ぼくらの就職活動日記

大杉たま

エピソード38(脚本)

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〇撮影スタジオ(机あり)
真田紅音「くっ、ああ!」
落合俊介「なんで・・・」
真田紅音「僕には他人を不幸にする覚悟がなかった、そういうことです」

〇野球場の座席
藤原一茶「はあ、ホンマ甘ちゃんやな」
藤原一茶「わろてまうほど、平凡や」
  一茶は鼻で笑いながらスマホを閉じた。

〇開けた交差点
  紅音は下を向いて歩いていると、誰かの影が伸びてくることに気付いて顔を上げた。
  紅音は一茶を無視して横を通りすぎる。
真田紅音「なんだよ」
藤原一茶「瑚白は選考通ったで、次が最終や」
真田紅音「そう」
藤原一茶「自分は落ちたな」
真田紅音「・・・ほっといてくれ」
藤原一茶「気になんねん!」
藤原一茶「自分の相手、落合ゆうたか・・・どんなイカサマしとったん?」
真田紅音「気づいたの?」
藤原一茶「そら見てたらわかるやろ」
真田紅音「・・・あのメガネが、何か特別なメガネだったんだ、たぶん」
藤原一茶「へえ」
真田紅音「最初にジョーカー確認したときに、裏に特殊な蛍光塗料か何かを塗りつけたんじゃないかな」
真田紅音「あのメガネで見ると光ってみえるような」
藤原一茶「ほんで、これか」
  一茶は試験の時に紅音がやった時のように、両手の甲を相手に向けて差し出す。
真田紅音「そう」
藤原一茶「メガネか、そこは疑問に思わんかったわ」
真田紅音「試験が始まる前に、たまたま落合さんのポーチを拾ったんだ」
真田紅音「中にコンタクトケースが入ってて、確認したら中身が入ってなかった」
真田紅音「コンタクトしたままメガネなんて、おかしいに決まってるよ」
藤原一茶「ケース開けたんか、ストーカーみたいやな」
真田紅音「待ち伏せしてるお前に言われたくないよ」
藤原一茶「まあ、そんだけヒントあったら、そらイカサマてわかるか、むしろギリギリになりすぎや」
真田紅音「・・・・・・」
藤原一茶「イカサマやって、エリートピアに言わんのかい」
藤原一茶「選考やり直しか、運が良ければ最終に進めるんやないか」
真田紅音「・・・イカサマをしたらダメっていうルールはなかったよ」
  一茶は押し殺して笑うと、紅音にたこ焼きを差し出す。
真田紅音「なに、これ」
藤原一茶「たこ焼きや」
真田紅音「それはわかる」
藤原一茶「もううちのたこ焼きは食えんようになるからな、しっかり頭に叩き込んどいてや」
真田紅音「どういうこと?」
藤原一茶「まあ、そういうことや」
藤原一茶「うちのたこ焼きはそこそこで、流行らん店は淘汰されていく」
真田紅音「そんな・・・」
藤原一茶「また罪悪感感じて、そんで言い訳しようとしてんのか」
真田紅音「違うよ」
藤原一茶「ゆうとくけど、俺はお前を恨んどる。 せやけど、そこそこや」
藤原一茶「試験に落ちたんは、単に俺の実力が足りんかっただけや」

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