第2話 聖樹の花(脚本)
〇原っぱ
勇者「経験値〜ッ!!」
ライム「ひぎぃ〜っ」
〇原っぱ
僧侶「おカネぇ〜ッ!!」
ライム「うぐぅ〜っ」
〇原っぱ
魔法使い「アイテムドロ〜ップ!!」
ライム「あへぇ〜っ」
〇原っぱ
ライム「モリオサの言った通りだった⋯⋯」
ライム「ニンゲン怖い⋯⋯」
ライム「何でこんなに襲ってくるの?」
ライム「ぼく何も悪い事してないよぉ⋯⋯」
「見つけた〜!!」
ライム「も゛う゛や゛だ〜!!」
〇原っぱ
〇霧の中
〇大樹の下
ライム「ここはどこ?」
ライム「迷っちゃった⋯⋯」
ベーコン「客人とは珍しいな⋯⋯」
ライム「ブ、ブタさん?」
ベーコン「如何にも」
ベーコン「我は豚であり、うぬはスライムである」
ベーコン「これは真実である」
ライム「え、えと⋯⋯」
ベーコン「何をしにここへ参った?」
ライム「ぼく、迷っちゃって⋯⋯」
ベーコン「迷う?」
ベーコン「道に迷うか、人生に迷うか?」
ベーコン「それとも?」
ライム「道に迷ってます」
ベーコン「何故迷う?」
ベーコン「行きたい所へ行くが良い」
ベーコン「これは真理である」
ライム「いや、その⋯⋯ 道がわからなくて⋯⋯」
ベーコン「道とは、生き物が往来する所であり、通行する間である」
ベーコン「それが道の意味である」
ライム「いや、そういう事じゃなくて⋯⋯」
〇大樹の下
ベーコン「なるほど。なるほど」
ベーコン「人の子に恋慕し、会いに行く途中であると」
ベーコン「これは愉快である」
ライム「笑わないでほしいなぁ⋯⋯」
ベーコン「何故だろう?」
ベーコン「スライム如きが人の子に恋心を抱く⋯⋯」
ベーコン「これほど滑稽な話があるだろうか?」
ベーコン「それは無謀である」
ライム「わかってますけどぉ⋯⋯」
ライム「あと、ちょいちょいオナラするの止めてもらって良いですか?」
ベーコン「無理である」
ベーコン「放屁は生理現象であり、それを止める権利はうぬにはない」
ライム「⋯⋯」
ライム「⋯⋯だったら」
ライム「ぼくの感情も、ぼくのものだよ」
ライム「それを笑う権利が、ブタさんにあるの?」
ライム「そりゃ確かに無謀かも知れないけどさ」
ベーコン「⋯⋯」
ベーコン「確かに!」
ベーコン「それは道理である」
ベーコン「見事なスライムだ」
ベーコン「面白い」
ベーコン「それで如何とする?」
ベーコン「人とスライムが結ばれた、などと聞いた事がない」
ライム「どう、って言われても⋯⋯」
ベーコン「何か考えがあって、会いに行くのではないのか?」
ライム「考え?」
ライム「ぼくはリンに会いたいだけだよ」
ベーコン「⋯⋯」
ベーコン「無策とは⋯⋯」
ベーコン「純粋なのか、愚かなのか⋯⋯」
ベーコン「いや、恋とはそういうものか⋯⋯」
ライム「ブタさんが何を言ってるのかわからないよぉ⋯⋯」
ベーコン「よろしい」
ベーコン「うぬは人間になると良い」
ライム「ぼくがニンゲンに?」
ライム「それこそ無理だよ」
ベーコン「『聖樹の花』というものを知っているか?」
ライム「せーじゅのはな?」
ライム「知らない」
〇木の上
ベーコン「この世界が誕生してから、一度も枯れぬ大樹がある」
ベーコン「これが聖樹である」
ベーコン「そして聖樹に咲く花には、どんな願い事でも叶えてくれるチカラがあるという」
ライム「どんな願い事でも?」
ベーコン「左様」
ベーコン「ただし⋯⋯」
ベーコン「一度願いを叶えてしまうと、花は枯れ、散ってしまう⋯⋯」
ベーコン「再び願いを叶えるには、花弁を集めなくてはならない」
ライム「花を揃えたら、ぼくもニンゲンに?」
ベーコン「左様」
ベーコン「しかしこれは伝説である」
ベーコン「真実かどうかは定かではない」
〇大樹の下
ライム「ぼくがニンゲンに⋯⋯」
ライム(こんな感じ?)
