彼女面接!! 俺の恋人を面接で決めることになってしまった……

鉄火キノコ

第四話 面接番号二番 ギャップ少女 なつ夏喜 その1(脚本)

彼女面接!! 俺の恋人を面接で決めることになってしまった……

鉄火キノコ

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〇シックなリビング
雪根佳乃子「こんばんわぁ」
雪根サトシ「おはようだろ」
雪根サトシ「朝なんだから」
  彼女は雪根佳乃子(かのこ)
  俺の妹で、中学生だ。
雪根佳乃子「ねぇ、ねぇ」
雪根サトシ「なんだよ」
雪根佳乃子「もし、佳乃子に彼氏ができちゃったら」
雪根佳乃子「どうする??」
雪根サトシ「まぁ、それは祝うだろうな・・・・・・」
雪根佳乃子「それ、だけ?」
雪根サトシ「え?」
雪根佳乃子「ホントに、それだけ??」
雪根サトシ「そりゃ、祝うだろうな・・・・・・」
雪根サトシ「他に、何かあるのか??」
雪根佳乃子「いや、やっぱり、何でもない・・・・・・」
雪根サトシ「はぁ」
雪根サトシ「じゃぁ、俺、学校行ってくるわ。行きたくないけど」
雪根佳乃子「うん、私も、もうちょっとで出るから」
雪根サトシ「すまんが、先行くな」
雪根佳乃子「うん、」
雪根佳乃子「行ってらっしゃい」

