エピソード36(脚本)
〇撮影スタジオ(机あり)
残る手札の枚数は紅音が6枚。
そして落合が5枚である。
落合は紅音の手札の中の一枚を指さす。
落合俊介「これがババだ」
真田紅音「・・・・・・」
落合は他のカードを抜き取り、ペアになった手札のカードを捨てる。
落合俊介「紅音くんはわかりやすいな」
紅音も落合の手札を引き、ペアを捨てる。
真田紅音「すー、はー・・・」
落合俊介「君の選考の動画、全部みたよ」
真田紅音「そうですか」
落合俊介「どれも、誰かに助けてもらってばかりだなって思った」
真田紅音「・・・そんなことないです」
〇野球場の座席
藤原一茶「そんなことあるっちゅーねん」
〇撮影スタジオ(机あり)
落合俊介「この選考は、どう頑張ったって一人だよ」
紅音は落合の会話を無視し、自分の手札をよく見る。
落合俊介「細工なんかしてないだろ。 開けるところ、君も見てたろ」
落合俊介「傷つけたり、穴あけたり。 そんなのすぐにバレる」
紅音は落合をにらむ。
落合は再び一枚ずつカードを指をさしていく。
落合俊介「これ、ババ?」
真田紅音「いいえ」
落合俊介「ああ、ババじゃないね」
紅音は落合がやけにカードの裏を見ていることに気づき、眉をひそめる。
落合俊介「じゃあ、これがババ?」
真田紅音「いいえ」
落合俊介「これがババだ」
落合がカードを抜き、またペアを捨てる。
真田紅音「落合さん、人の嘘を見極めるとき、どこに注意しますか?」
落合俊介「え」
真田紅音「いえ、純粋に気になっただけです」
落合俊介「そうだね、目の動きとかかな」
真田紅音「そうですか、それにしては今、あんまり僕の目の動きを見てなかったみたいですけど」
落合俊介「・・・そうだったかな。 まあ、総合的に判断しているからね」
真田紅音「そうですか」
〇野球場の座席
次の種目なに?
えっと、サバイバルゲームだな。
ほら、壁とかセッティングしてる
ふーん。他の会場はなんかやってる?
んー、インドア系。
将棋かバドミントンかババ抜きか
ババ抜きて。
いいや、トイレ行ってくる
藤原一茶「みんな派手なもん好きやな」
藤原一茶「地味に見えても、よう見たらおもろいもんもあるっちゅうねん」
〇撮影スタジオ(机あり)
残りの手札の枚数は、紅音が4枚。
そして落合が3枚である。
落合俊介「じゃあ──」
真田紅音「待ってください」
紅音は目頭をもみはじめる。
落合俊介「目の動きでばれないようにかい。 けなげな努力だね」
真田紅音「少しでも勝つ確率を上げたいんです」
紅音は落合に手札をかざす。
真田紅音「どうぞ」
落合俊介「これ、ババ?」
真田紅音「いいえ」
落合俊介「じゃあ、これ?」
真田紅音「いいえ」
落合俊介「じゃあ、これか?」
真田紅音「いいえ」
落合俊介「これがババだね」
真田紅音「・・・・・・」
落合俊介「やっぱり目は嘘を付けないね。 すぐにババの場所を教えてくれる」
紅音は手札をじっと見つめ、ニヤリと笑う。
落合俊介「何がおかしいんだ?」
真田紅音「僕、すごく視力が悪いんです」
真田紅音「裸眼だと0.1以下で、コンタクトが無かったら視界が全部ぼやけてしまって」
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