エピソード35(脚本)
〇撮影スタジオ(机あり)
紅音と落合がやってきたのは、とある撮影スタジオの小部屋だった。
テーブルと椅子が二脚あり、紅音と落合は向かい合うように座る。
落合はテーブルに置いてあったトランプの封を切り、一方の紅音は落ちつきのない様子で周囲をきょろきょろと見ていた。
落合俊介「この部屋、いろんな撮影に使われたらしいよ。 P.S嵐とか、おしゃべり007とか」
真田紅音「そうなんですか」
落合はトランプを箱から取り出すと、ジョーカーを二枚抜いた。
落合俊介「じゃあ、一枚を箱に入れておく」
そう言って落合はジョーカーを一枚箱に入れてトランプをシャッフルする。
真田紅音「ババを一枚箱に入れましたよね?」
落合俊介「僕のいかさまを疑ってるの? 入れたよ、たしかに」
真田紅音「ありがとうございます、嘘ではありませんね」
落合俊介「便利だね、質問して答えさせれば、嘘かホントかわかるなんて」
真田紅音「嫌になることの方が多いですよ」
落合はトランプを配り始める。
〇野球場の座席
男「つかさー、ババ抜きって地味すぎね、こんな大掛かりにやるもんじゃないっしょー」
女「えー、るみもマジそう思う」
男「だべー」
一茶は後ろの席のカップルの方へ振り返る。
藤原一茶「俺もそう思うわ、ホンマあの男はプライドばっかで、諸々のセンスがないねん」
藤原一茶「こんな金かけて二人でババ抜きて、しょうもない」
藤原一茶「せやけど、一対一のババ抜きほど、一回一回のドローに力入るもんはない」
藤原一茶「それも事実。 ほんで、お前らもしょうもない」
藤原一茶「それ以上いちゃこくんやったら、しかるべきとこでやれ、ここは公共の場じゃ、ボケ」
男「げーキモ」
女「るみもそう思う」
藤原一茶「ああいうのは、どっから湧いて出んねん」
一茶がスマホに目を戻すと、紅音たちが手札から揃ったトランプを捨て終えたところだった。
〇撮影スタジオ(机あり)
落合俊介「私が先攻だね」
真田紅音「はい」
落合俊介「それじゃあ、始めよう。 ルールは二つだけ」
落合俊介「一つ、最後にババを持っていた人の負け」
落合俊介「二つ、相手にカードを引かせる時は、手札を見ていなきゃいけない」
落合俊介「全くの運勝負にしないためだね。 あくまで、ババ抜きは心理戦だから」
真田紅音「はい、大丈夫です」
落合は笑いを押し殺しながら言う。
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