第1話 エッグ・シーフ(脚本)
〇黒
死の爪が
国王の心臓を
さいなむ
〇暗い廊下
シスター「神のお告げが・・・」
シスター「病の呪いをかけたのは 魔女です」
シスター「呪いを解くには・・・」
シスター「竜の卵を煎じて飲ませよと──」
〇城壁
大臣「伝説だよ ドラゴンなどと そんなもの いるはずがない」
シスター「しかし お告げには」
大臣「ドラゴンの卵? 雲をつかむような話ですな」
パンナコッタ姫「わらわに 任せてたもれ!」
パンナコッタ姫「ドラゴンの卵を盗む 『エッグ・シーフ』が おるやと聞く」
パンナコッタ姫「その者を雇うのじゃ!!」
大臣「国が泥棒を雇うなど 前代未聞ですぞ!」
パンナコッタ姫「わらわが 見つけるぞや」
大臣「あっ 姫 姫様!!」
大臣「世間知らずのお転婆が 困った姫だ・・・」
大臣「ドラゴンの卵を盗む 『エッグ・シーフ』・・・ ご存知ですか?」
シスター「知ってますよ」
大臣「本当に!?」
シスター「ええ ええ 本当ですとも」
シスター「5歳の ひい(姫)様に 話して聞かせた おとぎ話に出てきますよ」
大臣「おとぎ話・・・」
シスター「ひい様ったら まだその話 覚えてたのねぇ 感心 感心」
大臣「そんなバカな 国王の命が 国の未来が かかってるのに!!」
シスター「オホホホホホホ」
〇牢獄
盗賊A「ジロジロ見んじゃねえ!!」
盗賊B「ぶっ殺すぞ コノヤロウ!!」
裸の盗賊「乳首と乳首で おホモだち 二ヒョホホホホホ」
大臣「こんなクズどもに聞いても・・・」
シスター「泥棒のことは泥棒に聞くのが一番」
大臣「おとぎ話の卵泥棒を 本物の盗賊が知ってる? バカバカしい!」
大臣「本当に存在したとしても 王の命を 泥棒にゆだねる訳には・・・」
パンナコッタ姫「大丈夫 わらわが卵を盗みやる」
大臣「どうやって?」
パンナコッタ姫「盗み方を学ぶなり 泥棒の弟子になるでおじゃるー!!」
大臣「ひひ 姫が泥棒の弟子!! ぜぜぜ前代未聞じゃ!!」
裸の盗賊「ねーちゃん 乳首と乳首で よろチクビー!!!!」
パンナコッタ姫「よろチクビ~」
裸の盗賊「気に入ったぜ カワイイねーちゃんだ!!」
大臣は頭を抱えた
大臣「王に王に 申し訳が立たぬ・・・」
大臣「ダメだ こんな奴らに姫様を近づける・・・」
大臣「ムリムリムリムリ」
パンナコッタ姫「弟子 弟子!!」
シスター「泥棒さんの お弟子は ひい様の5歳からの夢よね~」
大臣「遊びじゃない!! 王の命が かかってるのに!!」
パンナコッタ姫「デシ デシ 泥棒の弟子」
大臣「ワクワクすな!」
パンナコッタ姫「イエーイ!!」
大臣「踊るな!」
シスター「オホホホホホ」
大臣「ほのぼのすな!」
〇要塞の廊下
シスター「エッグ・シーフを見つけるには 盗賊や下々の言葉を覚えねば」
パンナコッタ姫「わらわの言葉では わろしかや?」
シスター「わろし=好ましくない さような みやびな言葉では 下々の者には分かりません」
シスター「ひい様の方も 連中の言葉が 分かりますまい」
パンナコッタ姫「しかり! 父上のため 学ぶでおじゃる」
〇牢獄
裸の盗賊「このスットコドッコイ 俺の尻を舐め腐れ」
パンナコッタ姫「それが下々の挨拶かや? 随分複雑じゃのう・・・」
裸の盗賊「初対面の奴にはよ ナメられちゃいけねえ まずは 一発かますんだよ!」
パンナコッタ姫「カマス? 魚がどうかしたかの?」
裸の盗賊「このスットコドッコイ 俺の尻を舐め腐れ!!」
裸の盗賊「リピート・アフター・ミー」
パンナコッタ姫「コノスットコドッコイ オレノシリヲナメクサレ!!」
シスター「ひい様 お上手 お上手!」
パンナコッタ姫「シリヲ ナメクサレとは どういう意味でおじゃる?」
シスター「きっと どうぞ宜しくということでしょう?」
シスター「次は お願いする時の言葉を 教えてください」
パンナコッタ姫「エッグ・シーフ殿に 色々 教わらぬとならぬのじゃ」
裸の盗賊「頼むなんてしねえ 脅してドヤしつければいいんだ」
裸の盗賊「まずは相手をビビらせんだ」
裸の盗賊「てめえのキャンタマ切り取って 喉元に押し込むぞ」
裸の盗賊「これで相手は震えて 何でも従うよ」
パンナコッタ姫「キャンタマとは何じゃ シスター知っておるかや?」
シスター「いいえ 私はそのようなもの・・・ 見たことも聞いたことも御座いません」
裸の盗賊「またまた イジったことあんだろう?」
裸の盗賊「教会の裏で こっそりさ」
シスター「オホホホホ おかしなことを」
パンナコッタ姫「分かった!」
シスター「ほ 本当に?」
パンナコッタ姫「キャンタマとは・・・つまり」
パンナコッタ姫「キャンディーのことであろう!? 特大キャンディーを キャン玉と言うのじゃろ?」
裸の盗賊「確かに 大きいの持ってるぜ・・・」
パンナコッタ姫「良きかな 良きかな 姫もキャンタマこそ欲しけれ!!」
パンナコッタ姫「キャンタマ キャンタマ キャンタマ」
シスター「連呼しないで・・・ 私の心臓も苦しくなる」
裸の盗賊「てめえのキャンタマ切り取って 喉元に押し込むぞ!!」
裸の盗賊「リピート・アフター・ミー」
パンナコッタ姫「テメエノキャンタマキリトッテ ノドモトニオシコムゾ!!」
シスター「ひい様 お上手 お上手!!」
パンナコッタ姫「下々の言葉は難しいのう・・・ 大儀である」
〇貴族の部屋
パンナコッタ姫「父上・・・」
パンナコッタ姫「ドラゴンの卵 必ずや お持ちするでおじゃる」
パンナコッタ姫「別れに涙は見せぬなり」
パンナコッタ姫「笑顔で笑顔で・・・」
パンナコッタ姫「姫は笑顔で行きまする ううう・・・」
パンナコッタ姫「ハッ そうなり!」
〇牢獄
パンナコッタ姫「もう一つ 教わりし挨拶が・・・」
裸の盗賊「別れの挨拶は 再会の願いを込めろ!」
〇貴族の部屋
パンナコッタ姫「再会の願いを込めて・・・」
パンナコッタ姫「父上 次にお会いし時は 必ずや──」
パンナコッタ姫「テメェの寝首かいてやる!!」
心臓を掴まれたように
寝息が止まる
パンナコッタ姫「絶対 次は寝首かいてやる」
パンナコッタ姫「絶対 絶対 確実に寝首かいてやる〜💖💖」
心を込めて
下々の言葉で
丁重に別れを惜しんだ
王「うう~む う~むむ・・・」
魔女の呪いか?
