フィクショニア

蓮巳REN

エピソード1 何言ってるんだろう(脚本)

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〇学食
僕「現実はそんなに上手くいくわけないじゃん、てさ」
  トンカツを箸で摘まみながら唐突に友人が言った。
  ちなみに学食に入ってから日替わりのトンカツ定食が運ばれてくるまで、お互い注文以外の言葉は発していない。
  トンカツをソースにつけ、さらに友人は述べた。
僕「映画とかドラマとか本とかアニメとか見て言う人がいるけど、なに言ってるんだろう」
俺「おまえこそ急になに言ってんだ」
僕「不思議に思わない?」
俺「おまえが?」
僕「昔から理解できなくて」
俺「おまえが?」
僕「まず現実では起こらないからこそわざわざお話になってるんだよ、って説明をすればいいのかな。なんか馬鹿みたいじゃない?」
  わかってはいたが案の定、返答のないまま話は続いた。
  めげずにもう一度きいてみる。
俺「おまえが?」
僕「うん答える僕が」
  どうやら使い回しの質問でもニーズに合えば返事をしてくれるらしい。
僕「なんか意図のある感想だと思う? そんな当たり前のこと言われてもどうしていいかわからないんだけど」
僕「模範解答をどうぞ」
俺「『だよなー笑』」
僕「なにその餅の入ってない餅つきみたいな合いの手」
俺「例えがわかりづらい」
僕「あ。そっか。 餅を入れずに臼を叩き壊したいっていう暗喩なのかな」
俺「先に進むのな」
  ふむふむと納得しながら友人はカツを口に入れ咀嚼する。
僕「気に入らない」
俺「カツが? 俺の返事が?」
僕「ないし、つまらないっていう意思表示なわけだ」
  違うのはわかっていたが、話の途中だったらしく、かぶせ気味で続きがきた。
僕「ならそう言ってくれればいいのに」
俺「・・・この話面白いか?」
僕「うんすごく」
僕「あ、もしかしてそういうこと?」
僕「まず否定的な意見で同調を求めて、賛同してもらえればよし。そうでなくても遠まわしなアピールにはなるわけだ」
僕「俺はどうかと思うんだけれど、おまえは思わないわけ? 的な。 今君がやったみたいに」
僕「それって社交スキルの一環? それとも意見に自信がないから? もしくは単に性格が嫌味なだけ?」
俺「・・・俺は自信不足の嫌味な奴かもしれないけど、お前はわりと酷い奴だと思う」
僕「なんで」
  心外だと言わんばかりの顔をされる。
  俺が悪いのだろうか。
僕「僕は率直なだけだと思う」
俺「コミュ障って知ってるか」
僕「君とは会話出来てるし。僕だってTPOはわきまえて他の人にはもう少し面倒な説明もするよ」
俺「おまえ他のやつの前では無口だよな」
僕「面倒なこと嫌いなんだ」

次のエピソード:エピソード2 努力と才能

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