魔法少女 あおはる×あいろにぃ!

筒ヶ奈久

#6 リンボー☆盗撮☆ラリアット(脚本)

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筒ヶ奈久

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〇体育館の中
  同じ頃──昼休み。
  生徒たちでごった返す体育館で繰り広げられる、みさおプレゼンツ『校内リンボーダンス大会』は、既に佳境に入っていた。
パワード☆らいおん「さあさあ! このオレの記録!60センチを超えられる奴がいるなら── 出てこいやあ!!!」
  並み居る猛者がパワード☆らいおんこと、みさおに挑んだが、いずれも撃沈。
  場内のボルテージは上がる一方だ。
  そこに────
アクア☆みかえる「お、おい・・・!こ、このおだづもっこ!! おらが来たからにゃあ、でけえツラはさせねえど〜!」
  挑戦者として名乗り出たのは、アクア☆みかえる・・・ひつみだった。
  何故、彼女がこんな大会に出る羽目になったのかというと──

〇学校の屋上
  ──大会開始から数十分前
パワード☆らいおん「頼むっ! 昼休みのリンボーダンス大会に飛び入り選手として出てくれっ!」
アクア☆みかえる「え、え・・・っ!?」
ハンティン「おい!みさお! この子を振り回すのもいい加減にしろよ!」
ハンティン「朝だって魔法少女のまんま登校してくるし、着替えたかと思ったら授業をそのまま受けるし── お前の考えてる事は理解不能だ!」
アクア☆みかえる「おお!? なんだぁ、この鳥っこ! えらくごしゃぐってるなあ・・・」
パワード☆らいおん「ああ〜、こいつは俺の── 相棒?・・・いや・・・同居、人・・・のハンティン。 妖精なんだってさ、よろしく」
ハンティン「ああどうも、よろしくお願いします」
アクア☆みかえる「おら、月環ひつみだよ。 よろしぐねぇ、ハンティンくん── いや、ハンティンさんの方がいいな、えへへ・・・」
ハンティン(うーん、なんかこの子の言葉聞いてると、なんかのんびりした、カントリー気分になるんだよなぁ・・・)
ハンティン(なんていうかなあ、お茶でもすすって飲むような、そんなのほほんとした雰囲気で──)
  和やかなアクアとハンティンとの間には、いつしか和気藹々とした空気が──
ハンティン「・・・・・・」
ハンティン「──って、話をそらそうとすんな!」
パワード☆らいおん「別にそらそうとしてねーもん」
ハンティン「絶対そらしてるだろ! この!チュンチュンアタックしてやる!」
パワード☆らいおん「わっ!ちょ、やめろっ! いててっ!いてっ!痛いっ!マシンガンか!いててっ!」
  すっかり怒り心頭のハンティンは、嘴でパワード☆らいおんの体中を突き始めた。
アクア☆みかえる(うわあ、痛そうだなぁ・・・ 変な頼みだげっとも、断るのも悪りぃしなぁ・・・)
アクア☆みかえる「け、けんかしないでけろ!」
「──ん?」
アクア☆みかえる「そんなぐするぐれえだったらしょうがねえべす! おら、出てみっから!」
パワード☆らいおん「マジかあ! よーしっ!これは最高なショーの幕が上がるぞ〜っ!!」
ハンティン(ぜーったいロクな事にならんぞこれは・・・)
ハンティン(まあ、俺が学校に来ても暇だしなあ・・・ 物陰から見てるか・・・疲れない程度に、うん)

〇体育館の中
「──────いざ、勝負っ!!」
  設置された、高さ50センチの棒。
  その下を、2人の魔法少女はダッシュしながら、背中をそらし、くぐり抜けた。
パワード☆らいおん「おうおう、やるじゃねえか! だいぶ温まってきたぜ!」
アクア☆みかえる「まだまだ! ここまで来たら負けねえぞ〜!!」
  アクア☆みかえる・・・ひつみは思い切りがいい。
  その場の状況にノってくると、一気にスイッチが入る性分だった。
  観客からは、地面を揺るがすような歓声が飛んでくる。
  「いけー!みさきちー!次の40センチで決めろー!!」
  「王座はみさっちで決まりー!」
  「最強レク王の力を見せろー!」
  「飛び入りのジャイキリ全然あるよー!」
  「月環さんもガンバレー!」
  「某中次期リンボー王になってー!」
  ──そんな中、らいおんはアクアに、微笑みながら、そっと語りかけた。
パワード☆らいおん「いやー、みんなからいっぱい応援されるのって・・・すっごく心が明るくなるよな!」
アクア☆みかえる「えっ・・・?」
パワード☆らいおん「なんつーかさ・・・ 魔法少女って、フツーの人とは違う存在だけど・・・ けど・・・誰かと繋がれるって、そう思える」
パワード☆らいおん「オレが色んな事してるのは、ちゃーんと理由があるんだよ」
アクア☆みかえる「そう、なのか・・・?」
  2人の魔法少女──
  