〇木造校舎の廊下
  最悪の面接から一日がたった。
  正直、今日は学校を休んでやろうと思っていたのだが
  受験のことも考えて、出席日数のために、不承不承登校した
  廊下をナメクジみたいに進んでいると、こちらに向かって歩いてくる青髪の少女と目が合ってしまった。
雪根サトシ「おっ、小田浜さん!!」
雪根サトシ「あの、その・・・・・・昨日は」
小田浜ゆり「・・・・・・」
佐藤恋心「おはよぉ!!Eくん!!」
雪根サトシ「!?」
雪根サトシ「びっくりした・・・・・・」
  金髪の彼女は佐藤恋心
  恋心と書いて「ハート」と読む少女
  つまり、この子名前は、佐藤恋心(さとうハート)。同じ学年の別クラスだ。
  俺の親と恋心(ハート)の親は、昔からの知り合いだった。そのつながりで、俺とこの子は、子供の頃から、よく一緒に遊んでいた。
  いわゆる、幼なじみというやつだ。
  彼女は、バスケットボール部員だ。今日も朝練があったのだろう。
雪根サトシ「なんだ、お前かよ・・・・・・」
雪根サトシ「驚かさないでくれよ」
雪根サトシ「あと、恋心(ハート)、いい加減その『E』っていう蔑称で呼ぶの辞めてくれないか??」
  恋心(ハート)は、俺が第一志望の判定が『E』だったことを知ると、それからは、俺のことを『E』くんと呼ぶようになった
佐藤恋心「じゃあさ、何回も言ってきたことだけど、僕のことハートって呼ぶのやめてよ」
  ハートは「ぼくっ娘」である。
雪根サトシ「なんでだよ。ハートは普通の名前だろ。『E』と違って」
佐藤恋心「でも、ハートはやなの!」
佐藤恋心「僕のことは、佐藤って呼んでって言ってるじゃん!」
雪根サトシ「あぁ、そうだったな」
雪根サトシ「ごめんな、これから気をつけるよ」
雪根サトシ「ごめんな、ハート」
佐藤恋心「人の話聞いてなかったの???????」
佐藤恋心「そんなんだから『E』判定なんだよ」
雪根サトシ「それは関係ないだろう!」
佐藤恋心「Eくんって、世界で一番、人の話聞かないよね」
  あいにくだが、俺は自分よりも話を聞かない”赤髪”の人間を一人知ってる
  だから、高くても、俺は二番目だ。”高くても”だ
小田浜ゆり「なんか、仲良さそうだね」
雪根サトシ「あ・・・・・・」
小田浜ゆり「こんな茶番を見せられてる人間の気持ち、察せられないのかな??」
  やべぇ、小田浜さんのこと完全に忘れてた
雪根サトシ「あのぉ、小田浜さん、昨日は・・・・・・」
雪根サトシ「あぁ!!ちょっ・・・・・・」
  小田浜さんは、まるで幽霊のように、教室の方に消えていった。
  追いかけようとも思ったが、教室で小田浜さんと会話するのは、周りの目が怖いので辞めておくことにする。
  まぁ、どうせ同じクラスだ。
  まだチャンスはある。
  正直、彼女と付き合いたいとかそういうわけではないのだが、
  このままギスギスしていても、ばつが悪いので、誤解は解いておきたい。
佐藤恋心「Eくんって、ゆりちゃんと仲よかったっけ?」
雪根サトシ「いや、むしろ逆だな」
佐藤恋心「ふぅん、」
佐藤恋心「まぁ、いいや」
佐藤恋心「そーいえば、」
佐藤恋心「よかったら、明日学校休みだし、僕の家で勉強しない??」
雪根サトシ「え?」
佐藤恋心「このままじゃ、Eくん、僕と同じ大学にいけないよ」
佐藤恋心「だからね!!」
佐藤恋心「Eくんの苦手な英語、教えたげるよ。第一志望校判定『A』である、この僕が!」
雪根サトシ「ムカつく奴だな」
雪根サトシ「でも、教えてもらえるなら、行くよ」
佐藤恋心「おっけい!」
佐藤恋心「じゃ、明日、学校休みだから、朝9時ぐらいから、僕の家に来てね!!約束だよ」
雪根サトシ「了解」
佐藤恋心「あ、あとさ」
佐藤恋心「昨日のドラマ見た?」
雪根サトシ「ドラマ?」
佐藤恋心「うん!」
佐藤恋心「周りから恋愛オンチって言われてる男女が、偽装カップルするはなし」
雪根サトシ「なんだよ。それ」
雪根サトシ「ていうか、勉強しないといけないから」
雪根サトシ「そんなヒマないよ」
佐藤恋心「僕はA判定だからね!余裕あるんだ!」
雪根サトシ「ムカつく奴だな」
佐藤恋心「もし、Eくんが、嘘でも僕のこと好きっていってくれたら」
佐藤恋心「僕が偽装カップルやったげるからね」
雪根サトシ「遠慮しとくわ・・・・・・」
佐藤恋心「照れてんの?」
雪根サトシ「照れてないよ」
佐藤恋心「はいはい。じゃ、そゆことにしといたげます」
  ガチで照れてないんだよ
佐藤恋心「じゃ、そろそろ時間だから」
佐藤恋心「バイバーイ」
雪根サトシ「おぉ、じゃな」

〇教室
  ハートと別れて、数分がたった。
  そして、回を重ねるごとに、堕落していく朝のSHRの終わりを、キーンコーンカーンコーンという音色で鐘が告げる。
  ホント、つまらない映画を無理矢理見せられているような気分だった。
宮坂皐「小田浜さんとは、お話できましたか?」
雪根サトシ「できてねーよ」
  宮坂皐
  俺の隣の席でまさに悪魔みたいな笑みをもって、茶化してきやがる。
宮坂皐「そんなんだから、E判定なんですよ」
雪根サトシ「それは関係ないだろう!」
  あれぇ?
  なんだか、さっきと似たような会話をしている気がする。
宮坂皐「はぁ、小田浜さんかわいそうだな・・・・・・」
宮坂皐「雪根さんに振られちゃって」
雪根サトシ「だから!!あんたが勝手に振ったんだろ」
宮坂皐「だったら、小田浜さんと付き合う気は、あったんですか??」
雪根サトシ「教室で、そんなこと聴くなよ!」
  幸い、SHRが終わってから、小田浜さんが教室を離れていたことが救いだな。どこに行ったかわかんないけど
雪根サトシ「そもそも、俺は今、彼女を作る気がない」
雪根サトシ「受験勉強で忙しいんだ」
雪根サトシ「ていうか、宮坂さんも、あんな茶番してるヒマがあったら勉強するべきじゃないの?」
宮坂皐「私は指定校推薦でほぼいけますし、ご心配は不要ですよ!!」
雪根サトシ「さいで・・・・・・」
  俺は、どっちかというと、自分の将来と命の危険を案じているのだが。
宮坂皐「そういえば、今日も面接を開催しますよ」
  面接の件は、他言するなって注意したクセに、ここで言っちゃうんだね。君は
雪根サトシ「帰ります」
宮坂皐「そんなに照れなくてもいいのに・・・・・・」
雪根サトシ「照れてねぇよ!!」
雪根サトシ「今日は絶対に帰る!」
宮坂皐「そんなこと言ったら・・・・・・」
宮坂皐「爆ぜさすんだぞ♡」
雪根サトシ「・・・・・・」
宮坂皐「もう、そんなに震えなくてもいいじゃないですか!」
宮坂皐「そんなに楽しみなんですか?」
宮坂皐「も──」
雪根サトシ「戦慄いてるんだよ!」
  こいつ、殺してやりたい!

