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第ニ涙 護衛と教育係(脚本)

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〇後宮の廊下

〇後宮の庭
  『雨は神さまの涙だよ』
  誰かが
  
  そう言っていたのを覚えている
  どれだけの悲しみを
  
  雨粒に託すのだろう?
  人生の中で・・・
  流した涙の量と溢れた笑顔の量
  どちらの量が多いのだろう?
  『きっとどちらも同じくらい』
  『泣いた分だけ笑顔になれるよ』
  誰かが
  
  そう言っていたのを覚えている
  ねぇ?
  
  神さま。
  神さまは今・・・
  笑顔で過ごしていますか?

〇御殿の廊下
佐須良(さすら)「今日からそなたを朝から晩までみっちり護る事になった佐須良だ! よろしくな! ・・・で、こっちが・・・」
菖(しょう)「佐須良と共にアンタの護衛をする事になった・・・菖よ・・・ よろしくね」
夕顔(ゆうがお)「菖さんは・・・護衛・・・というより・・・ 瑚蓮さまの教育係! ですね!!」
瑚蓮(これん)「き・・・教育係!?」
夕顔(ゆうがお)「はい! 菖さん! ビシバシよろしくお願いします♡」
菖(しょう)「任せてちょーだい♪」
夕顔(ゆうがお)「では!早速!!」
夕顔(ゆうがお)「瑚蓮さまの護衛と教育! よろしくお願いします!!」
「了解♪」
夕顔(ゆうがお)「ところで瑚蓮さま さっき連絡があって・・・ お昼過ぎから『舞姫の会合』が 開かれるようです」
瑚蓮(これん)「え!? そうなの!?」
瑚蓮(これん)「・・・やだなぁ・・・」

〇中華料理店
瑚蓮(これん)(・・・早く終わらないかな・・・?)
棗(なつめ)「・・・早く終わらないかしら?」
棗(なつめ)「顔に出ててよ? 瑚蓮さん?」
瑚蓮(これん)「・・・えっ!? 本当ですか!?」
棗(なつめ)「・・・ウソ♡ 冗談よ!!」
瑚蓮(これん)「・・・」
海棠(かいどう)「では、皆様!! 本日の会合はここまで!!」
海棠(かいどう)「各自、それぞれの『節句』に向けて 準備を進めてくださいね!!」
棗(なつめ)「はぁ・・・!! 終わったー!!」
瑚蓮(これん)(・・・さて・・・帰ろうっと!!)
棗(なつめ)「・・・瑚蓮さん!! ちょっとお待ちになって?」
瑚蓮(これん)「・・・ん? どうかなされました?」
棗(なつめ)「・・・会合が始まる前から気になってたんだけど・・・!!」
瑚蓮(これん)「???」
棗(なつめ)「素敵な殿方をお連れね・・・!!」
棗(なつめ)「ね!!ね!! 紹介して下さらない?」
瑚蓮(これん)「・・・え・・・え──っと・・・」
「あら! アタクシにも紹介して欲しいわっ!!」
瑚蓮(これん)(・・・ど、どうしよう・・・!!)
佐須良(さすら)「帰るぞ 瑚蓮」
菖(しょう)「舞姫様方・・・ 瑚蓮様は 本日、体調が優れませんので・・・」
菖(しょう)「お先に失礼致します」
「・・・・・・・・・」
棗(なつめ)「・・・瑚蓮のくせに!! 生意気ね・・・!!」

〇中華風の通り
瑚蓮(これん)「・・・ふぅ〜・・・ 助かったー! 二人共、ありがとう!!」
佐須良(さすら)「ああいう時は 逃げるが勝ちだな!」
菖(しょう)「・・・」
菖(しょう)「・・・そうね・・・ あのままモタモタしてたら・・・ 逃げ切れなかったでしょうね」
菖(しょう)「瑚蓮! ああいう時は、スピードが肝心よっ!! 情けは無用!! わかった?」
瑚蓮(これん)「は、はいっ!!」
佐須良(さすら)「・・・で? これからの予定はあるのか?」
瑚蓮(これん)「特には・・・ないけど・・・あっ!!」
瑚蓮(これん)「ちょっと二人共! ここで待ってて!!」
佐須良(さすら)「──にしても・・・ 菖! 機転が効いたな?」
菖(しょう)「佐須良の方こそ ナイスタイミングだったじゃない?」
佐須良(さすら)「当然♪ 我は今、瑚蓮の護衛なのだからな!」
瑚蓮(これん)「お待たせー!!」
瑚蓮(これん)「はいっ!! みんなで食べよ──!!」
佐須良(さすら)「瑚蓮・・・? 何だ?その食べ物は!?」
菖(しょう)「・・・た、鯛焼き? ・・・どうして急に買ってきたの!?」
瑚蓮(これん)「あ、あれ? 二人共、鯛焼き嫌いだった?」
瑚蓮(これん)「じゃ・・・じゃあ・・・!! ちょっと待ってて? ──今すぐ別のものを・・・」
菖(しょう)「待ちなさい!待ちなさい!!」
菖(しょう)「急にどうしたのっ!?」
瑚蓮(これん)「・・・あ、いや・・・ さっき助けてくれたお礼と・・・ 今日から護衛してくれる二人への歓迎の気持ちを込めて・・・」
瑚蓮(これん)「今、あんまりお金持ってないから・・・ 鯛焼きでごめんね?」
佐須良(さすら)「!!!!!!!!」
佐須良(さすら)「瑚蓮ッッッ!!!!!! そなたはほんに・・・ 優しいな!」
佐須良(さすら)「ほれ! その鯛焼きとやらを貸してみろ! 我が食べさせてやろうぞ!!」
瑚蓮(これん)「いや・・・私は私で食べれるから! はい!佐須良!! 護衛になってくれて、ありがとう!!」
瑚蓮(これん)「・・・菖さんも・・・ 苦手じゃなかったら・・・どうぞ!!」
菖(しょう)(・・・ったく・・・ ほんっと『いい子ちゃん』ね・・・)
菖(しょう)「・・・そういう事なら・・・ いただくわ!!」
瑚蓮(これん)「教育係・・・ よろしくお願いします!!」
菖(しょう)「ビシバシ行くわよ──!!!!」