  だが、体育館の物陰にいた"もう1人"は、静かに奸計を巡らせていた。
カラフル☆メイジー(ふふふ・・・作戦成功・・・!)
  カラフル☆メイジーの手には、らいおんとアクアのリンボーダンスを写した、複数枚の写真があった。
  どれも際どいアングルだ。
カラフル☆メイジー(あたしの能力は「カラフル☆カメラ」・・・ 複製したカメラを自在に操り、標的に気づかれない内に撮影できる・・・)
カラフル☆メイジー(そうして撮った秘蔵写真を男子どもにでも売りつければ・・・! たぁんまりカネが手に入るぅ・・・!!)
カラフル☆メイジー(さあ、せいぜい踊りな人気者ども・・・! 恥ずかしいトコロ全部見せて、私の懐をあっためろォ!!)
  陰でせせら笑う、カラフル☆メイジー。
  彼女には、金を荒稼ぐ事しか頭になかった。
  その為に、魔法少女2人のリンボーを利用しようというのだ。
  
  ──その時。
  「この拝金魔法少女め!食らえ!チュンチュンアタァーック!!」
カラフル☆メイジー「あいたッ!!ちょ、何!? 痛いっ!髪、首が! いたたたっ!!?」
  メイジーの各部に、壮烈な痛みが走る。
  まるで、高速で鋭い何かに突かれているような感覚だ。
  たまらず、物陰から飛び出す。
カラフル☆メイジー「いったぁッ!! 何これっ!?どうなってんのよ全く〜!!!」
  そして、メイジーが飛び出した先には・・・
  
