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第五涙 監禁(脚本)

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〇後宮の廊下
紫苑(しおん)「喜べ!!兄者!!」
萱草(かんぞう)「ん?どうした?」
紫苑(しおん)「コブ付きだが・・・ 瑚蓮が沙羅の國の外に出るぞ!!」
萱草(かんぞう)「何!?行き先は!?」
紫苑(しおん)「扶桑の國だそうだ!!」
萱草(かんぞう)「クククッ!! この機会・・・逃すわけないだろ!?」
紫苑(しおん)「もちろん!!」
萱草(かんぞう)「・・・そろそろ喰い時だな!!」
紫苑(しおん)「味付けは・・・捕まえてからでも遅くはないだろ・・・?」
萱草(かんぞう)「ああ まずは捕まえてみるか!!」

〇後宮の庭
  置いて行く者と・・・
  置いて行かれた者
  残された者の心は・・・
  ・・・永遠に・・・
  残して行った者に・・・
  囚われる
  あなたとの記憶を・・・
  失くせたらいいのに・・・
  その記憶さえ
  ・・・大切に・・・
  手離せない
  ねぇ?
  私を
  
  置いて行った人・・・
  あなたの記憶に・・・
  まだ私は・・・
  生きているでしょうか?

〇草原
瑚蓮(これん)「ずっと・・・祈る事を忘れてて・・・ 今さら・・・薄情だな・・・ 都合が良いなって思うけど・・・」
瑚蓮(これん)「思い出したからこそ・・・ お参りしたいなって!」
「・・・」
瑚蓮(これん)「・・・えっと・・・ダメ・・・かな?」
菖(しょう)「・・・ダメね・・・」
瑚蓮(これん)「えっ!?」
佐須良(さすら)「・・・そうだな・・・ダメだな・・・」
瑚蓮(これん)「えっ!?」
菖(しょう)「・・・『いい子ちゃん』すぎて・・・ ダメダメね!!」
佐須良(さすら)「・・・ああ・・・ 瑚蓮 もっと『悪い子』になれ!!」
瑚蓮(これん)「悪い子!?」
菖(しょう)「ま、いいわ その辺もきっちり教えてあげるから! 覚悟しときなさい!」

〇風流な庭園
瑚蓮(これん)「・・・遅くなっちゃいましたね!!」
菖(しょう)「こんばんは──!! すみませーん!!」
宿屋の女将さん「はいよー!!」
菖(しょう)「部屋は空いていますか?」
宿屋の女将さん「何名だい?」
菖(しょう)「三人なんですけど・・・ 一人は女性で・・・」
宿屋の女将さん「・・・生憎・・・一部屋しか空いてなくてね・・・」
菖(しょう)「瑚蓮、どうする?」
佐須良(さすら)「一部屋なら、瑚蓮はここに泊まるといい! 我らは野宿でも構わん!」
瑚蓮(これん)「野宿なんて!! 女将さん!! 部屋の大きさは? 三人でも泊まれる大きさですか!?」
宿屋の女将さん「・・・三人くらいなら問題ない広さだと思うよ!」
瑚蓮(これん)「じゃあ、泊まります!」
宿屋の女将さん「まいどありー!」

〇古風な和室
菖(しょう)「・・・って・・・ あのババァ!! 三人じゃ狭いじゃない!?」
佐須良(さすら)「まぁ、そう怒るな 我が外で寝よう」
菖(しょう)「あら?いいの? 瑚蓮とアタシが・・・ こーんな事や あーんな事をするかもしれないわよ?」
佐須良(さすら)「我はそなたを信用してだな!!」
瑚蓮(これん)「・・・」
瑚蓮(これん)「二人共・・・ 私・・・ 部屋の隅っこで寝るから・・・」
菖(しょう)「何言ってんのよ!? アンタは布団の中で いびきをかいて 堂々と寝なさいっ!!」
瑚蓮(これん)「えっ!?」
佐須良(さすら)「そうだ!! これは・・・ 天が与えた・・・ 己の理性との戦い!!」
佐須良(さすら)「我は! そなたの隣で!! 手を出さぬ自信がないッッッ!!!!!!」
菖(しょう)「堂々と・・・ 何言ってんのかしら? この変態・・・!!」
瑚蓮(これん)「私、本当に隅っこでいいから!! とりあえず!! おやすみ!!」
菖(しょう)「佐須良が変な事言うから!! 瑚蓮が隅っこで寝ちゃったじゃない!!」
佐須良(さすら)「す、すまぬ・・・」
佐須良(さすら)「責任を取って・・・我が外で寝よう! そなたは・・・瑚蓮の事を 見てやってくれ・・・」

〇桜並木(提灯あり)
???「姫さん・・・」
???「姫さんは・・・ 俺と過ごした日々を・・・」
???「俺が忘れたとしても・・・ 憶えていてくれな・・・」
瑚蓮(これん)「・・・これは・・・ ・・・この記憶の人は・・・」
瑚蓮(これん)「私を・・・ 愛してくれて・・・ 生贄になりそうな私を 救ってくれた・・・」
瑚蓮(これん)「『槿迦さん』の記憶・・・?」
瑚蓮(これん)「ああ・・・そうだ・・・ 槿迦さんは・・・扶桑の民・・・」
瑚蓮(これん)「扶桑の民は・・・ 七年しか記憶を保てなくて・・・ そんな中・・・ 私に愛を捧げてくれた・・・」
瑚蓮(これん)「・・・そして・・・ ・・・私を・・・ 置き去りにした人・・・」

