失恋中の俺は姫と公国再建中

ルーデンス

第一話 失恋(脚本)

失恋中の俺は姫と公国再建中

ルーデンス

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〇雨の歓楽街
神座慎吾(今日こそは美香に結婚を申し込むぞ)

〇ホストクラブ
吉澤美香「キャハハ、ターさんたら冗談がキツイわ」
神座慎吾「おーい、美香チョット」
吉澤美香「なぁーに慎ちゃん、怖い顔をして・・・あっ、分かった。また社長に大法螺吹いて怒られたんでしょう。気にしない何とかなるわよ」
神座慎吾「今日は聞いてもらいたい事が・・・」
吉澤美香「わかってるってパーティーでしょ、任しといて」
神座慎吾「結婚してください、愛してます」
吉澤美香「ありがとう嬉しい、そうね手帳だと53番目だから蓮ちゃんのあとでいいかしら?結婚」
神座慎吾「お、俺は真面目なんだぜ」
吉澤美香「そう、誰もみんな真面目に申し込んでるわ。慎ちゃんだけでなく」
神座慎吾「そ、そんな馬鹿な」
吉澤美香「そうだ、この前の1円返すね」
神座慎吾「ええっ!それは古銭で市場価値15万もするんだよ」
吉澤美香「だって、興味ないし・・・そうだ代わりに15万頂戴よ」
ウェイター「美香さんあちらでお呼びです」
吉澤美香「ハイハイじゃぁ慎ちゃん指輪有難うね」
ウェイター「お客様、当店は八菱のプラチナカードメンバーズクラブとなっております」
神座慎吾「俺は部長に降格されたけど持ってるぜ」
ウェイター「お客様のカードは昨日で失効となってますのでご入店はご遠慮下さい」
神座慎吾「な、なんだってー!仕方ない今日は現金で」
ウェイター「ダメです当店は八菱の会員制クラブですので出ていって下さい」
  屈強なウエイターは俺の腕をつかみ強引に出口へと向かった

〇雨の歓楽街
神座慎吾(いてて、専務から降格した途端これかよ)
  俺はあてもなく飲み屋を歩き回った

〇入り組んだ路地裏
  何時しか俺は路地裏を彷徨い、「時空管理局」という看板の店に入った

〇シックなバー
早乙女綺羅「いらっしゃいませ」
神座慎吾「ウィー、酒ダブルで」
早乙女綺羅「スマホにうちの店のアプリを入れませんか」
神座慎吾「何か特典があるの?」
早乙女綺羅「今日の飲み代が無料となります」
早乙女綺羅「ありがとうございます」
神座慎吾「あのさ、店名「時空管理局」とあるけど」
早乙女綺羅「昔からの店名ですからね気にしないで」
神座慎吾「な、なんだ。どうした」
「防御システム作動、ビーム切断」
神座慎吾「ううゎ、引き込まれる」
「攻撃システムの作動許可を」
早乙女綺羅「ダメよ、前例がないわ」
早乙女綺羅「もう、助からないわお客さん残念ながら」