〇後宮の廊下
紫苑(しおん)「よしっと!」
萱草(かんぞう)「紫苑・・・ 調整は出来たか?」
紫苑(しおん)「ああ・・・兄者・・・ これで邪魔は出来ないハズだ」
紫苑(しおん)「って・・・ 何、食べてんの?」
萱草(かんぞう)「ああ、コレか? 鯛焼きだ!」
萱草(かんぞう)「祠に供えてあったものを盗って来た♪ 紫苑も食うか?」
紫苑(しおん)「いや、いらない・・・ ボクが甘いもの嫌いって知ってるでしょ?」
萱草(かんぞう)「言ってみただけだ」
紫苑(しおん)「あ、そ。 なら、酒持って来てよ」
萱草(かんぞう)「ん? 何か肴になりそうな事があるのか?」
紫苑(しおん)「・・・ちょっと試しに 記憶を一つ『掘り起こし』てやろうと思ってね」

〇後宮の一室
瑚蓮(これん)「・・・ふぅ・・・!! 今日は、舞姫の会合もあって・・・ 疲れたな・・・」
瑚蓮(これん)「・・・でもまさか 佐須良が護衛だなんて・・・ 世間は狭いなぁ・・・」
瑚蓮(これん)「菖さんは・・・ ちょっと話し方が独特だけど・・・ 悪い人じゃなさそうだし・・・」
瑚蓮(これん)「これから頼りにさせてもらおうっと──」
瑚蓮(これん)「──って・・・あ!」
瑚蓮(これん)「もう笹の葉に短冊が吊るされてる!」
瑚蓮(これん)「そうだよね・・・ 今日、舞姫の会合でも海棠様が言ってたもんね」
瑚蓮(これん)「もうすぐ 『七夕の節句』かぁ・・・!」
瑚蓮(これん)(私は、『端午の節句』担当だから・・・ まだ一年近くあるけど・・・ 他の舞姫様方の舞を見て 勉強しないと!!)
瑚蓮(これん)(・・・って・・・ なんか強烈に眠気が・・・)

〇後宮の庭
???「瑚蓮・・・」
???「瑚蓮のそういう考え方・・・ 嫌いじゃないよ」
???「なぁ? 神サマの願いって 誰が叶えてくれるんだろうな?」
瑚蓮(これん)(ああ・・・ 知ってる・・・)
瑚蓮(これん)(この人は私に・・・)
瑚蓮(これん)(神さまに祈る大切さ・・・ 神さまに縋る・・・自分の弱さ・・・ それに付け入る者がいる・・・怖さ・・・)
瑚蓮(これん)(そして・・・ 神さまに恋する事を・・・ 許してくれた人・・・ 教えてくれた人・・・)
瑚蓮(これん)(どうして私は・・・)
瑚蓮(これん)(こんな大切な人の存在を・・・ 忘れてしまっていたんだろう?)

〇時計
菖(しょう)「はっ!?」
菖(しょう)「アタシが食べた・・・ 瑚蓮の平行世界の内の一つが・・・!!」
菖(しょう)「瑚蓮の記憶が・・・ 一つ、戻った・・・!?」

〇後宮の一室
瑚蓮(これん)「・・・」
瑚蓮(これん)「・・・」
佐須良(さすら)「瑚蓮ー!!!! おはようさん♪ 朝だぞー!!!!!!」
佐須良(さすら)「・・・って──」
佐須良(さすら)「誰だ────!!!!!!!!!! 瑚蓮を泣かせた不届き者は!! 誰だッッッッ────!!!!!!!!」
瑚蓮(これん)「・・・佐須良・・・」
佐須良(さすら)「ん?」
瑚蓮(これん)「・・・うるさい・・・」

次のエピソード:第三涙 願う事

コメント

  • 並行世界の一つの記憶を食べた……彼女等は何周も人生を渡り歩いているのか、でもそれだと並行世界じゃないか🤔うーん分かりません(。ŏ﹏ŏ)
    菖の基本ツンだけど優しいところが良いですね
    魅力的なキャラクターです☺️☺️☺️

  • サスラ、何しててもコレンのこと惚れなおすのがいいですね笑
    平行世界のうちの一つを食べたと言っていたように、分からなかったことがこれからどんどん判明していきそうで楽しみです
    物語が進むにつれて一涙めの話の印象が変わっていきそうな予感ですね🤔

  • 瑚蓮の失われた記憶の謎、彼女の周辺に走る緊張感、そして彼女自身が醸し出す柔らかな雰囲気、これらが作る作中の空気感が大好きです😆
    ストーリーが進むにつれ、先の要素が絡まり合っていくのだと思われますが、その時の作品の雰囲気が如何様になるのか、今から楽しみです😊

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