第二話 面接番号一番 勘違いポンコツ 小田浜ゆり その1(脚本)
〇オーディション会場(物無し)
宮坂皐「面接番号一番の方、お待たせ致しました。どうぞ!!」
小田浜ゆり「失礼します!!」
宮坂皐「では、ご着席ください」
小田浜ゆり「はい、失礼します!」
部屋に入ってきた少女は、そそくさと俺の真向かいにある、ぽかんと一つ置かれた椅子に座る。
雪根サトシ「え???」
宮坂皐「お名前を教えてください」
小田浜ゆり「小田浜ゆりです!!よろしくお願いします!」
宮坂皐「はい。では、面接の方を始めさせていただきます」
小田浜ゆり。彼女も、俺と同じクラスの少女だ。
雪根サトシ「あの・・・・・・ちょっといいかな」
小田浜ゆり「なんでしょう?」
雪根サトシ「ちょっと、それはマズいっていうか・・・・・・」
小田浜ゆり「あぁ、ごめんなさい。髪の色は地毛なんですよ!私、生まれたときから青髪で!!」
雪根サトシ「いや、ちげーよ!!」
雪根サトシ「水着だよ!水着!!」
小田浜ゆり「あぁ、やっぱり、こういうのはカタチから入った方がいいのかな・・・・・・って思って」
小田浜ゆり「私、面接とか初めてで・・・・・・よく、分からなくて」
雪根サトシ「面接って常識的に考えてスーツだと思うんだが・・・・・・」
ていうか、そもそも面接で彼女をつくるっていう時点で、現代では常識的ではないのだが、そこにツッコむのはもう諦めた
宮坂皐「小田浜さん、その服で大丈夫ですよ」
宮坂皐「雪根さん、あなたの常識は、世間の非常識なんです」
宮坂皐「大学の入試や、就職活動の際は、皆さん水着で面接に挑まれますよ」
雪根サトシ「え・・・・・・」
小田浜ゆり「ホント!?よかった!」
小田浜ゆり「はぁ・・・・・・なんか安心したよ」
雪根サトシ「え?いやいや、普通スーツだろ!!」
雪根サトシ「これじゃぁ、グラビアの撮影みたいになってるじゃねーか」
小田浜ゆり「グラビアってあれですか?ムアーウィヤが建国したやつですか?」
雪根サトシ「それ『ウマイヤ』」
小田浜ゆり「じゃ・・・・・・じゃあ、アーサー王の奥さんの・・・・・・」
雪根サトシ「それ『グィネヴィア』」
なんだよ、このやりとり。漫才かよ。ちょうど受験で、歴史の勉強してたからわかったけど・・・・・・
なんか、いい復習になったわ。
ていうか、小田浜さんって、・・・・・・
ポンコツじゃん。
雪根サトシ「なんで、ウマイヤとかグィネヴィアがわかって、グラビアがわかんねーんだよぉぉ!!」
宮坂皐「口を慎め。雪根サトシ、これ以上喋ったら、爆(は)ぜさすぞ」
その声音は、普段温和な人間が、怒りを耐えかねたときのように、静かなものだった。しかし、間違いなく刺しにきていた。
宮坂皐は、先ほどまでとは別人のように豹変し、恐ろしいほどの剣幕で、自分の親を殺した奴を睨むみたいにこっちをみてくる
雪根サトシ「すっ・・・・・・すいませんした」
こええええええええ!!!!!!怖い。怖すぎる。
てか、なんだよ『爆ぜさすぞ』って、聴いたことないよ、そんなセリフ!!
おおよそ、女子高生が使う言葉にしては、乱暴過ぎるというか、犯罪的というか・・・・・・
やべぇ。こいつ、まじやべぇ。
宮坂皐「では、小田浜さん、あなたが彼に好意をもった理由についてお答えください」
雪根サトシ「え・・・・・・なんだよそれ」
雪根サトシ「マジで、そんなこと聴くの??」
宮坂皐「えぇ、もちろんです。だって、これはあなたの彼女を決めるためのものなんですから」
宮坂皐「必要な情報ですよ」
雪根サトシ「まじかよ・・・・・・」
小田浜ゆり「そっ、そうですね・・・・・・」
小田浜ゆり「口説かれたといいますか・・・・・・」
雪根サトシ「え??」
そんな記憶ないんだけど・・・・・・