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MKz square

エピソード7(脚本)

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〇組織のアジト
  ── 数 日 後 ──
カレン「なんか...暇だねー」
シュウ「数日で色々あったもんねー」
ジン「いいじゃねえか!」
ジン「ランのおかげで 色々融通利かせてもらって 褒美までもらって」
ジン「生活水準爆上がりよ!」
シュウ「しばらくのんびりできますねー」
カレン「ランいつ遊びに来てくれるかな〜」
ジン「ま、落ち着いたらそのうち来るだろ」
シュウ「のんびり待ってよ〜」
ハヤト「お邪魔するよー」
ミレイ「お邪魔します」
シュウ「あ、はーい!」
カレン「ハヤト先生!ミレイちゃん!」
ジン「おー先生たちか! いらっしゃい」
ミレイ「今月の定期検診に伺いました こんにちは」
ハヤト「あれ、 今日はずいぶんまったりだね」
ジン「まあな〜」
ハヤト「何か良いことでもあったの?」
ジン「まあな〜〜」
ミレイ「未だかつて無いほど嬉しそうです」
ハヤト「なんだかわからないけど、 よかったね」
シュウ「ほらジンさんニヤニヤして ハヤト先生困ってますよ!」
ハヤト「ははは・・・ あ、カレンちゃん、 今日の調子はどう?」
カレン「バッチリ!最高!」
ハヤト「お、元気そうで何よりだ」
ミレイ「それでは早速検診に移ります」
カレン「もうこれが最後の検診になるかも!」
ハヤト「どういうこと?」
ミレイ「先生、これを」
ハヤト「あれ、故障? 測定器の値がおかしいんだけど・・・」
ミレイ「いえ、機材はどれも 正常に作動しています」
ハヤト「え?じゃあ・・・」
ジン「ちょーっと色々あってなー」
ジン「すっかり健康になっちまいやがったのよ!」
カレン「どんなもんだい!」
ハヤト「え、どういうこと?」
ミレイ「何か新薬でも試されたのですか?」
ジン「いや、そうじゃないんだなあ 実は・・・」
シュウ「ジンさん! あんまりペラペラ喋っちゃ いけないんじゃないですか!」
ジン「まあ、先生なら大丈夫だろ」
カレン「天使に〜〜〜〜」
カレン「出会ったのです」
ハヤト「・・・天使?」
ミレイ「どういうことでしょうか」
シュウ「こらこら! 2人を混乱させちゃうでしょ!」
シュウ「あぁ、えーっと・・・」
ジン「実は、 危険区域で女の子に出会ってよぉ」
ジン「誰かに追われてたみたいだったから 一時的に保護したんだが、」
ジン「その子が特殊な体質?だかなんだかで その子の周りは毒素だの放射能だの  全部消えちまうんだと」
ハヤト「そんなの、有り得ない・・・」
ハヤト「神様か魔法使いじゃあるまいし・・・」
カレン「でも本当だもん!」
カレン「ほら、どこ調べても悪いとこなんて無いよ!」
ミレイ「たしかに」
ミレイ「カレンさんの体の数値は どれも健康水準に達しています」
ミレイ「ジンさんも、シュウさんも」
カレン「ミレイちゃん、すごい! 見ただけでわかるの?」
ミレイ「はい」
ハヤト「そんな・・・」
ハヤト「じゃあ、その子は今どこに?」
ジン「あぁ、 高度医療センターの博士が 引き取りに来てよ」
「っ!!」
ミレイ「先生」
ハヤト「まさか!」
ハヤト「でも、だとしたら あり得るかもしれない・・・!」
ジン「なんだよ、血相変えて」
シュウ「な、何があり得るんですか?」
ハヤト「あぁ、実は僕とミレイは昔 高度医療センターに居たんだ」
シュウ「え、そうなんですか?」
ミレイ「はい、 当時先生は研究員、 私は助手をしていました」
ハヤト「あそこでは僕等がいたころ、 一部の研究者によって 合成生物学が研究されていて、」
ハヤト「遺伝子組み換えや化学合成によって全ゲノムを創出し、その合成ゲノムの移植による細胞の分裂や増殖を試みて」
ハヤト「この環境を打破するための生命体の構成要素をもった有用物質、つまりは・・・」
ジン「ストーップ!ストップストップ!」
ジン「先生何が言いてぇのか さっぱりわかんねぇよ!」
カレン「先生、私達にもわかるように言って!」
ハヤト「あ、ごめん、 だからえーとつまり有用生物が、えっと」
ミレイ「生命を生み出す研究がされていたのです。 この環境に打ち勝つための」
カレン「え、と・・・」
カレン「生命を、生み出す・・・?」
ミレイ「そうです。 人工的に生物を生み出す研究です」
ミレイ「ね、先生」
ハヤト「そういうこと!」
ジン「そんな、あり得ねぇだろ そんなこと・・・」
ミレイ「いえ、事実です」
ハヤト「僕も、 とても信じられなかったけど」
ハヤト「起きたんだよ 奇跡が・・・」

