第六話「惑星サバク」(脚本)
〇ピラミッド
見渡す限り砂とゴミに溢れている
ミミズ「ここは砂とゴミしかない星だねぇ」
リンゴ「・・・・・・」
ミミズ「って、いつもなら リンゴが言いそうな台詞だけど」
リンゴ「私はこの間の星のこと まだ許してないから」
ミミズ「ううっ・・・ごめん」
リンゴ「さっさと青の指輪を探すわよ」
〇ピラミッド
大人たちが鞭を振るい、幼い子供たちが
奴隷のように働かされている
大人1「ひゃははは! 俺は向こうで休んでくる その間にお前たちはゴミを運べ!」
リンゴ「なにあれ・・・ひどい」
ミミズ「この星では子どもがみんな 奴隷になっているんだね」
リンゴ「許せない・・・」
ミミズ「え? ちょ、ちょっと! リンゴ?」
〇ピラミッド
リンゴ「ねえ。あんたたち なんでそんなに働いているの?」
子どもA「・・・・・・」
リンゴ「あんな大人の言うことなんて 聞かなくていいわよ」
子どもA「でも・・・お菓子くれるから」
リンゴ「はあ?」
子どもA「頑張ったらお菓子くれるんだ」
子どもA「働いた分だけ、多くもらえる へへへ」
リンゴ「いや、お菓子って・・・そんなもので」
ミライ「無駄だよ。みんなお菓子より いいものがあるって知らないんだ」
リンゴ「あんた誰?」
ミライ「僕の名前はミライ あなたたちはなぜこんな星に来たんだ?」
ミミズ「僕たち、惑星フルーツに行くために 青い指輪を探しているの」
ミライ「青い指輪・・・!」
ミライ「なら折り入ってあなたたちに 相談したいことがある」
リンゴ「相談?」
〇岩山
リンゴ「じゃあこの星は、5%しかいない 大人たちが食料を独占してるってこと?」
ミライ「そう。そして95%の子どもたちは 奴隷のように働かされている」
リンゴ「そんなのひどい・・・」
リンゴ「革命でも起こしちゃえばいいじゃん」
ミライ「革命っていうのは、賢くないとできないよ」
ミライ「子どもたちから教育が取り上げられて 何年も経っちゃったんだ」
リンゴ「ミライは教育を受けてたの?」
ミライ「僕は独学さ。ゴミの中から本を探して 色々なことを勉強した」
ミミズ「でもさ、本人たちがお菓子もらって 幸せならいいんじゃない?」
ミライ「はは。まあ井の中の蛙が、大海を 知らないままで幸せだという考えもある」
ミライ「だけど・・・僕はこの星を変えてみたい」
ミライ「君の言う通り、革命を起こしてやる」
リンゴ「どうする気?」
ミライ「大人たちから食料を奪う」
リンゴ「えー? 危なくない?」
ミライ「全然。ここの大人は、自分たちが襲われるなんて1ミリも警戒してないんだ」
ミライ「とはいえ一人じゃ無理だから・・・ あなたたちみたいな異星の人を待っていた」
リンゴ「ちょっと待って! 私たち危険なことには協力しないわよ」
ミライ「青い指輪・・・ もし僕が持っていると言ったら?」
〇ピラミッド
ミミズ「リンゴ・・・ほんとにやるの?」
リンゴ「仕方ないでしょ」
リンゴ「ここでミライが食糧庫を発見するまで 時間稼ぎしておけば、あとで青の指輪 くれるっていうんだし」
ミミズ「じゃ、じゃあ・・・」
ミミズ「僕の星に古くから伝わる バナナのたたき売りを──」
〇果物
ミミズ「さ、さあさあさあ~、寄ってらっしゃい 見てらっしゃい!」
ミミズ「世にも珍しいバナナちゃんだよ~」
リンゴ「銀河一おいしいバナナだよ~」
ミミズ「バナナ♪ バナナ♪ ほっぺがとろける甘~いバナナ♪」
〇ピラミッド
大人1「あはは。おい坊主~、もっとやれ~」
リンゴ「お、いい感じ! みんな注目してる。これなら──」
ミライ「みんな、聞いてくれ! 大人たちが隠していた食糧庫を見つけた。鍵も手に入れてある」
リンゴ「え? もう? はやっ・・・!」
大人1「なんだと! いつのまに・・・!」
大人2「誰かアイツを捕まえて縛り上げろ!」
ミライ「やれるもんならやってみろ 食糧庫の鍵は隠した」
ミライ「僕がいなければ、二度と開くことはない」
大人1「き、貴様~」
ミライ「みんな、今こそ立ち上がろう!」
ミライ「僕たちはわずかなお菓子だけもらって 働かされてきた」
ミライ「でももう自由だ 大人の言うことなんて聞かなくていい!」
子どもA「自由って・・・なに?」
ミライ「え・・・?」
子どもB「僕たちは何をすればいいの?」
ミライ「それは自分で考えるんだよ。誰かに言われたことを、ただ黙々とやるだけじゃない」
ミライ「僕たちは未来を選択できるんだ」
子どもA「そんなこと言われても・・・ よくわからないよ」
子どもB「それに言われたことをやって お菓子もらえたほうが楽じゃん」
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