  リンボーダンスの棒・・・を支える鉄の棒があった。
カラフル☆メイジー「──フンギャッ!?」
  棒はメイジーの顔面を直撃した。
  またも襲われた苛烈な痛みにデイジーは苦悶してしまう。
パワード☆らいおん「ん・・・?コイツは・・・!」
アクア☆みかえる「だ、誰っしゃ・・・!?」
  あろうことか、メイジーはリンボーダンス大会の真っ只中に躍り出てしまった。
パワード☆らいおん「おうおうおう・・・ これからが大会の正念場だってのに、水差すんじゃねえぞ!"魔法少女"さんよ!」
アクア☆みかえる「へぇっ!? こ、この人も魔法少女でがすと!?」
カラフル☆メイジー「くっそ・・・! さっさとズラからないと・・・! えっ・・・!?」
カラフル☆メイジー(カメラが・・・ないっ!?)
  メイジーは困惑した。先程まで手に持っていた筈のカメラが、何処かへと消えていたからだ。
  すると、彼女の頭上から声が響く。
ハンティン「お前の盗撮もここまでだ! カメラのデータ、こっちで全消ししてやる!」
  頭上に現れたハンティンは、件のカメラを咥えながら飛行する。
  物陰にいたメイジーを奇襲し、その際にカメラを手に入れたのだ。
ハンティン(陰で休んでたら、こんな事に出くわすとはな・・・ けど、悪事の芽を摘む事ぐらいなら、俺にだってできるはずだ・・・!)
  そのまま、ハンティンは勢いのままにカメラを咥え、体育館から飛び去っていく。
カラフル☆メイジー「あぁっ、待てっ!」
  ハンティンを追いかけようとするメイジーの前に、パワード☆らいおんがすかさず立ち塞がった。
パワード☆らいおん「逃すか! "盗撮"、それがあんたの悪事か・・・?」
カラフル☆メイジー「悪事ぃ・・・? こっちはビジネスやってんだよ、ビジネス!」
アクア☆みかえる(ビジネス・・・? なんのこった・・・?)
  3人に増えた魔法少女。
  しかし、リンボーダンス大会は中断されたまま。
  焦らしに焦らされた観客の生徒たちから、ヤジが飛ぶ。
  『おいおい、早く決着つけてくれよ!』
  『貴重な昼休み捻出してんだよこっちは!』
  『リンボーしろよリンボー!!』
パワード☆らいおん「"リンボーしろよ"・・・だってよ・・・! 聞いたかい、パパラッチさんよ!」
パワード☆らいおん「リンボーの邪魔をした罪は重いぞ! よって俺"たち"で、お前にリンボーしてやる! ──いくぞッ、相棒!!」
アクア☆みかえる(あ、相棒・・・って・・・!? 会ってそんな経ってねえのに??? なして???)
  困惑するばかりのアクア。
  すると、その手をおもむろにパワード☆らいおんが掴んだ。
パワード☆らいおん「とっておきを食らえっ!!」
アクア☆みかえる「えっ、えっ!? 何?なにすか??」
  いまいち状況が分からないアクア。
  それを尻目に、2人にエネルギーが蓄積されていく。
  それはやがて、2人の全身を輝かせた。
アクア☆みかえる「──なっ、なんか変なのが溢れてる!?」
カラフル☆メイジー(な、何・・・これ・・・・・・!? 何も分からない・・・! けど、食らったらマズいっ!!)
  その光景に、呆気に取られたメイジー。
  しかし自らのピンチを察し、最大の攻撃を見舞う準備を始めた。
カラフル☆メイジー「マジカル☆カメラ、オールリリースッ!!」
  メイジーの号令とともに、今まで透明だったマジカル☆カメラの群れが、体育館中に姿を現した。
  カメラ群のレンズに、エネルギーが充填されていく。
  これこそマジカル☆カメラの奥の手、"破壊光線"である。
カラフル☆メイジー「消し飛べッ、 カラフル☆ドミネイトレイ!!」
  マジカル☆カメラから一斉に放たれた光線は、2人の魔法少女に着弾し、爆発を起こした。
  『──おい、やばいよコレ・・・』
  『に、逃げろ!』
  『リンボーどころじゃねえよこの状況!?』
  『死にたくねえ!』
  観客の生徒は散り散りになって、体育館から出て行く。
  その様子を一瞥し、メイジーは嗤う。
カラフル☆メイジー「じゃあね、"人気者"・・・・・・!」
  だが爆炎が晴れていくと同時に目にした、
  その光景にメイジーは驚愕した。
カラフル☆メイジー「──うそ・・・?!」
  そこにはエネルギーを蓄積し終えた、2人の魔法少女が立っていた。
  しかも、無傷の状態だ。
「パワードアクア☆ツインチャージブレェェェェイクッ!!!」
  刹那、超高速で迫った魔法少女たちの渾身の2重ラリアットが、メイジーの肉体にクリーンヒットした。
カラフル☆メイジー「っが、ぅぅぅ・・・・・・っ!!??」
  叩きつけられたそのインパクトは、人間の力を遠く越えている。
  勢いのままにメイジーの体は宙を飛び、体育館の壁を突き破った。
カラフル☆メイジー「絶対、絶対許さないからあああああ!!!」
  捨て台詞を吐くのもそのままにメイジーは、遥か遠くへと飛ばされていくのだった。
パワード☆らいおん「・・・ふぅ。 思い知ったか、リンボーの恨みを!」
アクア☆みかえる(あれ? もしかして、社さんって怒らせっと怖いタイプかな・・・?)
パワード☆らいおん「リンボー大会はぶち壊しだが、それはそれとして・・・ ひつみ!お前最高だよ!案外ノリいいんだな〜!」
アクア☆みかえる「えっ、ええっ・・・!?」
パワード☆らいおん「だってさ、必殺技んときだって息ピッタリだったじゃんか! フツーはそうはいかないぜ、そうは!」
アクア☆みかえる「そ、そんなもんかなぁ・・・?」
アクア☆みかえる「って、語りっこしてる場合でねえ!!」
  そう、アクアは気づいてしまった。
  リンボー大会やらメイジーの襲撃やらで、体育館は荒れ果てていた。
  もし、自分たちが犯人扱いされてしまったらどうなるか。
  悪い想像が、アクアの脳裏を駆け抜けた。
アクア☆みかえる「おらたち、パクられちまうぞッ!!」
  慌てるアクアを見て、らいおんは落ち着き払った様子で答えた。
パワード☆らいおん「大丈夫だ、何も心配ないぜ。 ただ、俺を保健室に連れてってくれ。頼む」
アクア☆みかえる「──えっ、なんて・・・?」
  困惑するアクア。
  らいおんは精神を集中すると、魔法のオーラが発生し、体育館全体を包みだした。
アクア☆みかえる「何が、どうなってんだ・・・?」
パワード☆らいおん「────パワード☆リペア」
  らいおんから発せられた、温かな魔法の光は、眩いほどに輝いていく・・・

〇体育館の中
  光が止み、目を開いたアクアは程なくして驚いた。
アクア☆みかえる「ああっ!体育館、元に戻ってるぞ!?」
  体育館は、元の姿を取り戻していた。
  壁に空いた風穴も、爆風に晒されて焦げついた床も、リンボーダンス大会の跡も、全てが最初からなかったかのようだ。
アクア☆みかえる「そうだ、社さん! ──えっ・・・?」
  アクアが見たもの。
  それは変身が解け、意識を失った状態で体育館の床に倒れ伏した、社みさおの姿だった。
アクア☆みかえる「社さん!?大丈夫!? 社さん!?」

次のエピソード:#7 ホケンはキケン

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