王は胸をかきむしる
〇城壁
シスター「・・・・・・」
大臣「シスター 計略通り 姫は出て行きました」
シスター「あの盗賊は?」
大臣「それも処分済みです アレをここへ」
シスター「・・・・・・」
処刑人の手にしたトレイには
大臣「姫をたぶらかし 追い出した罪です」
大臣「後継者の居ない今や 王さえ死ねば──」
大臣「イエーイ イエーイ イエーイ」
大臣は浮かれて城内へ
シスター(浅はかな男 次はお前だよ)
シスターが男の首に 優しく語る
シスター「そんなに頬を膨らませて 特大キャンディーもらったの? 欲張りね」
シスター「アラ! 2つも押し込まれて いいわね」
シスター「ホラ 下の道を 村人に扮した ひい様が一人」
〇草原の道
遠雷が鳴り響く曇天
姫は独り進む
シスター「幼い頃より 手塩にかけた ひい様 可愛い ひい様」
シスター「私が愛した ひい様」
シスター「あなたが王家の者でなければ 長生きできたろうに・・・」
シスター「盗賊さん 一緒に ひい様を見送ってあげて」
シスター「あなたは先に地獄で待ちなさい そして ひい様をお迎えして」
シスター「だって あの子は泣き虫だから 独りでは きっと泣いてしまう」
シスター「約束ね盗賊さん 地獄で待っててあげてね」
シスター「よろチクビ」
そっと 盗賊の首を湖に捨てた
〇黒
〇壁
城壁には
魔女の影が映っていた
〇ファンタジー世界
〇西洋の市場
チュロス「いい匂いだ もう3日も食ってねぇ・・・」
物売り「文無しはうせろ!」
チュロス「匂いくらい いいだろう」
物売り「ダメだ!! 匂い代払え」
チュロス「クソ・・・」
物売り「お前は肉どころか この卵だって買えないんだろう?」
店頭には器に盛った
山盛の卵があった
〇ヨーロッパの街並み
パンナコッタ姫「ふえ~ 人が うじゃうじゃおるのう」
村人1「ねえねえ オイラと遊ばない?」
パンナコッタ姫「下々の者!!」
村人1「下々?」
パンナコッタ姫「まずは挨拶 挨拶・・・」
パンナコッタ姫「このスットコドッコイ 俺の尻を舐め腐れ」
村人1「面白そう! ボクのお尻も舐めて!!」
男は姫を追い回した
パンナコッタ姫「ヒィィ もののけ もののけじゃ」
村人2「どこ見てんだ 気をつけろ!」
パンナコッタ姫(助けを乞うなり! お願いするには え~と・・・)
パンナコッタ姫「てめえのキャンタマ切り取って 喉元に押し込むぞ」
村人2「このやろう なんて奴だ!!」
村人2「こらしめてやる」
村人2「ウワッ なんだ ペッペッ」
チュロス「弱い者イジメはやめろ」
村人2「カッコつけやがって!!」
その時
物売り「まてッ!! 卵泥棒!!!!」
チュロス「いけね💦」
男は逃げ出した
村人2「待て このヤロウ」
物売り「卵泥棒」
村人1「待って~ お尻ナメて~」
姫は震えていた
パンナコッタ姫「卵泥棒・・・み み み・・・」
パンナコッタ姫「見つけた エッグ・シーフ殿」
運命の出会いは
誤解と混乱のまま次回へ!!
一話から凄く面白くて次の話しも楽しみになりました! キャラクター達が個性的で物語も楽しくて…また読みたいなと思います
姫様の世間知らず具合と「下々の言葉」の化学反応が見事過ぎて…🤣
各キャラクターの性格や特性を、生き生きと、生々しく打ち出すところが好きです🥰
ファンタジーとリアリティ、高貴と卑俗、この混ざり合いから何が生まれるのかワクワクする第一話ですね✨
面白かったです。主人公はぶっ飛んでギャグをかます、それが話の展開に絡んで。成程、タップノベルの構成はこうすればいいんですね。ありがとうございます。これからも読ませて頂きます。