第五話「惑星カザン」(脚本)
〇源泉
岩陰からリンゴとミミズが見つめる
ミミズ「溶岩を運んでいるのかな?」
リンゴ「ど、どうでもいいわよ・・・」
リンゴ「それより、この星 熱くて死にそうなんだけど」
ミミズ「でも指輪は 煮えたぎるマグマの中にあるんでしょ?」
ミミズ「だったら きっとあの噴火口の中じゃない?」
リンゴ「干からびて死んじゃう・・・」
ミミズ「! なにこれ?」
リンゴ「じ、地震だ!」
リンゴとミミズは動揺して
岩陰から飛び出してしまう
班長「こら! そんなところでサボるんじゃない!」
リンゴ「え? 私たちはさっき 外の星から来たばかりで──」
班長「問答無用! こっちに来て働け」
ミミズ「はーい」
リンゴ「はーいじゃないわよっ! なんでこうなるかなぁ・・・」
〇源泉
リンゴとミミズが溶岩を脇に置いて
休憩している
リンゴ「重すぎ・・・もうこんなの運べない」
ミミズ「頑張ろうよ、リンゴ」
リンゴ「あ、あんた・・・ なんで涼しい顔してるわけ?」
ミミズ「バナナの収穫時はいつも 炎天下で作業しているからね」
ミミズ「そうだ、疲れてるなら バナナでも食べて体力を回復しなよ」
ミミズ「リュックの中に・・・」
ミミズ「あっ!」
リンゴ「え? なに、その声」
ミミズ「少し腐ってる・・・」
リンゴ「えーーー!」
ミミズ「この星の熱さのせいだ このリュックでもダメなんだ・・・」
リンゴ「ちょ! どうするのよ! それがないと 王様に許してもらえないのよ」
リンゴ「元の星に戻ってもまた追放されちゃう」
ミミズ「だ、大丈夫。まだ一部だけだから 早くこの星を出られれば」
リンゴ「だったら、こんなところで 溶岩なんて運んでいる場合じゃない」
リンゴ「さっさと指輪を見つけて逃げ出さないと!」
班長「こら! お前たち、またサボっているのか!?」
リンゴ「ひぃ・・・! 見つかった!」
ハヤマ「班長殿! 向こうの噴火口、様子がおかしいです!」
班長「なに?」
ハヤマ「ここは私にお任せください 班長殿は早くあちらに・・・!」
班長「くっ。わかった。こいつらを甘やかすなよ」
ハヤマ「良かったな。もう大丈夫だ」
リンゴ「あなたは・・・?」
ハヤマ「俺の名前はハヤマ。ここで働く労働者だ」
〇ボロい山小屋
ハヤマ「な、なんだこの食い物は・・・! こんな美味いものがあったなんて」
ミミズ「僕の星のバナナだよ。おいしいでしょ?」
ハヤマ「あんたら余所モンだろ?」
ハヤマ「悪いことは言わねえ 早くこの星を出たほうがいいぞ」
ミミズ「どうして?」
ハヤマ「この星は・・・まもなく爆発する」
リンゴ「はあァァァ!?」
ハヤマ「確かな情報だ 最近、火山が活発になっている」
リンゴ「なんでみんな逃げないのよ?」
ハヤマ「俺たち労働者はこの星で生まれ この星でずっと働いて来た」
ハヤマ「今更ヨソに行って 生きる気なんてないんだよ」
リンゴ「だからって・・・」
ミミズ「自分の星は居心地いいもんねぇ」
ハヤマ「はは。坊主、なかなか面白いな」
リンゴ「でも私たち、まだ 指輪を見つけてないのよ!?」
ハヤマ「指輪?」
ミミズ「僕たち、この星に 赤い指輪を探しに来たんだ」
ミミズ「マグマの中にあるっていう」
ハヤマ「! 赤い指輪って もしかして・・・これか?」
リンゴ「あーーー! 本に描いてあった指輪と同じだ!」
リンゴ「なんで?」
ハヤマ「三日ほど前、仕事の途中で拾ったんだ」
ハヤマ「これが必要なら・・・ほら、やるよ」
リンゴ「え? いいの?」
ハヤマ「あんたらの役に立つ指輪なんだろ? おいしいものを食わせてもらったお礼だ」
リンゴ「ひぃ! じ、地震・・・! さっきより大きくない!?」
ハヤマ「今までで一番大きい・・・!」
ハヤマ「そろそろヤバイかもな」
リンゴ「そんな・・・!」
ハヤマ「宇宙船へ急げ! 俺が安全な道を案内してやる!」
〇火山の噴火
リンゴ「なんでこうなるのよ~!」
ミミズ「リンゴ、見て! 火山灰が キラキラ輝いて雪みたいだよ~」
リンゴ「こ、こんなときに呑気なこと言わないで!」
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