〇オーディション会場(物無し)
宮坂皐「では、お待ちかねの面接の時間がやってきました」
雪根サトシ「別に、待ってないんだよなぁ」
宮坂皐「では、面接番号二番の方、どうぞ、お入りください!」
  面接って、受ける側が基本的に緊張するもんだと思ってたんだが
  面接官の方も胃痛がするんだな
  知らなかったよ
  まぁ、面接官って言っても、俺に決定権ないんだけど・・・・・・
  はぁ、帰りたい
???「しっ、失礼・・・・・・しま・・・・・・す・・・・・・・・・・・・」
  その弱々しい声音と共に、部屋の扉が粛々と開かれた。
宮坂皐「では、お座りください」
なつ夏喜「はい・・・・・・失礼します」
宮坂皐「では、お名前を教えてください」
なつ夏喜「なつ夏喜(なつき)と申します」
なつ夏喜「よ、よろしく・・・・・・お願いします」
雪根サトシ「なんだ・・・・・・水着じゃないのか」
なつ夏喜「え?」
宮坂皐「セクハラは辞めてください!」
雪根サトシ「はぁ?」
雪根サトシ「だって、小田浜さんのときは水着だったから・・・・・・」
雪根サトシ「今回も水着で来るのかなって、普通思うじゃん」
なつ夏喜「そんな・・・・・・水着だなんて」
宮坂皐「雪根さん、あなたは変態なんですか?それとも変人なんですか?」
雪根サトシ「え?」
宮坂皐「あなたの常識は世間の非常識なんです」
  あれぇ?どっかで聞いたことのあるセリフだなぁ
宮坂皐「面接に水着を着てくる奴なんて、下の下ですよ」
  ??????
雪根サトシ「はぁ?」
雪根サトシ「だって、昨日は、水着着るのが普通って、言ってたじゃん」
宮坂皐「辞めてください」
宮坂皐「”汚駄浜(おだはま)さん”じゃないんですから」
雪根サトシ「なんだか、”小田浜さん”のとこだけ妙に強い口調で発していたような気がするんだけど」
雪根サトシ「気のせいかな?」
雪根サトシ「気のせいだな!」
雪根サトシ「うん、きっと、気のせいだ!!」
宮坂皐「というわけで、」
宮坂皐「なつさん」
宮坂皐「早速ですが、面接に入らせていただきます」
なつ夏喜「は・・・・・・はい!」
宮坂皐「あなたが雪根サトシさんを・・・・・・失敬、間違えました。変人さんの彼女になりたいと思った理由はなんですか?」
  ひどい言われようだな
  あんたの方が変人だろ
  とは、口が裂けても、肉が避けても言えないな
  ていうか、たぶん言ったら、マジで肉避けちゃうんだけど
  内部から
  うぅ、爆ぜたくないよぉ

次のエピソード:第五話 面接番号二番 ギャップ少女 なつ夏喜 その2

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