SAMURAI・RYU

鶴見能真

第一章その② 交番勤務の日常(脚本)

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〇交番の中
東川龍「──お疲れ様です先輩!」
先輩「おう、トーセン! 見廻りご苦労、お茶飲めゴクっと、鼓動はいつでもドックドクとで、犬は英語でdog! やで?」
東川龍「はい。今日もこの街は平和であります」
  龍は先輩のよくわからないラップを笑顔でスルーする
先輩「それは良きかな好きな歌手西◯かな?」
東川龍「・・・実在の人物名出して大丈夫っすか? 権利の侵害で訴えられたら困るんすけど」
先輩「知らへん、かまへん、・・・えー次が出てこうへんな。あ、出てきたわ、こんな感じでメモメモ・・・」
  先輩はメモを取る
先輩「まあ、そん時はおれが”大人の事情”で消されるだけで済むさかい安心せい」
東川龍「生々しいな・・・。困る人もいるんで程々にお願いしますね?」
後輩「お帰りなさい東川先輩! お茶をどうぞ」
  横から突如後輩の女性が現れる
東川龍「お、おう。いつもありがとうっす」
先輩「後輩ちゃーん、おれにもお茶ー、please tee!」
後輩「先輩は仕事してください!」
先輩「あーん、いけずぅ・・・」
東川龍「・・・さて、次の業務は」
南澤雀呂「変わらへんな、龍」
  突然の来訪者
東川龍「・・・ん? ・・・えーっと」
東川龍「あー! サバフクロウ!」
南澤雀呂「──雀呂(ざくろ)やふざけんなテメェ!?」
東川龍「あー、すんませんザンキロ。あまりにも覚えにくい今時のキラキラネームだったんで、つい・・・」
南澤雀呂「・・・お前ワザと言うとるやろ?」
南澤雀呂「ん? さっきから何で標準語喋っとるんや?」
東川龍「あー、・・・まあ気にしないでいいっすよ」
南澤雀呂「そうか。・・・さっきまで感じた違和感が薄れてくな、まるで違和感が最初から無かったかの様に」
東川龍「・・・ところでアンタは何しに来たんだ?」
南澤雀呂「ん? おれは弁護士になって久しぶりに地元に帰りはったからこうして顔見知りに挨拶にきただけやで?」
南澤雀呂「”四家の末裔”の未来を担う者同士達にな」
東川龍「あー・・・。ご苦労さんっす」
南澤雀呂「何やねん、その”他人事”みたいな言い草は? お前、東川の次期当主やろ?」
東川龍「まあ、じいちゃんもまだ元気だし。まだまだ家督を譲る気は無さそうだからな、ありゃ死ぬまで現役でいるつもりだぜ?」
東川龍「それに俺みたいな比較的凡人より、堅物で歴代最強とうたわれまだまだ衰え知らずなじいさんのままの方が威厳が保たれるよ」
南澤雀呂「ほんま、相変わらずやな。ガキの頃本気の爺さんに扱かれてトラウマになっとるんか?」
東川龍「まあ。・・・あれを超えるとなると、全てを捨てて剣一筋に生きていかねえと無理だな」
東川龍「生憎と、俺にはそれ以上に妻と娘っていう”守りたいもん”が出来ちまったからな」
南澤雀呂「何や? ”失うものが無い奴”より”守る物がある奴”は弱いんか?」
東川龍「それは、・・・そうだな。仮に”じいさんが俺の妻子を脅かす”事になれば、・・・いやありえねえし考えねえぞ」
南澤雀呂「極端やなー。そこはお前のじじいか、”妻子を脅かす者から守る時のお前”のどっちが強いかで良いんやないか?」
東川龍「・・・そうか、そうだな。それならじいさんとも良い勝負が出来そうだ、今度久しぶりに手合わせしてみるか」
東川龍「ありがとな、ザビエル」
南澤雀呂「──誰が宣教師や! 一文字しかおうてへんやんか!?」
先輩「おーい東川ー! ”実在の人物名”出してええんかー?」
東川龍「大昔の人だから良いんじゃないっすかー?」
南澤雀呂「何言ってんねや、あのピンク頭?」
東川龍「気にすんな、ザンクトペルケン」
南澤雀呂「──そっちのが言いにくいやろ、何やそれ!?」
東川龍「ん? 外国の土地かなんかで無かったか?」
南澤雀呂「オーストリアにザンクト・ペルテンならあるな」
東川龍「へー、知らなかった。よく知ってるな、・・・ところでアンタの名前なんだっけ?」
南澤雀呂「雀呂だ! 南澤雀呂(みなみさわざくろ)! 数年合ってねえからって普通そうなるか!?」
東川龍「いつ聞いても・・・個性的だな?」
南澤雀呂「──初めて言われたで”キラキラネーム”やなんて!?」
東川龍「そうなのか?」
  思い返せば自分の周りにはキラキラネームが多かった

次のエピソード:第一章その③ 四家の騒乱

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