〇諜報機関
ミナミ「博士!成功です! やりました!」
スオウ「あぁ、ついにだ・・・!」
ミナミ「私たちの言っていることがわかる?」
リオ「はい」
スオウ「おぉ・・・!」
スオウ「お前は、リオ」
スオウ「人類の希望だ」
リオ「じんるいの、きぼう?」
スオウ「ははは とりあえず難しいことは良い」
ミナミ「あなたは特別なのよ。 あなたにしかできない使命があるの」
リオ「とくべつ・・・」
スオウ「あぁ。でも今は良い。 ゆっくりと色んなことを学んでいこう」

〇組織のアジト
ハヤト「博士たちは誕生した子にリオと名付け とても可愛がっていたよ 特にスオウ博士は」
ハヤト「同時にこの環境への生物実験も行っていた」
ジン「実験?」
ハヤト「リオは 人類がこの環境に打ち勝つために 生み出された生命体だって言っただろ?」
ハヤト「リオはその体に 空気中に漂う毒素や放射能を いくらでもため込むことができた」
ミレイ「リオのような生命体に 空気中の有害物質を吸収させ、 体がどのように変化するか」
ミレイ「また 有害物質に打ち勝つ抗体は生成できるのか、 そのような実験でした」
シュウ「そんな・・・」
ミレイ「だから機械やマウスなどの実験ではなく 人類に近い生物での実験が 望まれたのです」
ハヤト「実験と言っても、 毎日色々なところに出かけ、 学習し、リオ自身も楽しそうだった」
ハヤト「感情も育ち、 本当に人間と変わらない・・・」

〇諜報機関
リオ「博士!」
スオウ「おお、リオ どうした?」
リオ「これ直して!」
スオウ「なんだこれは?」
リオ「拾ったんだけど、 さっき遊んでたら壊れちゃって」
スオウ「拾った?どこで?」
リオ「今日行ったところに落ちてたの」
ミナミ「危険区域の廃墟にあったんですよ」
スオウ「こらこら 勝手に拾ってきちゃダメじゃないか」
ミナミ「まぁまぁ。 もうあの区域は我々の管轄ですし、 所有者も既にわからないですし」
スオウ「まったく」
スオウ「まあこれなら直せるか」
リオ「よかった!」
スオウ「でも、 持ち主が現れたらきちんと返すんだぞ?」
リオ「なんで?」
スオウ「リオも自分が大事にしてるものを 勝手に奪われたら嫌だろ?」
リオ「うん」
スオウ「人に嫌な思いをさせたら きちんと謝って 許してもらわないとな」
リオ「そうなんだ」

〇組織のアジト
ハヤト「実験はうまくいってた。 薬や抗体の研究も順調に行われ、 リオ自身の健康状態もいたって正常だった」
ハヤト「そのまま1つの成功例として、 人智を超えた特別な能力がある 1人の人間として大切に育てられていた」
ハヤト「でもある日悲劇が起こった」
シュウ「え?」
ミレイ「器としての能力に 限界がきてしまったのです」
ジン「どういうことだよ!」
ハヤト「リオが 体内に取り込める有害物質の量が 限界を迎えた」
ハヤト「リオは 取り込んだ有害物質を 制御できなくなってしまったんだ」

