第七話「惑星フルーツ」(脚本)
〇謁見の間
王様「うまい・・・! この宇宙に、こんなに うまいフルーツがあったとは・・・!」
王様「皆のモノ、宴じゃ! 宴の準備をしろ!」
王様「こんな食材と出会えた 奇跡を祝福するのだ!」
〇王宮の入口
ミミズ「王様、許してくれてよかったね」
リンゴ「あんたのバナナに相当感動してたもんね ありがとう」
リンゴ「それより王妃様・・・ていうか あんたのお母さんが留守で残念だったね」
ミミズ「お母さんはフルーツ狩りに行ってるらしいから、今から会いに行ってくるよ」
ミミズ「それよりリンゴはどうするの?」
リンゴ「私は久しぶりに自分の星に戻ってきたし ちょっと街の様子を見て来る」
ミミズ「そっか。それじゃあ。バイバイだね」
リンゴ「え?」
ミミズ「僕はお母さんに挨拶したら 自分の星に戻るから」
リンゴ「あ、ああ・・・そっか。そうだよね あんたとの旅もここでおしまいか」
ミミズ「さよなら。リンゴ」
リンゴ「うん・・・さよなら」
〇綺麗な港町
リンゴ「うーん。やっぱりこの星はいいなぁ ゴミなんて一つも落ちてないし~」
スモモ「あれ~? もしかしてリンゴ?」
リンゴ「え、スモモ!?」
リンゴ「久しぶり~」
スモモ「あんた指名手配になったって 聞いたけど・・・」
リンゴ「あはは。もう大丈夫 王様に許しをもらったから」
スモモ「なんだァ。なら今からフルーツパーティーに行くんだけど一緒に来ない?」
リンゴ「え? 行く行く!」
〇豪華な部屋
大きなソファに座りながら
リラックスするリンゴ
リンゴ「はぁ・・・極楽極楽」
スモモ「ずいぶん大げさじゃない?」
リンゴ「最近、大変だったんだから 海底に潜ったり、砂漠を歩いたり、色々ね」
スモモ「あはは。リンゴらしいなぁ」
スモモはそう言うと、持っていた
食べかけのオレンジを投げ捨てる
リンゴ「え? 捨てちゃうの? まだ半分くらい残ってたのに」
スモモ「何言ってんのよ。昔は、リンゴだって 一口齧ってポイポイ捨ててたじゃない」
リンゴ「そ、そうだっけ・・・?」
スモモ「ほら周りのみんなも 同じようにしてるでしょ?」
リンゴ「ほんとだ・・・」
リンゴ「なにあれ?」
スモモ「知らない? 最近流行ってるゴミ捨てロボ」
スモモ「ゴミをたくさん拾って、そのまま 遠くの銀河に運んでくれるの」
リンゴ「遠くの銀河って・・・」
スモモ「決まってるじゃん メロウだよ。あの汚い銀河」
リンゴ「そっか・・・あそこには私たちの出した ゴミが流れ着いてるんだった」
スモモ「ん? 何の話?」
リンゴ「私・・・生まれてからずっと 何も知らずにゴミを出していた」
リンゴ「それをどこかで誰かが 掃除しているとも知らずに」
スモモ「だからー、それ何の話??」
リンゴ「・・・ごめん。私、もう行くね」
スモモ「え、ちょっとなんで──」
〇大樹の下
サクヤが従者たちと一緒に
フルーツ狩りをしている
ミミズ「こ、こんにちは」
サクヤ「あなたは──」
ミミズ「ミミズだよ・・・覚えてるかな?」
サクヤ「・・・従者の皆さん この方と二人にしてください」
〇大樹の下
サクヤ「どうしてあなたがここに・・・?」
ミミズ「王様が教えてくれたんだ」
サクヤ「そういう意味ではありません どうしてこの星に来たのですか?」
サクヤ「私があなたにしたこと わかってるんですよね?」
ミミズ「うん。わかってた」
サクヤ「かつて・・・私はあのゴミだらけの銀河に あなたを捨てました」
サクヤ「あなたを連れて ここには来れなかったからです」
サクヤ「そして今日まで、ずっと 罪の意識を抱えて生きていました」
サクヤ「あなたのことを忘れたことは 一日もありません」
ミミズ「僕も一日に一回は お母さんのことを思い出してたよ」
サクヤ「・・・あなたは何も変わらないですね 純粋で、何も知らない」
ミミズ「そうかな。最近はいっぱい勉強した リンゴが色々教えてくれたし」
サクヤ「リンゴ・・・?」
ミミズ「たまに口が悪くなるけどいい子だよ」
サクヤ「そう・・・ あなたにも友達ができていたのですね」
ミミズ「お母さん。僕、ほんとはちょっと 怖かったんだ。お母さんに会うの」
ミミズ「でも、会えて良かったよ 僕のこと覚えていてくれたしね」
サクヤ「ミミズ・・・」
ミミズ「これ、僕の星で獲れたバナナ すごく美味しいんだ」
ミミズ「王様にもいっぱいあげたけど お母さんにもあげるね」
サクヤ「ありがとう・・・」
ミミズ「それじゃあ、お元気で 僕は自分の星に帰るね」
サクヤ「え、あ、その──」
ミミズ「どうしたの?」
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