〇時計
菖(しょう)「はっ!!」
菖(しょう)「瑚蓮ッッッ!!!!!!」

〇古風な和室
菖(しょう)「瑚蓮ッッッ!!!!!!」
佐須良(さすら)「どうした!?菖!?」
菖(しょう)「瑚蓮の記憶が!! 『槿迦(きんか)』の記憶が蘇ったの!!!!」
佐須良(さすら)「何だと!?」
菖(しょう)「瑚蓮はどこ!?」
佐須良(さすら)「いないのか!?」
菖(しょう)「ごめんなさい!! アタシがちょっと意識を手放した隙に!!」
佐須良(さすら)「そう遠くには行っていないはずだ!! 探すぞ!!」

〇桜並木(提灯あり)
瑚蓮(これん)「どこ・・・?」
瑚蓮(これん)「・・・どこにいるの・・・?」
瑚蓮(これん)(ここは『槿迦さん』と過ごした 扶桑の國・・・)
瑚蓮(これん)(もしかしたら・・・ まだどこかに・・・ 『槿迦さん』がいるかもしれない・・・)
瑚蓮(これん)(逢えたとしても・・・ 私を置き去りにした事を・・・ 責めるつもりはない・・・)
瑚蓮(これん)「ただ・・・ 逢いたいの・・・」
  ・・・瑚蓮・・・
瑚蓮(これん)「・・・槿迦さん?」
  ・・・おいで・・・
瑚蓮(これん)「・・・どこ?」

〇風流な庭園
菖(しょう)「佐須良! 見つかった!?」
佐須良(さすら)「いや・・・おらぬ!!」
宿屋の女将さん「お客さん、何か困り事かい?」
佐須良(さすら)「我らの連れを見なかったか!?」
宿屋の女将さん「あの女の子かえ?」
宿屋の女将さん「・・・あの子なら・・・ 裏手の山へ入って行くのを・・・ 別のお客さんが見たと──」
「山!?」
菖(しょう)「佐須良! 急ぐわよ!!!!!!」
佐須良(さすら)「ああ!!!!!!!!」
宿屋の女将さん「あの山には・・・鬼がおる・・・ 急いでも・・・ もう無理じゃろうに・・・」

〇薄暗い谷底
  ・・・瑚蓮・・・
瑚蓮(これん)「・・・」
紫苑の手下「トラエタ♪トラエタ♪」
紫苑の手下「オデ・・・シオンサマニ・・・ ホウビ・・・ モラエル!!」

〇古びた神社
紫苑の手下「シオンサマー!! ”コレン” ツカマエター!!」
紫苑(しおん)「おぉ!! よくやった──って・・・」
紫苑(しおん)「瑚蓮、キズだらけじゃん!?」
紫苑の手下「イケドッタコトニ・・・ カワリハナイ!!」
紫苑(しおん)「・・・キレイなままで!!って言ったでしょ!?」
紫苑の手下「シンデナイ!! キレイナママ!!」
紫苑(しおん)「チッ・・・!! 使えねぇなぁ・・・!!」
紫苑(しおん)「声色が使えるって見込んでやったのに・・・」
紫苑の手下「ホウビハ?」
紫苑(しおん)「キズ付けて捕まえて来たんだ ねぇよ!!」
紫苑の手下「・・・」
紫苑の手下「ウワーーーンッッッ!!!!!!!!」

〇屋敷の寝室
紫苑(しおん)「あーあ こんなに泥だらけにしてくれちゃって・・・」
紫苑(しおん)「兄者に怒られちまう・・・」
紫苑(しおん)(・・・いっそ・・・ 死んだって事にして・・・ 一人で楽しむか!?)
紫苑(しおん)(・・・って・・・ 外見をキズ付けるのはイヤなんだよね・・・)
紫苑(しおん)「どうせキズ付けるんなら精神(なかみ)を 壊した方が ゾクゾクするッッッ!!!!!!」
紫苑(しおん)「あと二つ記憶が残っているんだよなぁ・・・」
紫苑(しおん)「ここで今すぐに記憶全てを蘇らせるか・・・?」
紫苑(しおん)「ま、とりあえず・・・ 逃げられないように 足枷だけは付けておこうかな?」

〇薄暗い谷底
???「ウワーーーンッッッ!!!!!!!!」
佐須良(さすら)「菖!! 泣き声がするぞ!?」
菖(しょう)「瑚蓮かしら!?」
紫苑の手下「ウワーーーンッッッ!!!!!!!!」
菖(しょう)「──って・・・ ただのコエマネじゃない!!」
佐須良(さすら)「むぅ!! 瑚蓮ではなかったか!!」
紫苑の手下「コレン?」
紫苑の手下「コレンノイバショ オシエタラ・・・ ホウビクレル?」
「知ってるのか!?」
菖(しょう)「ほら! アンタ達コエマネが好きな──」
菖(しょう)「黄金糖をあげるから!」
紫苑の手下「オウゴントウ!!!!!!!!」
紫苑の手下「コッチ! コレン、コッチ!!」

次のエピソード:第六涙 愛執

コメント

  • 今まで高みの見物?をしていた2人が、ついに手を出して来ましたね!
    食べるとは…彼らはどうやって手を出すというのでしょうね…(野暮か😱)
    コレンの記憶が愛する人に捨てられた記憶だという衝撃の事実と、キンカというキーマンの名前が浮上して、いよいよ白熱の展開!

  • 急展開😵 瑚蓮の記憶が蘇り、さらには囚われの身に🥲
    宿屋のシーン、3人の個性がキッチリ出ていて好きです😆 手を出す宣言をする佐須良のドヤ顔が目に浮かぶようでした🫠

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