トゥルーフェイス

ラム25

ルックス至上主義(脚本)

トゥルーフェイス

ラム25

今すぐ読む

トゥルーフェイス
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇大学の広場
矢坂「ミウタク、お前も合コン来ないか? お前が来たら盛り上がりそうなんだ」
茂木「得意の話術で盛り上げてくれよ!」
三浦拓哉「・・・わるいな」
矢坂「あっミウタク! 俺らがミウタクをダシにすると思ったのかな・・・」
茂木「あんないい奴他にいないのにな・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
  ミウタクこと三浦拓哉は頭脳明晰、運動神経抜群、性格も優しく、コミュニケーション能力も高い完璧人間だった。
  そう、ルックスを除いて。
三浦拓哉「くそっ、何が国立大主席だ! 空手10段だ! そんなものより、俺は・・・!」
三浦拓哉「フツメンに・・・いや、イケメンに産まれたかった・・・!」
  拓哉は鏡の前で己の醜悪な顔を見て、歯噛みする。
  そしてベッドへ横たわると、スマートフォンを取り出してTwitterを見る。
  人気者の拓哉はフォロワーも10000人いるが、アイコンは猫のイラストを採用している。
  仮に彼の素顔をアイコンにしたら瞬く間にフォロワーは減るだろう、などと拓哉は考えた。
  ふと、マッチングアプリの広告が目に入る。
  マッチングしたその日にデート出来る!
  マッチングアプリはコイカツ!
三浦拓哉(マッチングアプリ? くだらない・・・)
  しかし消そうとした時に拓哉に悪魔的発想が浮かぶ。
  拓哉はAIで非実在の人物のイラストを生み出す研究をしていた。
  これでもし、容姿端麗・・・
  超イケメンの男を作って登録すれば?
  そして拓也はAIを使い、完璧な超イケメンを作った。
三浦拓哉「これでいいか。 プロフィールはこうかな・・・」

〇電脳空間
三浦拓哉「完璧なイケメン、こんな感じかな・・・」
マユ「私、こういうもので、真剣にお付き合いをしたいと考えています」
ハルカ「良かったら今晩飲みに行きませんか?」
  早速、女性たちから大量にメッセージが届く。
三浦拓哉「ありがとう、でも会いにいくのは難しいんだ、すまない」
マユ「ああっ王子様!」
ハルカ「凄いイケメンだった・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
三浦拓哉「ははっやはり俺の思った通りだ。 女性は顔しか見ていない」
  これだけ女性が群がってくるなど生まれて初めてのことだ。
  おそらく今後もないだろう。
  拓哉は手放すのは惜しいと考えた。
  しかし決して悪用しようとは考えなかった。

〇大学の広場
矢坂「ミウタク、頼んだ奴出来たか? あれがないと俺の右腕に封じられたインフェルノが・・・!」
三浦拓哉「あぁ、出来てるよ。 AIの架空のグラビア」
矢坂「オッマジサンキュー! MMS!(ミウタク・マジ・仕事できる!)」
茂木「ミウタクは将来AIに関する仕事したいんだろ? 良いよなあ、ビジョンが固まってて」
三浦拓哉「ああ、俺がシンギュラリティを巻き起こすんだ!」
矢坂「俺もさ、学生婚したいって夢があるんだ。 たとえば娘が高校生でも若々しくいたいって言うか」
茂木「お前そう言ってJKに手をだすつもりだろ!」
矢坂「ちげーよ! 娘が一番元気な時に俺も元気でいたいだけだよ」
三浦拓哉(結婚? 俺のルックスじゃ到底出来ないというのに・・・)

〇電脳空間
  拓哉は憂さを晴らすかのようにマッチングアプリを見た。
三浦拓哉「ん・・・メッセージが貯まってるな」
ハルカ「タクヤさん、お返事待ってます!」
綾瀬「都内住みでしたら今晩会いませんか?」
  拓哉はその膨大なメッセージ一つ一つに真摯に対応した。
三浦拓哉「すぐ人に会おうとするのは危険だよ。 よくお互いを知り合ってから会うようにしたほうがいいよ」
三浦拓哉「返事、遅れてごめんね。 会うことは出来ないけど、相談くらいなら乗るよ」
  その返事は数百に至った。

〇大学の広場
矢坂「ミウタク、見たか? 顔も心もイケメンの男!」
三浦拓哉「なんだ、それ」
茂木「ほら、このスクショ」
三浦拓哉「!」
  それは昨日の拓哉とある女性とのやり取りだった。
矢坂「くぅ、言ってることまでイケメンだぜ!」
茂木「相手の女性はキレてこのやりとりを晒したらしいけど皆このイケメンに同調してるんだ」
茂木「俺だったら喜んでヒモになるんだけどな・・・」
  拓哉もTwitterを見ると、それは確かに話題になっていた。
  イケメンofイケメン、キング、謎の貴公子などの異名がついていた。

〇電脳空間
ハルカ「タクヤさん! 私と付き合ってください!」
ナツミ「私と付き合ってください!」
  拓哉はSNSでも話題になったこともあり、拓哉目当てでマッチングアプリに登録する者まで現れた。
綾瀬「タクヤさん、ごめんなさい、私、借金が出来てしまってもうお会い出来ません」
三浦拓哉「借金!? そんな、どうして?」
綾瀬「タクヤさんとこうしてやりとりするのに何十万円も使っちゃったから。 タクヤさん、願わくばお会いしたかった・・・」
  運営は拓哉を利用しようし、課金すればするほど人気ユーザー・・・
  つまり、拓哉にメッセージを送れるようにした。
  拓哉は怒りに震える。
  自身に対して、だ。
  自分のくだらない思い付きが人を傷つけてしまった。
  そして拓哉はプロフィールを変更した。
三浦拓哉「これが素顔です。 皆さん、お騒がせしてすみませんでした」

〇おしゃれなリビングダイニング
  それはネット上でたちまちニュースになり、大いに話題になった。
  世間を轟かせた絶世の美男子、その素顔。
  信じ切れない声も多く、運営のやり方に疑問を呈したイケメンがわざとブサメンを演じたのでは、との意見もあった。
  しかしブサメンでも心はイケメンの拓哉を庇う声と、女性を誑かした事実を責める声が強かった。
  拓哉もこれ以上会員である意味は無いと思い、退会するためにログインする。

〇電脳空間
  10000人いたマッチングアプリのフォロワーは1人を残していなくなっていた。
  残りの一人も放置しているだけだろう。
  ふと、退会しようとしたときにメッセージが届く。
綾瀬「私はどんなタクヤさんも好きです。 だって私のこと本気で心配してくれましたから」
三浦拓哉「・・・はは、ありがとう」
  図らずもマッチングアプリの騒動は未来の伴侶との出会いをもたらした。

コメント

  • 良いお話ですね!✨☺️
    色々と回り道をしていく中で、塞翁が馬と言いますか、自分の予期せぬことが起きたりするんでしょうね✨
    心がとってもイケメンだったから、それに気づく女性が現れて良かったです!✨🥺
    面白かったです!

  • これはありそうなお話ですね。
    実際は身分証明書などの提出が必要でしょうが…。
    ラムさんの描くAIやSFは、いつも引き込まれます☺️

成分キーワード

ページTOPへ