ジビエの姫

山本律磨

ダーティーワーク?ホーリーワーク?(脚本)

ジビエの姫

山本律磨

今すぐ読む

ジビエの姫
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇荒れた競技場
綾「ちくしょう!」
  『まあ、お下品』
綾「・・・」

〇球場のベンチ
姫子「~♪」
綾「そのわざとらしい口ぶり、そろそろ止めてほしいんですけど」
姫子「あれ、私達って心を開く程の仲かしら?」
綾「・・・」
綾「宍倉さんから聞きました。姫子さんは仕留めたいだけでしょう。自分の手で大嫌いな猪を。鹿を」
綾「すご~く上品なお考えですね~」
姫子「そういう貴女は何故銃を手にしてるの?」
綾「勿論地元交流と勉強です。でもいつかちゃんと責任を持って仕留めたいと思ってます」
綾「憎むのも憐れむのも動物に失礼です。ただ命に感謝して。その死を見つめて・・・」
姫子「ふあ~」
姫子「あら私としたことが、ごめんあそばせ」
姫子「御高説、お続けになって」
綾「もういいです!」
姫子「もしもし」
姫子「はい。はい。はい」
姫子「了解しました。早速」
姫子「では私はこれで。ごめんあそばせ」
綾「おデートですか?」
姫子「そんな退屈なものじゃなくてよ」
姫子「ついてらっしゃる?広報誌の取材も兼ねて。きっと面白い記事になるわよ」
綾「面白い・・・?」

〇山間の田舎道
姫子「~♪」
綾「車、厳つすぎるのよ」

〇森の中
綾「いつも姫子さんに頼んでるんですか」
農家「そりゃ、おれ鉄砲持ってないし」
姫子「お待たせ致しました」
綾「あれ、銃は?」
姫子「ここは銃猟禁止区域よ」
綾「鉄砲関係ないじゃないですか」
農家「こんな真似、素人にできるかよ」
農家「じゃあ、お願いしまーす」
綾「男が止めを刺す仕来りじゃないの?」
姫子「・・・」
綾「何やってるんです?」
姫子「こんな感じでいかが?」
綾「はい?」
姫子「ジビエの姫は十字架に祈りを込めて止めを刺す」
姫子「哀れみは失礼。命に感謝し、その死を見つめる」
姫子「つってね~」
姫子「次の広報誌にはそうお書きになって」
綾「・・・ふん」
姫子「・・・」
鹿「・・・!」
綾「・・・」
姫子「・・・」
綾「・・・」
綾「な、何か手伝えることは?」
姫子「もう終わったわ」
姫子「そうね・・・じゃあ私の車からビニール袋を取ってきてもらえる?」
綾「はい」
綾「・・・」
綾(私は逃げない)
綾(目を背けない)
農家「あの~もう終わりました~?」
姫子「はい。今から捌きます。内臓はここに埋めて構いませんか?」
農家「え~?そっちで持っていかないの~?」
綾「それくらい協力して下さい!あなたの山で生きていた鹿でしょう!」
農家「じょ、冗談ですよ。どうぞどうぞ」
姫子「・・・袋。早くして」
姫子「いくら獣でも、こんな姿見られたくないんじゃないかな?」
綾「・・・!」
綾「は、はい」
綾「ごめんなさい・・・」
姫子「・・・」
姫子「・・・」

〇黒
  Tobe・・・

次のエピソード:ワイルドキングダム!(前編)

ページTOPへ