エピソード37(脚本)
〇撮影スタジオ(机あり)
真田紅音「ここからが本当の勝負のつもりでやります」
落合は黙ってメガネを指であげる。
落合俊介「え」
真田紅音「どうぞ、選んでください。右手か左手か。 ちゃんとカードは見てますから」
真田紅音「ルール違反はしてないです」
真田紅音「どんな質問でもしてください、ちゃんと嘘で答えます」
真田紅音「落合さんをだまします」
落合俊介「・・・ゴクッ」
落合俊介「こっちがババか?」
真田紅音「いいえ」
落合俊介「じゅあ、こっちか?」
真田紅音「いいえ」
真田紅音「わかりませんか」
落合俊介「・・・・・・」
真田紅音「よく観察して、慎重に選んでください」
真田紅音「もし落合さんがババを引いたら、次で僕はアガリます」
真田紅音「アガる自信があります」
落合と紅音がじっと見つめあう。
二人の間には緊迫した空気が流れる。
紅音は一瞬、左手を見た。
落合俊介「こっちがババだ。右手をもらう」
紅音は右手のカードを落合に渡す。
引いたカードを見て落合は目を見開く。
そのカードはジョーカーだった。
落合俊介「あ、ああ、あああ!」
真田紅音「・・・ふう」
真田紅音「続けましょう、カードを見せてください」
落合は手札をかざすが、視線は手札のカードを見ずに逸らせたたままである。
真田紅音「ちゃんとカードを見てください」
落合俊介「・・・・・・」
真田紅音「見てください」
真田紅音「こっちがババですか?」
落合俊介「・・・・・・」
真田紅音「じゃあ、こっちがババ?」
落合俊介「・・・・・・」
真田紅音「こっちがババですね」
真田紅音「こっちを引きます」
紅音がカードを引こうすると、落合の手が震えていることに気付いた。
真田紅音「・・・・・・」
〇野球場の座席
藤原一茶「引け、何をためらっとんねん」
〇撮影スタジオ(机あり)
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