〇諜報機関
リオ「ねぇねぇ、何してるの?」
研究員「ん?これは・・・」
研究員「っ! うっ、っ、ぐ、はっ、はあ、はあ・・・」
リオ「え、なに?! どうしたの!」
研究員「はっ、あ、っ、」
スオウ「何があった!」
リオ「わかんない・・・」
ミナミ「あなた、大丈夫? どうしたの?!」
研究員「リオ、に・・・」
ミナミ「博士、まさか?!」
スオウ「リオ、そこにいるんだ」
リオ「私、何もしてないよ? ただ触れただけで」
スオウ「それ以上近づくんじゃない!」
リオ「そんな・・・ 博士、なんで・・・」
研究員「うっ・・・」
ミナミ「・・・っ! さぁ、あなたこっちへ!」
ミナミ「早く治療しないと!」
リオ「博士!」
スオウ「リオ、そこから動くな」
リオ「何で、博士! 信じてくれないの!」
スオウ「大丈夫だ。 わかってる、お前が悪いわけじゃない。 ただ今のお前は───」
隊員2「博士!大丈夫ですか!」
隊員3「化け物!」
隊員2「スオウ博士、こちらへ!」
スオウ「だが・・・」
隊員3「研究員の処置を! この化け物の毒が回って危険な状態です!」
スオウ「そんな・・・!」
隊員2「スオウ博士!」
スオウ「・・・っ!」
リオ「博士!」
隊員3「近寄るな!」
隊員2「悪魔の兵器め・・・!」
リオ「そんな、 なんで・・・」
リオ「あっ、あああああああああああ」

〇組織のアジト
ハヤト「リオの毒に触れた研究員は そのまま・・・」
シュウ「え・・・?」
ミレイ「許容量を超えた毒素は より濃度を増し、リオの体に浸透」
ミレイ「触れたものに害をなすため、 誰もリオに 近づけなくなってしまったのです」
ハヤト「リオは”人類の希望”から、 ”恐怖の対象”になってしまった」
シュウ「それで、どうしたんですか?!」

〇研究装置
リオ「博士!! ここはどこ!?」
リオ「出してよ!」
リオ「どうして閉じ込めるの!」
スオウ「リオ・・・」
スオウ「すまないが、 今お前をそこから出すわけにはいかない」
リオ「私が人を殺す兵器だから?」
リオ「私は生まれてきちゃいけない存在だったの?」
スオウ「誰がそんなことを!」
リオ「みんな言ってた! 私の事、悪魔だって」
リオ「私、ちゃんと謝るから! 研究員さん、 私のせいでケガしちゃったんでしょ?」
リオ「ちゃんと謝って許してもらうから!」
スオウ「・・・それはできない」
リオ「なんで!どういうこと!?」
スオウ「人は一度壊れたら もう二度と同じようには戻れないんだ」
リオ「そんな・・・」
リオ「お願い、博士!」
リオ「博士!!」
スオウ「リオ、わかってくれ・・・」
リオ「博士!博士!!」
リオ「行かないで!!」

〇組織のアジト
シュウ「かわいそうだよ・・・」
ミレイ「でも事実、 リオは生物兵器そのものに なってしまったんです」
シュウ「そんな言い方!」
ミレイ「体内に莫大な有害物質を保持し、 膨大なエネルギーを持つリオは、 いわば核爆弾そのものです」
シュウ「そんな・・・」
ジン「人間が勝手に作り出したくせに、 なんなんだよ・・・」
ジン「そもそも 人間の手によって生物をつくりだすなんて、 そんなの許されることじゃねえだろ!」
ハヤト「最初から倫理的にも道徳的にも 疑問や問題があったプロジェクトだった」
ハヤト「なかなかその議論に結論は出なかったよ」
シュウ「だったらどうして!」
ハヤト「でもだからこそ、 このプロジェクトに 人類の未来を託したんだ!」
ハヤト「リオは ”人類の希望の光” になるはずだった──」

次のエピソード:エピソード8

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