SAMURAI・RYU

鶴見能真

第一章その③ 四家の騒乱(脚本)

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鶴見能真

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〇日本庭園
  現代より15年前
  四家筆頭──北山家邸内
東川龍(10歳)「なあザクロのアニキ?」
南澤雀呂「何やタツ坊?」
東川龍(10歳)「おれら四家には当主のじっちゃんやアニキのオヤジ、”西道(にしのみち)”のおっちゃんがいるよな?」
南澤雀呂「それがどないした?」
東川龍(10歳)「で、”東川”にはおれ。アニキの”南澤”、”西道”にはコイツ・・・」
白き勇士の末裔 娘「コイツてなんやー、ウチにも名前あるさかい──」
  ブツブツ呟く少女を無視して話を続ける
東川龍(10歳)「・・・でも”北山”には”玄武”のじっちゃんしかおらへんのは何でや?」
南澤雀呂「さあなー」

〇屋敷の大広間
  現代──北山邸室内
北山玄武「──グッ!」
  四家の最長老である男が何者かの襲撃を受ける
???「これが四勇士の末裔最長老か。所詮はシにかけのジジイやな?」
北山玄武「こんなに強い力が・・・。怒(おこ)り、欲望に操られ、悪い神の僕になったか!?」
???「変な喋り方やな、外国人か?」
???「まあええわ。”神器”は頂くで」
北山玄武「ぐっ・・・」
  老人を手にかけた謎の人物は”亀の甲羅を模った盾に蛇を模った金属の紐を付けた物”を手に取る
???「”武甲尾鉄鎧”(もののふのうらおてっかい)。いや、武甲羅鉄鎧(むこうびてっがい)か。どっちでもええが」
???「四神の一体、いや神やから一柱か? それは日本の神の数え方やったか・・・、まあええわ」
???「その一体の”玄武”の甲羅と尾の一部を加工して作られたどんな攻撃も防ぐ鎧・・・ って言われとるけど、どう見ても”盾”ってか」
???「紐の付いた円盤やな?」
南澤雀呂「・・・へっ!」

〇交番の中
南澤雀呂「──んじゃーなー」
東川龍「おう、またな」
東川龍「さてと、・・・仕事仕事」
  キラリンキラリン──
東川龍「ん?」
  龍のスマホに着信が入る
東川龍「やば、電源切り忘れてたぜ。・・・えっと相手は?」
  母
東川龍「なんだよ子離れした分際で珍しいな・・・」
  トッ──
東川龍「あー、オレオレ、オレだけど?」
電話の母「あらお巡りさん、珍しく電源切り忘れてたはったか?」
東川龍「用が無いなら切るぞー、こっちは仕事中だからな」
母「ちょいまちー、一言だけや」
東川龍「ん?」
母「・・・北山の玄武爺さんが亡くなりはった」
東川龍「・・・は!?」

〇日本庭園
  ──再び15年前
白き勇士の末裔 父「はーっはっは! 若者共は仲良い様で愉快やな同士達よ!」
「・・・」
白き勇士の末裔 父「ふむ、・・・御二方は愛も変わらず無口やなー」
東川龍鉄「南澤の小童はまたサボりか!?」
白き勇士の末裔 父「むむ・・・、雀蓮の事か? あいつは昔から付き合い悪かったからなー」
北山玄武「ふむ・・・、こうも我々の連携取れずならこの地の霊脈もいずれ乱れ天災が訪れるぞ?」
白き勇士の末裔 父「まあ良いではないか! アイツが来ぬ分雀呂君が来てくれているやないか」
北山玄武「ふむ・・・。して世の終焉を迎えるも運命と受け入れるしか無いであろう」
白き勇士の末裔 父「おいおい爺さん、おっかない事言うんやないで?」
東川龍鉄「全くけしからん。南澤の奴とは代々反りが合わんのじゃよ、あないな奴が我等と同じ四神の末裔とはな」
北山玄武「・・・開祖の朱雀(チューチュエ)殿はそれは立派な賢人であった。その子孫があんな狡賢くなったのはいつからであったか」
白き勇士の末裔 父「なんや爺さん、まるで開祖を知ってるみたいに? ボケてきたか?」
「・・・」

〇交番の中
  数時間後
捜査一課刑事「・・・死因は首元と胸元、両手足に肩など複数箇所をナイフなどで”波状”に刺され一部切断された事による出血で」
  彼女は龍の先輩で教育係でもあった者だ。
  かつては共に勤務していた
捜査一課刑事「死亡推定時刻は午前10時半、目撃者である被害者の付人によるとな・・・」
捜査一課刑事「犯人は”南澤雀呂”というらしいわ」
東川龍「──待ってくれよ! その時間おれはここで雀呂のアニキと話してはった! 先輩に後輩もこの場で見てたで!」
先輩「あの赤毛のあんちゃんか? 確かに見たで?」
後輩「はい! わたしもその場におりました、記録もちゃんとあります!」
捜査一課刑事「・・・」
  女性警官は死亡時刻の交番の監視カメラの映像を見る
捜査一課刑事「彼がそうなんやね?」
  映像に映る赤髪の青年を指す
東川龍「ああ、そうや」
捜査一課刑事「この映像は証拠として頂こう。また何か判れば報告する様に」
  そう言うと彼女は事件のレポートを龍の机に置いて去って行く
東川龍「協力感謝するで、アネさん」

