりに・・・ 菖の姉が 彼奴らに喰われたのだ・・・」
瑚蓮(これん)「そ・・・そんな・・・!!」
〇水中
菖(しょう)「姉さんっ!!!!!! 姉さんッッッ!!!!!!」
──叫んでも・・・
菖(しょう)「あやめ姉さん!!!!!!」
もう・・・いない・・・
もう・・・届かない・・・
菖(しょう)「オレを・・・」
菖(しょう)「一人にしないで・・・」
菖(しょう)「姉さんの存在が消えてしまうなんて・・・」
菖(しょう)「許さない・・・!!!!」
菖(しょう)「誰もが忘れても・・・ オレだけは憶えている!!!!!!」
菖(しょう)「・・・オレは・・・」
菖(しょう)「・・・アタシは・・・」
菖(しょう)「姉さんと共に・・・ 生きて行くわ・・・!!!!!!!!」
〇睡蓮の花園
菖(しょう)「・・・アタシは・・・」
菖(しょう)「・・・オレは・・・」
菖(しょう)「姉さんを忘れないために・・・ 姉さんの真似をして・・・ 生きてきた・・・」
瑚蓮(これん)(・・・ああ・・・ ・・・だから・・・)
佐須良(さすら)「それから・・・ あの兄弟鬼達は・・・ 執拗にそなたをつけ狙い・・・」
佐須良(さすら)「そなたの父母の命まで奪った・・・!!!!!!」
瑚蓮(これん)「・・・」
瑚蓮(これん)「ねぇ? この世界に・・・ 私を守ってくれた・・・ 『葫蘆』や『玖露』や『槿迦さん』や『聖河さん』は・・・」
瑚蓮(これん)「いないの?」
菖(しょう)「・・・それは・・・」
瑚蓮(これん)(・・・いないのね・・・)
佐須良(さすら)「責めるなら我を責めよっ!!!!」
瑚蓮(これん)「・・・どうして?」
佐須良(さすら)「我が・・・我が・・・ 『瑚蓮の平行世界の記憶を食べてくれ』と 菖に頼んだのだ・・・」
瑚蓮(これん)「えっ!?」
〇祈祷場
我はもう・・・
見たくない・・・
見たくなかったのだ・・・
瑚蓮の母「ねぇ!ねぇ!聞いて! 私、『上巳の節句』を担当する事に なったの!」
瑚蓮の父「おめでとう! 楽士として・・・ 夫として・・・ 君を支えるよ!」
〇山中の滝
瑚蓮の母「・・・まさか・・・ 『上巳の節句』の舞姫が・・・ 『人柱』にならないと いけないなんて・・・」
瑚蓮の父「君を『人柱』なんかにさせるもんか!!!!」
水神「今年の生贄も・・・ 美味そうだのぅ・・・」
「・・・ああ・・・ 神様・・・!!!!!!」
水神「なっ!?」
〇睡蓮の花園
「・・・う・・・? ・・・生きて・・・る?」
佐須良(さすら)「二人共、目覚めたか?」
瑚蓮の父「あなたは?」
佐須良(さすら)「何・・・ 通りすがりの・・・ 神馬だ・・・」
瑚蓮の母「助けてくれて ありがとうございました・・・」
佐須良(さすら)「気にするな! では──」
瑚蓮の母「まままま!! 待ってください!!!!!!」
瑚蓮の父「助けていただいた御礼を・・・!!!!!!」
佐須良(さすら)「礼には及ばん!」
佐須良(さすら)「そなた等は夫婦であろう? ならば・・・ 幸せに暮らせ・・・!!」
瑚蓮の母「私達は・・・ 何も持ってませんが・・・!!」
瑚蓮の父「何か御礼を!」
瑚蓮の母「・・・うっ・・・──!?」
瑚蓮の母「げほっ!!げほっ・・・!!」
佐須良(さすら)「・・・そなたの腹には・・・ 新たな命が宿っている・・・」
「!!!!!?!?」
佐須良(さすら)「・・・多分・・・ 可愛らしい女の子であろうな♪」
「!!!!!!!?!?」
佐須良(さすら)「・・・だから助けたまでの事・・・ 大事に生きろ」
瑚蓮の母「で、では!! この子をあなた様に捧げます!!!!」
佐須良(さすら)「は?」
瑚蓮の母「この子は・・・ あなた様に救われた身!! 産まれたら・・・ あなた様の嫁として 育てます!!」
〇薄暗い谷底
瑚蓮の父「遅くなってしまったな・・・」
瑚蓮の母「瑚蓮が待ってるわ!! 急ぎましょう?」
〇集落の入口
いくつもの
過去の未来の先で
待っているのは・・・
そなたの・・・
残酷な・・・『死』
そなたには・・・
似合わぬ・・・!
