エピソード42(脚本)
〇たこ焼き屋(看板無し)
たこ焼き屋『ごっつ』の店先には、『閉店セール』ののぼりがでている。
〇たこ焼き屋の店内
藤原一茶「帰ったでー」
藤原一茶「・・・って、え!?」
真田紅音「よ」
藤原一茶「自分、なにしとんねん」
真田紅音「そこそこのたこ焼きを食ってる」
藤原一茶「しばくぞ、こら」
藤原一茶「ってちゃうわ、試験はどないなっとんねん。 一億つこて、何すんねん」
藤原一茶「こんなとこで油売っとる場合ちゃうやろ。 いや、油食っとる場合ちゃうやろ」
真田紅音「たこ焼きを油って言うなよ、食う気が失せる」
真田紅音「てか、お前こそ何やってんだよ? 店なくなるんじゃなかったのかよ」
藤原一茶「ふん、俺の地元ではな、閉めるなってから一年は閉店セールやるいうルールがあんねん」
真田紅音「聞いたことないローカルルール持ち出すなよ」
藤原一茶「ほんで、何しに来てん。 ほんまにタコ食いにきたわけちゃうやろ」
真田紅音「一億いらない?」
藤原一茶「ああ、おおきにもらっとくわ」
藤原一茶「って、なるかい!」
真田紅音「なんで、金のためにやってたんだろ。 なら、いいだろ」
藤原一茶「・・・ほんまに、なんやねん自分。 お人よしなんか、バカなんか、どっちや」
真田紅音「どっちでもない、ただそうするのが自分の中で一番しっくりくるんだよ」
藤原一茶「しっくりくるわけないやろが」
真田紅音「僕のしっくりを勝手に決めるなよ」
藤原一茶「見たらわかるわ、しっくりきてへんわ」
真田紅音「むしろがっちり来てる」
藤原一茶「なんや、しっくりとがっちりの違いがわかるんかい」
藤原一茶「せやったら詩人にでもなった方が──」
藤原晶子「なに言うてんのあんたら」
一茶の母である晶子(あきこ)が二人にお茶を出した。
真田紅音「息子さんが一億円を受け取ろうとしないんです」
藤原晶子「なんでや」
藤原一茶「なんでもくそもないわ」
藤原一茶「だいたい、それ別にお前の一億やて決まったわけちゃうやろ?」
藤原一茶「内定もれて、つこた一億返せ言われたら、それのが一番悲惨や」
真田紅音「それは、そうかもしれないけど・・・」
藤原晶子「まあな、ただより高いもんはあらへんからね」
藤原一茶「お前な、一億から逃げんなや」
真田紅音「別に逃げてるわけじゃ・・・」
藤原一茶「いや、お前は逃げてるわ」
藤原一茶「自分の身の丈に合わん大金もろて、そんでちゃんと向きおうてへんねん」
藤原一茶「せやから、ほかの受験生に百万返そ思た時も、瑚白に頼んだんやろ、自信がないから」
真田紅音「それは、瑚白ならきっとやってくれるって思ったから」
真田紅音「って、なんで知ってるの?」
藤原一茶「は、何がやねん」
真田紅音「僕が瑚白に頼んだって」
藤原一茶「それは、あれやん、そうテレビで・・・」
ピロン♪
瑚白『うん、頑張る!』
瑚白『ちゃんと五億円稼げたら、いっぱい褒めてね(*^_^*)』
「・・・・・・」
真田紅音「いっぱい褒めてね、顔」
藤原一茶「なんやねん」
藤原晶子「いっぱい褒めてね、顔」
藤原一茶「せやから、なんやねん」
真田紅音「一茶」
紅音をにやにやした顔で一茶を見つめる。
藤原晶子「お赤飯たかなアカンな」
藤原一茶「やめろや」
〇空港前
〇空港ターミナルビル
真田紅音「どうしてヨーロッパに? ただの遊びなんじゃないの?」
真田正志「違うって」
真田正志「難民問題の今をさ、現地でちゃんとみてこようと思って」
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