〇屋敷の大広間
  同時刻
南澤雀呂「うーっす、帰ったでー」
南澤雀呂「・・・ん、誰もおらんのか珍しいな」
南澤雀蓮「わしがおるぞ、愚息」
南澤雀呂「誰もおらんのは寂しいなー」
南澤雀蓮「無視するなや貴様!」
南澤雀呂「あー何も聞こえへーん」
南澤雀蓮「まあええわ。愚息よ、貴様ようやりおったな?」
南澤雀呂「せやなー、立派な弁護士なりはったでおれちん。ようやったわー、”あいつ等”に報告したかったなー」
南澤雀蓮「ふん! そんな事なぞ知った事やないわ。わしが言いよるのは北山のじじいを始末した事や」
南澤雀呂「そうか、北山の長老様が・・・」
南澤雀呂「──」
  雀呂は父親を壁に叩きつけ胸ぐらを掴む
南澤雀呂「・・・今何て言うた外道! 誰が誰を始末したて?」
南澤雀蓮「む? 事実を言うただけや。貴様が北山のじじいをコロした! 目撃者もおり証拠も”ここ”にある!」
南澤雀呂「──!?」
  そこには北山家の家宝が立てかけてあった
南澤雀蓮「貴様が持って来たのではないか! わしへの忠誠と野望実現の為と!」
  雀呂の耳に父親の声は届かない
南澤雀呂「貴様! ここまで堕ちたか!?」
  雀呂は父に向け拳を構える
南澤雀蓮「な──、何じゃ貴様! このわしに拳を向ける言うのか!」
南澤雀呂「貴様なんか──!」
南澤雀呂「──うっ!?」
  突如雀呂は倒れ込む
南澤雀蓮「な・・・、何が起こっておるんや?」
南澤雀呂「・・・ふっ!」
南澤雀蓮「き、貴様──!?」
  南澤家に代々伝わる衣装に身を包んだ雀呂は家宝である神器”鳳翼(おおとりのつばさ)”と呼ばれる刃物の付いた扇子で──
南澤雀蓮「ぐっ──」
  父を突き刺す
南澤雀呂「これで残るは”二つ”」
  追い打ちをかける様に青年は父の首を刎ねる
南澤雀呂「──おい、蛇(へび)、未(いまだ)!」
「──はっ!」
南澤雀呂「オレはこれから”東川”を始末する。お前等は”これ”を遣い”西道”を潰せ」
  和装した雀呂は北山邸から奪った神器を二人のくノ一に渡す

〇中華風の通り
  夕方前、龍は京都の観光地をパトロールしていた
  ※背景は実物とは無関係です
親といる子供「おまわりさん、こんにちはー」
東川龍「おう、今日も元気やな坊主!」
老人「おう龍っちゃん、今日もご苦労やな」
東川龍「いやいや、今日も平和で何よりやで」
  私的には知人が亡くなり知人が容疑をかけられてとても穏やかでは無いがあくまで身内間の話だ
老人「なんや、龍ちゃんの関西弁久しぶりな気がしはるなー」
東川龍「ははは、そですかいな? ・・・ところで今日怪しい人物などは見かけはせえへんかったか?」
老人「いんや。観光客はちらほら見るが怪しいのはおらへんで」
東川龍「それは良かったわ」
  北山の爺さんを襲った真犯人がいるのではないかと探してもいる

〇道場
  同時刻、東川邸道場
東川龍鉄「・・・来たか」
  敵の気配を察知した直後爆音と共に道場は半壊する
南澤雀呂「ご機嫌様、東川家当主様」
  破壊された屋根から雀呂は降り立つ
東川龍鉄「何の様じゃ、小童?」
南澤雀呂「判ってはる癖に白々しいな龍鉄殿?」
  座する龍鉄の麓に置かれた得物を見た雀呂が応える
南澤雀呂「・・・ん?」
  しかしその刀には違和感がある
南澤雀呂「何やその鈍(なまくら)は? 神器はどないした?」
  そう、それは代々受け継がれる神器では無い
東川龍鉄「貴様如き童相手に全力を出す程儂の腕は安くない」
東川龍鉄「普段ならばそう言うじゃろうが貴様は我等が盟友を葬り裏切った仇。その様な悪には容赦なく全力で斬り伏せよう」
南澤雀呂「いや、だから全力出すなら何で神器使わんのや?」
東川龍鉄「武の腕は得物に左右されるものや無い。真の武人は素手は愚か木の枝でさえ一国の軍をも滅せるであろう」
南澤雀呂「いやいやあり得へんやろ。全く年寄りは話が通じひんのが困り物やな?」
東川龍鉄「──」
南澤雀呂「な──!?」
  龍鉄が放つ攻撃は凄まじい威力見せる。
南澤雀呂「・・・ありえへんやろ、手刀の風圧で床が抉れるか普通?」
東川龍鉄「隙を見せたな愚か者め!!」
  刀を構えた龍鉄は相手の懐に入り一太刀を振るう

次のエピソード:第一章その④東川龍vs南澤雀呂

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