〇時計

〇ヨーロッパの街並み
  気がつくと中世ヨーロッパの村みたいな所に俺はいた
神座慎吾「ここは、一体」
町人「どうした酔い潰れやがってだらしねえな」
神座慎吾「ハハハ、遠くから来たものですから、祭りですか」
町人「収穫祭だ、ほれもっと飲め」
神座慎吾「ありがとうございます。カンパーイ」
  その時だ、農民の身なりをした娘が俺に駆け寄って来た
ソフィア「お、お助け下さい」
神座慎吾「どうされたんですか?」
  その時身なりの立派な男が若い娘を追いかけて俺に近づいてきた
オズワルド「魔女め、儂の家畜を盗みやがって」
ソフィア「盗んでません私」
オズワルド「魔女の話が通ると思ってんのか」
  その男は若い娘を連れて行こうと娘の腕を掴んだ
神座慎吾「待ちたまえ、証拠があるのかい?」
オズワルド「何だと!魔女の肩を持つのか?引っ込んでろ」
  騒ぎを聞きつけ村人が集まってきた
  俺は男と娘の間に割って入った
神座慎吾「兎に角、警察に」
オズワルド「ハハハ、儂は警官だ、ほれ身分証」
オズワルド「その魔女を渡してもらおうか」
神座慎吾「お断りだね、彼女は私の許嫁なんだ」
オズワルド「あんた、よそ者だね!引っ込んでろ」
神座慎吾「魔女であっても人間だよ!それも証拠もなしで盗人とは、野蛮だね君は」
オズワルド「な、何だとう野郎」
  その時、落ち着いた感じの男が近づいてきた
村長「まぁまぁ、祭りの最中に、無粋だね」
オズワルド「村長」
村長「ねぇ若いの、許嫁なら家畜代弁償してくださらんか?」
神座慎吾(とは言っても今は15万の価値がある1円玉しか)
村長「ア、アルギスじゃないか!」
村長「これはこれは、大変失礼を」
神座慎吾「もしもし」
早乙女綺羅の声「生きてたんだ」
神座慎吾「ここはどこ?いつ戻れるの」
早乙女綺羅の声「修理に時間が必要です。そこは我々の時間軸と異なるパラレルワールドの一つです」
神座慎吾「1円玉に驚いてるんだけど?」
早乙女綺羅の声「アルミは金以上の値打ちがありますからその世界では、じゃぁまた」
神座慎吾「チョッ、切りやがった・・・でも何だか面白くなってきたぞ」
神座慎吾「村長、その金で弁償代と俺の帰りの旅支度をお願いしたいんだが」
村長「そりゃ喜んで、今夜はこの村の宿屋に御泊り下さい・・・いえお代は結構でございます」
ソフィア「有難うございました・・・失礼します」
  俺は立ち去ろうとする娘の腕を慌てて掴んだ
神座慎吾「この村で別れると許嫁でないのがバレてしまうから良かったら明日一緒に村を出てから別れないか」
ソフィア「でも・・・」
神座慎吾「そうだ、お名前をきかせて」
ソフィア「ソフィア、あなた様は?」
神座慎吾「神座慎吾、とりあえず宿屋に行きましょう」

〇綺麗な部屋
神座慎吾「ダ、ダブルベッド!部屋を取り換えてもらわなくては」
ソフィア「許嫁同士が別の寝室に?そんな事したら怪しまれますわ」
神座慎吾「しかし」
早乙女綺羅の声「とりあえずトルメニア公国の教会を転送場所に設定しましたので、そこに向かって下さい」
神座慎吾「トルメニア公国って?」
神座慎吾「自分の用件だけ言いやがって・・・」
神座慎吾「俺、外に行きますから先に寝ていて下さい」
ソフィア「ベッドで寝るの初めてなんです私・・・嬉しいわ」
  その時、ソフィアが指輪を俺に差し出した
ソフィア「そうだ、これを・・・念じれば願いは叶いますわ」
神座慎吾「へぇー面白そうだな有難う」

〇屋敷の書斎
オズワルド「クソ、折角の上玉を、あの小僧」
町人「およびですかい」
オズワルド「あの男を始末して来い・・・明後日あの魔女を貴族に売り渡す契約なんだ」
町人「へい」

〇ヨーロッパの街並み
町人「旦那さん、狩りを体験してみねいか」
神座慎吾「面白そうだな、ぜひお願いするよ」

〇霧の立ち込める森
ダフィット「者共、アシリア姫を捕らえたら褒美をとらすぞ」

〇けもの道
アシリア姫「闇討ちとは卑怯な、マクシミリアン伯爵軍」
町人「へへへ、やってるぜ」
神座慎吾「あっ、美香、美香じゃないか」
  俺は美香に駆け寄った
町人「こりゃあたまげた。自分から飛び込んでいくとは」
神座慎吾「美香、何故?」
アシリア姫「誰じゃ、そなた」
神座慎吾「俺だよ俺、神座慎吾」
アシリア姫「わらわの味方か?なら敵を撃退せい」
神座慎吾「そう来なくっちゃ、ワクワクするぜ」
神座慎吾「おい大将、いい加減に降伏したらどうだ」
ダフィット「ハハハ、何を抜かす」
神座慎吾(人は殺したくない・・・脅すか?でも指輪は本当に効果あるのかよ)
神座慎吾「出でよ兵士達」