似合わぬ・・・!!
我が必ず
佐須良(さすら)「救ってみせる」
〇祭祀場
閻魔(えんま)「・・・」
閻魔(えんま)「・・・紫苑・・・」
閻魔(えんま)「萱草・・・」
閻魔(えんま)「・・・もう・・・ やめにせんか?」
紫苑(しおん)「・・・今更・・・ 何言ってんの!?」
「ヤだね!!」
萱草(かんぞう)「親父が言い出した事だぞ?」
紫苑(しおん)「・・・今更・・・ 約束を白紙にしようっての!?」
閻魔(えんま)「幾つだ?」
萱草(かんぞう)「歳か? 二百歳くらいじゃなかったか?」
閻魔(えんま)「違う!!!!!! 歳なぞ どうでも良いわっ!!!!」
紫苑(しおん)「じゃあ・・・何?」
閻魔(えんま)「瑚蓮を・・・ 手にかけた数だ・・・」
紫苑(しおん)「・・・それは・・・ 『どの平行世界での事』?」
閻魔(えんま)「・・・」
閻魔(えんま)「お前達は・・・ 何回、瑚蓮の平行世界で遊べば気が済む?」
紫苑(しおん)「心外だなぁ・・・ 『遊び』じゃないよ? どれも『本気』だ・・・ なぁ?兄者?」
萱草(かんぞう)「ああ どれも本気で・・・ 遊んでる!!」
萱草(かんぞう)「『聖河の世界』では・・・ 女郎蜘蛛を操って・・・ 『槿迦の世界』では・・・ 水神を唆して・・・」
萱草(かんぞう)「『玖露の世界』では・・・ 古き神を目覚めさせて・・・ 『葫蘆の世界』ぐらいじゃないか!? 儂等が直接出向いたのは?」
紫苑(しおん)「・・・そうなると・・・ 今回が5回目の世界かな?」
紫苑(しおん)「兄者は・・・ただ喰べたいだけだろうけど・・・」
紫苑(しおん)「・・・ボクはそろそろ・・・ 本気で・・・ 欲しいんだよね・・・」
萱草(かんぞう)「何だ!? そうだったのか!?」
閻魔(えんま)「・・・他の『命の灯火』をやる・・・ と、言ったら・・・ 瑚蓮から手を引くか?」
紫苑(しおん)「・・・引く訳ないじゃん!!」
萱草(かんぞう)「・・・儂は楽しめて・・・ あの約束が その代わりの『命の灯火』で 果たされるのであれば・・・ 構わんが・・・」
萱草(かんぞう)「その代わりの命も・・・ 瑚蓮以上の味じゃないと・・・ 納得いかんな!!」
閻魔(えんま)(・・・この執着心は・・・ 誰に似たのやら・・・)
なるほどなるほど!
一気に全員の謎が解けましたね。
コレンはサスラの嫁になる運命だったのか〜。
イヤイヤ、親が勝手に決めた話だし、コレンの気持ち次第では、まさかのショウルートも!?(ないか😂)
紫苑はまだまだやる気ですね。
平行世界の終わりは来るのか??
断片的なパズルピースが一気に繋がり、瑚蓮たちの過去が一枚絵のごとく見えるようになりましたね😲 ただ、その一枚絵があまりにも切なく悲しいもので…😭
衝撃の第八話ですが、個人的衝撃は菖がオネェと化した経緯ですね😢
ここにきてさまざまな謎が明かされ、いよいよクライマックスに近づいている予感がしますね!
記憶を取り戻したこれんがどんな行動を取るのか、コレンとサスラ、ショウの関係性がどうなっていくのかなどまだまだ気になる展開ばかりです🤔
彼らがどのように決着をつけるのかとても楽しみです