恋に落ちたスライム

在日ミグランス人

第7話 別れ(脚本)

恋に落ちたスライム

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〇西洋の城
「スライムを出せーーッ!!」

〇城の廊下
リン「何が起きてるの⋯⋯?」
侍女「先日の魔物が襲撃してきた件⋯⋯」
侍女「あれはライム様のせいだと言うのです」
リン「そんな事あるワケが⋯⋯」
侍女「はい」
侍女「しかし何者かによって煽動されているようです」
リン「煽動⋯⋯?」
リン(まさか⋯⋯ リヴァルが!?)
リン「ライムは?」
侍女「私の部屋で匿っています」
侍女「しかしこのままでは⋯⋯」

〇城の会議室
王様「事実なのか?」
宮廷魔術師「あのスライムが来てから、魔物の襲撃があったのは事実です」
王様「そうではない」
王様「そのスライムには直接聞いてみたのか?」
宮廷魔術師「陛下は我々よりも、魔物の言葉を信じるのですか?」
王様「⋯⋯」
リン「ライムがそんな悪巧みなんてする筈がない」
リン「純粋に私に会いに来ただけよ」
宮廷魔術師「しかしこのままでは民に示しがつきません」
宮廷魔術師「もし魔物と通じているなどと噂が立ったら、王家の沽券にも関わります」
宮廷魔術師「スライムは追放すべきです」
王様「⋯⋯」
王様「⋯⋯ならん」
宮廷魔術師「は?」
王様「たかがスライム一匹で我が国は滅びたりせぬ!」
王様「国を救ってくれた英雄に対して、何たる仕打ちか!」
リン「パパ⋯⋯」
宮廷魔術師「しかしそれでは⋯⋯」
王様「民には儂が話をつける!」
宮廷魔術師「いや、陛下自らがそんな⋯⋯」
王様「貴様こそ⋯⋯」
王様「君主の言葉が信じられんのかっ!?」
宮廷魔術師「は、ははぁ⋯⋯」

〇西洋の城
町人「スライムを出せーーっ!!」
町人「追放しろーーッ!!」
町人「いいや! 殺せーーッ!!」
リヴァル「皆さん、その調子です!」
リヴァル「もっと声を上げましょう!」
リヴァル「チカラを合わせて、平和な日常を取り戻しましょう!」

〇城の客室
侍女「ライム様!」
侍女「いない?」
侍女「一体どこに⋯⋯?」
侍女「これは⋯⋯」

〇洋館の玄関ホール
王様「⋯⋯」
リヴァル「まさか⋯⋯」
リヴァル「陛下自らが⋯⋯」
王様「随分な数を味方につけたな、リヴァル」
リヴァル「民意、というやつですよ」
リヴァル「民は不安を感じています」
王様「その不安を煽ったのは貴様ではないのか?」
リヴァル「魔物が襲って来たのは紛れもない事実です」
王様「その後、街の火を消したのはスライムだろう」
リヴァル「自作自演ですよ」
王様「それは貴様の方ではないのか?」
リヴァル「⋯⋯」
王様「⋯⋯」
町人「王様、一体何が起きているんですか?」
町人「本当の事を話してください」
町人「また、あんな事が起きたら、と思ったら⋯⋯」
町人「不安で仕方がないんです⋯⋯」
王様「む⋯⋯」
リヴァル「陛下⋯⋯」
リヴァル「陛下は自国民と、魔物と、どちらを選ぶのですか?」
リヴァル「たかがスライム一匹の為に、また民を危険に晒すのですか?」
リヴァル「それとも⋯⋯?」
王様「⋯⋯」
侍女「いけません! ライム様!」
ライム「ごめんなさい⋯⋯」
ライム「ぼく⋯⋯」
ライム「迷惑ですね⋯⋯」
ライム「出て行きます」
王様「ならん!」
王様「ここで出ていけば、己の非を認める事になる」
ライム「⋯⋯」
ライム「難しい事はわからないけど⋯⋯」
ライム「ケンカはダメです」
ライム「みんな、仲良くしないと」
王様「⋯⋯!!」
ライム「お世話になりました!」
王様「許せ⋯⋯」
リン「待って!」
ライム「リン⋯⋯」
リン「ライム⋯⋯」
ライム「⋯⋯」
リン「⋯⋯」
ライム「⋯⋯」
  どうしてだろう⋯⋯

〇霧の立ち込める森
  どうして、ぼくらは出会ってしまったんだろう⋯⋯

〇けもの道
  静かで、穏やかで、
  何もないけど、平穏な日々だった⋯⋯

〇ファンタジー世界
  憧れていれば満足だったのに⋯⋯
  それで良かったのに⋯⋯

〇森の中
  どうして君は⋯⋯
  ぼくの前に現れたの?
  出会わなければ⋯⋯
  こんな気持ちにならずに済んだのに⋯⋯

〇洋館の玄関ホール
リン「⋯⋯」
ライム「⋯⋯」
リン「あの⋯⋯」
ライム「さようなら」
リン「ごめん⋯⋯」
リン「ごめんなさい⋯⋯」

〇西洋の城
ライム(やっぱりダメだった⋯⋯)

〇中世の街並み
ライム(ぼくはニンゲンじゃない)

〇噴水広場
ライム(好きになっちゃいけなかったんだ⋯⋯)

〇西洋の市場

〇ヨーロッパの街並み
ライム(森へ帰って、また静かに暮らそう)

〇結婚式場前の広場

〇外国の田舎町
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

〇黒

〇上官の部屋
宮廷魔術師「陛下には驚かされました」
宮廷魔術師「まさかスライムに対してあんなに信を置いていたなんて⋯⋯」
リヴァル「構わないさ」
リヴァル「国を守る為、と言えば反対はしないだろう」
リヴァル「そもそも民がもう黙っていない」
宮廷魔術師「うまく焚き付けましたからねぇ」
リヴァル「準備は?」
宮廷魔術師「万端です」
宮廷魔術師「では、いよいよですね⋯⋯」
宮廷魔術師「魔の森の攻略、及び聖樹の花の捜索⋯⋯」
リヴァル「名目上は報復である事を忘れるな」
リヴァル「主役は民だ⋯⋯」
リヴァル「俺達はのんびり、後方から支援に徹すれば良い⋯⋯」

次のエピソード:第8話 それぞれの戦い

コメント

  • うわーん、ライム、ライムーっ!!😭
    泣いちゃいました。

    王様の登場は、国ですし突然出てきても全然問題ないです👍

  • 王道の展開なのに楽しめるのは、これまでの流れの中でライムのキャラを確立させたからなのかなと思いました。
    キャラの背景が異なれば、お決まりの展開でも違う味わいを出す事が出来るのですね。

  • 大活躍からの急転直下で悲しい……
    自分の存在が原因だから去る潔さというよりかは、その問題と向き合う気力も湧かない逆境という感じがして切ない回でした
    どんどんライムが好きになっていきます

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