堕落の果て(脚本)
〇黒
──あれから何年経っただろうか──
女性を誘拐しては奴隷として身辺を固める生活を送っていた。
あれから何人かと共犯を重ねては1人1人と去っていく。
彼は孤独だ。寂しいワケではない。何をしても満たされない。心の飢えだけが襲う。
大富豪がこの世の全ての娯楽をシャブリ尽くした後、その先に待っている「虚無」それに酷似していた
〇レンガ造りの家
施設の園長「銀次くん!銀次くん!」
「おーい!」
施設の園長「手当たり次第さがしたのですが・・・」
警察官「ええ・・・こちらでも全力で捜索に当たります!」
警察官「6歳の子の行方不明は事故か誘拐の可能性が視野に入ります・・・酷な様ですが見つけるのが困難で最悪のケースも想定して下さい」
施設の園長「・・・はい・・・」
「わぁぁーん」
施設の園長「あの子は、皆からも愛されて器用にこなせる子でした・・・何であの子が」
施設の園長「うぅ・・・」
警察官「心中お察しします。しかしこの件はあなた達の責任ではないので気落ちしないでいただきたい」
〇岩穴の出口
男の子「僕の新しいおウチだ」
〇荒廃した教会
外村秀匡「・・・・・・」
〇荒廃した教会
震えの止まらない女性「・・・・・・ガタガタっ」
衣服の乱れたままの女性「今日はどうなされますか? 薬をいただきたいのですが・・・何でもします!」
不服な妊婦「・・・・・・・・・!!!」
外村は何人か身篭った。勿論世帯を持ちたい等の俗な事には興味はない。
かつての仲間の周防タカシみたいに快楽の果てでもない・・・
ただ意味もなく何となく・・・何となくだ。
産まれた何人かは薬で壊れた女性が生きたまま食い殺したりもした。外村は産まれた子供が食い殺されても何も感じない
血が、臓物が散乱して、骨をバキ!バキ!と砕かれても何も思わない。
その女性の大半も果てには死んでしまい、廃墟の下の地面に埋める作業だけがひたすら面倒だった。
今残ってるのは、末期の女性。洗脳済の考える事を停止して玩具と化した女性。そして外村の子を身篭った女性の3人だけになった
皆、薬がなければ生きられない。あっても長くはない。どちらにせよ死ぬ迄の苦痛だ
衣服の乱れたままの女性「お願いしますぅぅ・・・何でもしますから。 薬を分けてくださぁぁあい」
外村秀匡「もう、いい・・・あっちへ行ってろ」
震えの止まらない女性「ガタガタ・・・」
外村秀匡「・・・ぅざってぇ・・・」
外村秀匡「ふぅ・・・」
彼は瞑想に近い沈黙をする時間だけが増えていった
〇警察署の入口
刑事「まだ証拠は出揃わないのか!」
ヤル気のない刑事「はぁ・・・何せもう30年近く前の事件で少年の名前も当時から偽名」
ヤル気のない刑事「遡ればコインロッカーに破棄されていた赤ん坊をゴロツキの夫婦が拾って子供がいるって「貞操」の為だけの道具だったとしか・・・」
ヤル気のない刑事「なんていうか、社会に「存在しない」というのが正しいのですわ」
ヤル気のない刑事「名前も拾った久保夫婦が「銀次」と付けただけでペットを飼うように戸籍登録すらしなかったみたいで・・・」
ヤル気のない刑事「昔、半月しかいなかった孤児院と、入る前の村の役所の人と近隣の人くらいしか情報がなく・・・」
刑事「バカモン!そんな事で泣き寝入りして被害者が増えたらたまったもんじゃないぞ」
ヤル気のない刑事「はぁ・・・すんません」
刑事(戸籍がないだと・・・指紋がないより厄介だな。言ったもののこれじゃ迷宮入りに近くなりそうだ)
〇荒れた倉庫
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