黒猫アンティーク

おけの

永遠の愛(脚本)

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〇男の子の一人部屋
かなた「この数式を当てはめていけばいいんだな」
かなた「あ・・・」
かなた「そろそろかな・・・」

〇一軒家
  綺麗な人だ・・・
  彼女が帰って行くのを
  
  眺めるしかできないなんて・・・
  けれど、それだけで十分なんだまた明日、
  
  ひとめ見られるだけでいい

〇男の子の一人部屋
  いつもこの時間、可憐な彼女は
  僕の家の前を通る。
  それを2階から眺めるのが僕の日課だ。
  次の日────
かなた「そろそろだ・・・」
かなた「あっ────────」

〇一軒家
男「今日は楽しかったな」
女性「うん。 今日の映画、見ごたえがあったね」

〇男の子の一人部屋
かなた「そ、んな・・・・・・」
かなた「そう、だ。 弟かもしれないじゃないか・・・」
かなた「確かめに行こう」
  嫌な予感はあったが、
  そう思わずにはいられなかった──

〇一戸建て
男「急な雨でびしょびしょだな」
女性「タオル貸すよ。 待ってて──」
男「いや、俺はこれだけもらって行くよ」
かなた「あ・・・・・・」

〇草原の道
かなた「見ているだけでいいなんて────」
かなた「そんなの・・・ そんなわけ・・・」
かなた「ないじゃないか────」

〇街の宝石店
かなた「ここ・・・どこだろう」
かなた「オシャレなお店だ・・・」
かなた「────ドアが勝手に開いた」
かなた「入れってこと?」

〇宝石店
かなた「綺麗なものが並んでる・・・」
かなた「・・・綺麗な指輪だ」
「いらっしゃいませ。 そちらをお気に召しましたか?」
かなた「誰もいないはずなのに、 声が・・・」
「あ〜、お客さまの足元ですよ」
かなた「え、猫?」
黒猫「アンティークショップへようこそ」
かなた「猫が喋った!!」
黒猫「ええ。 ここは魔法の生きた アンティークショップでございます」
黒猫「そのおかげで、 ぼくも話せるのですよ」
かなた「ま、魔法が、生きてる?」
黒猫「そうでございます。 ここでは、アンティークの品が お客さまを選ぶのです」
黒猫「そして、あなたは選ばれた。 その指輪に・・・」
かなた「指輪が・・・ぼくを選んだ?」
黒猫「左様でございます。 そちらの指輪にも、魔法が込められて おりますよ」
かなた「一体・・・何の魔法が?」
黒猫「あなたの愛する人に 指輪をつけてもらえれば、 生涯、愛し合えるでしょう」
かなた「生涯・・・愛し合える────」
かなた「それを信じていいんだね?」
黒猫「もちろんです」
黒猫「ただし────」
黒猫「その指輪をつけていない相手に 心を揺らせば、あなたは────」
黒猫「死ぬことになります」
かなた「・・・・・・でもいい」
かなた「それでもいい。 その指輪を買わせてくれ」
黒猫「かしこまりました」
黒猫「お代はいりません」
黒猫「その指輪があなたを 選んだのですから────」

〇草原の道
かなた「ふふふ・・・・・・」
かなた「これさえあれば彼女は・・・」
かなた「僕のものだ────」
  僕はこの指輪を彼女に送った。
  
  正確には、家のポストに入れたのだ。

〇女性の部屋
女性「誰からの贈り物?」
女性「あ、カードが付いてる」
  君をずっと、ずっと愛してるよ
女性「もしかして・・・彼から?」
女性「恥ずかしがり屋だから、こんな風にして 置いて行っちゃったのかも」
女性「中身はなんだろう」
女性「わぁ、素敵な指輪・・・ 付けてみよう」
女性「もっと・・・ 素敵な人が運命の人────」

〇男の子の一人部屋
かなた「あぁ、きっと今頃・・・彼女は」
かなた「僕のことを想っているはずだ」
かなた「そんな気がするんだ」
かなた「明日、会いに行ってみよう」
かなた「そして、デートをしよう」

〇開けた交差点
  翌日──
かなた「彼女に会うのが待ち遠しい・・・」
かなた「赤信号さえも、もどかしく感じてしまうな」
かなた「今日は人が多いな」
かなた「彼女も、僕に向かってきていたらいいのに」
かなた「あ、やっと信号が青になった」
かなた「あっ──────」
かなた「彼女、じゃない?────」
「おい、誰か救急車に連絡を!!」
「いや、これは・・・警察も必要だろう」

〇女性の部屋
女性「私の運命の人────会えるかな」
  彼は手に入れた────
  
  逢うことも二度と許されない永遠の愛を

〇宝石店
黒猫「せっかく注意してあげたのに・・・・・・ 残念だなぁ」
魔女「初めてのお客さんはどうだった?」
黒猫「失敗に終わりました」
魔女「そう・・・」
黒猫「まだ、店番させてください」
黒猫「僕の大切な人がこのお店に来るまで・・・」
魔女「それなら、頼むよ」
黒猫「次は、どんな人に会えるかなぁ」

次のエピソード:慈愛

コメント

  • 黒猫アンティーク、とっても魅力的な作品だったよ!魔法使いに雇われた黒猫が、悲恋の男女を助けるお話なんだ。アンティークショップには不思議な力が宿っていて、指輪を選んだ人には生涯愛し合える魔法がかかるんだって。でも、その指輪をつけていない相手に心を揺らせば、命を落とすことになってしまうんだ。ワクワクドキドキの展開で、最後まで目が離せなかった!これからも魔法の世界に引き込まれること間違いなし!

  • あんな一瞬の心の揺らぎでアウトなのですね。
    彼女に似た、少し魅力的な女性を目にして僅かに心を動かしただけで。
    主人公亡き後も指輪の効果が続くというのが二人分不幸になるという恐ろしさがありますね。

  • とっても不思議な物語世界の、不思議なアイテム、それを手にしたとしてもハッピーエンドに至ることはできない、、、切ないですね

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