〇けもの道
  俺が指輪を掲げ進軍を叫ぶと森の霧の中から現れた兵士がマクシミリアン伯爵軍に迫ってきた
ダフィット「ば馬鹿な・・・退却だ」
  指輪を掲げ退却を叫ぶと兵士たちは忽然と消えた
神座慎吾「うまく行った・・・帰るか」
アシリア姫「待て慎吾とやら、わらわをトルメニアまで護衛しろ、礼は弾むぞ」
神座慎吾「礼より、それっておもしろいの?」
アシリア姫「またさっきのダフィット司令官の襲撃を迎え撃てる面白さはある」
神座慎吾「よし乗った、でもソフィアを送った後でもいいかい?」
アシリア姫「仕方ないのう」
ソフィア「お遊びは終わりましたかしら?慎吾」
神座慎吾「どうやったの?」
ソフィア「指輪による空間移動ですわ」
神座慎吾「凄い、どんな事ができるの?」
ソフィア「ペアの指輪を持った相手への移動が出来ますが、それ以外の場所へは二人で行かないとダメなんですのよ」
アシリア姫「誰じゃ、お主、名を名乗れ」
ソフィア「ソフィアと申します」
アシリア姫「魔女か」
ソフィア「慎吾の許嫁でございますお姫様」
神座慎吾「と、兎に角、二人共宿へ」

〇綺麗な部屋
神座慎吾「しょうがない、俺用にもう一部屋借りるか」
アシリア姫「待て、わらわはこの娘と同じ部屋か?」
神座慎吾「何かご不満でも?」
アシリア姫「わらわは、一人部屋が所望じゃ」
ソフィア「少しお話をしませんか?」
神座慎吾「ああ、何だい?」
ソフィア「実は私、魔女なんです」
神座慎吾「そうかい」
ソフィア「驚かないんですか?」
神座慎吾「別に、特殊能力を持った人間・・・ただそれだけでしょ」
ソフィア「嬉しい、その指輪ですけど、魔女の夫が持つ指輪なんです」
神座慎吾「ええっ!そんな大切なもの・・・」
神座慎吾(まずいぜ、結婚したら俺が現世に戻った後ソフィアは哀しむ事になる)
ソフィア「街で助けてくれた時、魔女も人間だって言ってくれましたでしょ」
神座慎吾「ウン」
ソフィア「嬉しかったです、私。・・・指輪、迷惑ですか?」
神座慎吾「気持ちは有り難いけどもう少しお互いに理解してからの方が」
ソフィア「そうですわね、自分の気持ちだけで走ってしまうんです私、ゴメンなさい」
神座慎吾「誰でもそうだよ、謝ることないさ」
ソフィア「ありがとう」
神座慎吾「そうだ、部屋は半分にカーテンで仕切ろうか、ジェリコの壁みたいに」
ソフィア「何ですの?ジェリコの壁」
神座慎吾「あぁ、カーテンで部屋を仕切ってソフィアのプライバシーを守ろうって事さ」

〇城の客室
アシリア姫「わらわはここにする」
神座慎吾「天蓋付きかよ」
アシリア姫「心配するな慎吾とやらここの宿代はわらわが払うぞ」

〇ヨーロッパの街並み
  翌朝、俺とソフィアと姫は村長が用意した馬車に乗り込んだ
アシリア姫「何でわらわの服がドレスではないのじゃ」
神座慎吾「その方が安全ですし姫様」
アシリア姫「是非もないか・・・わらわは幌の付いた荷台に居る故食事ができたら呼ぶがよい」
神座慎吾「馭者を頼めるかいソフィア」
ソフィア「任せてください」
神座慎吾「じゃぁ、行こうか」

次のエピソード:第二話 ルドルフ家の腕輪

コメント

  • 第1話から主人公が危機に巻き込まれ、2人の女性に挟まれる‼無駄がなく、展開が早くて面白いですね!見習いたいです。
    『ジェリコの壁』は『或る夜の出来事』ですね?
    私も古典映画は結構好きなので、ちょっと感動しました‼

  • キャバクラ嬢に振られてしまってやけ酒したのが運のツキだったみたいですね! なかなかこんな経験できないだろうなあと、主人公に今は羨望の眼差しです。

  • 異世界に飛ばされてもケータイが生きているのは心強いですね。美香にそっくりなアリシア姫とのラブストーリーかと思ったら魔女との三角関係(?)が始まって何やら面白い展開になってきました。

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