ライム(それとも⋯⋯)
ベーコン「うぬが人間になる事が出来れば、」
ベーコン「その娘と結ばれる事もあるかも知れない」
ベーコン「これは可能性である」
ライム「そんな事、出来るのかなぁ?」
ベーコン「少なくともスライムのままよりは良いだろう」
ライム「う〜ん⋯⋯」
ライム「ニンゲンかぁ⋯⋯」
ベーコン「さあ、面白きスライムよ」
ベーコン「そろそろ行くが良い」
ベーコン「これは啓示である」
ライム「行けって言われても、道が⋯⋯」
〇原っぱ
ライム「⋯⋯?」
ライム「ブタさんがいない?」
ライム「夢でも見てたのかなぁ?」
ライム「⋯⋯」
ライム「まあいいや」
〇ファンタジー世界
〇上官の部屋
リヴァル(あと一枚⋯⋯)
リヴァル(一体どこに?)
リヴァル(近くにある筈なのだが⋯⋯)
「うりゃあああああああああっ!!」
リヴァル「やれやれ⋯⋯ またか⋯⋯」
〇華やかな広場
リン「ほっ!」
リン「はっ!」
リン「はいっ!!」
〇華やかな広場
「リン様!」
リン「何よぅ?」
リヴァル「またこのような事を⋯⋯」
リン「私は筋トレしてただけですぅ」
リヴァル「素手で熊を倒す事は筋トレとは言いません」
リヴァル「良いですか?」
リン「ダメです」
リヴァル「貴女様はこの国の王女なのですよ?」
リン「知ってるわ」
リン「だから鍛えてるんじゃない」
リヴァル「限度があります」
リン「ないわ」
リン「あるとすれば、もっと上」
リン「私は世界で一番強いお姫様になるの」
リヴァル「ですから、その前に怪我でもされたら⋯⋯」
リン「私が怪我をしたら、甲斐甲斐しくお見舞いにでも来ればいいわ」
リン「そうすれば、私の気持ちも変わるかも知れない」
リヴァル「そうはならないでしょう」
リン「そうね」
リン「じゃあ、どうやってこの国を手に入れる?」
リン「王位の継承権を持っているのは私だけ」
リン「でも私は誰とも結婚しない」
リン「もう私かパパを暗殺するしかないわね」
リヴァル「ご冗談を⋯⋯」
リン「そう願うわ」
リヴァル「⋯⋯」
リヴァル「くそっ!」
リヴァル「いい気になりやがって⋯⋯」
〇城の廊下
リン(やっぱり熊ぐらいじゃダメね⋯⋯)
リン(もっと強い人と戦いたい⋯⋯)
リン(旅にでも出れば、そんな相手とも巡り会えるかしら?)
リン(でも私が国を離れたら⋯⋯)
リン「⋯⋯」
リン「ああ、もう! 止め止め!」
リン「気晴らしに、美味しいものでも食べに行こう」
〇外国の田舎町
ライム「あ、何か見えてきた」
ライム「あそこがニンゲンの国?」
ライム「リンはいるかなぁ?」
一気読みしようと思っていたのにツッコまざるを得なくさせるとは……!!🤣
ベーコンの鳴き声は模しているのか、模しているのかっ!?と思ったらまさかのモノホンでみんなコメントでツッコんでるし🤣
怪しげなお付きの男の目論見はバレてて、そのために花を集めているのですね。ただ、単に国を手に入れたいというわけではなさそうですね…多分、ですが…。
はなうら……なるほど😆
2話もテンポがよくて、楽しく惹き込まれるように読ませていただきました!
ベーコンさん、夢だったのか…。哲学的なブタさん、名前はフランシス=ベーコンからでしょうか?彼が焼かれて美味しくいただかれないことを願ってます😂
健気に頑張るライムくん、やっぱり可愛かったです。姫は強いのに籠の鳥。二人の運命がどう動いていくのか、続きも楽しみです😆
僕の感情は僕のものという言葉響きました
人間になりたいとは人魚姫を連想させますが、りんは人間になっても気づいてくれるでしょうか
人間の想像の髪型が個性的でライム君可愛いなあと思いました