エピソード30(脚本)
〇空っぽの部屋(ガムテープあり)
藤原一茶「三人で落ちようや」
真田紅音「!!」
中園瑚白「・・・・・・」
真田紅音「待てよ、なんでそうなんだよ。 どうせお前が落ちないと、全員落ちるんだぞ」
藤原一茶「絶対いやや。 もう理性とかの話ちゃうねん、感情や」
藤原一茶「俺が落ちて自分らが受かる、それがとにかくいやや!」
真田紅音「頭に血が上ってるだけだろ。 一回冷静になってくれよ」
瑚白は落ち着きない様子で四隅のカメラの位置を確認する。
モニターに表示されたタイマーの残り時間は、残り1分を切っていた。
藤原一茶「いやや、どうせ落ちるんやったら自分らも落として胸をすっきりさせたい」
藤原一茶「一人落ちるんも、三人落ちるんも俺にとっては一緒や」
藤原一茶「せやったら、少しでも気分がええ方がええ!」
中園瑚白「なら、一人落ちる方に圧倒的なメリットがあればいい、そういうこと?」
藤原一茶「・・・どういうことや」
中園瑚白「一茶が落ちても、選考に復活させることができる」
「!!」
真田紅音「それ、どういうこと?」
瑚白は部屋の真ん中にしゃがみこみ、二人に近づくよう促す。
中園瑚白「時間もないから、手短に話す。 私は、エリートピア社の創業者の孫娘なの」
「!!」
真田紅音「創業者のって──」
中園瑚白「しっ、静かに。 マイクに音拾われたくないの」
藤原一茶「証拠は?」
中園瑚白「これ」
瑚白が見せた写真には、瑚白と並んで一人のおじいさんの姿が映っている。
中園瑚白「一茶ならわかるでしょ、この人が創業者だって」
藤原一茶「・・・やっぱりコネがあったいうことか」
中園瑚白「もちろん、選考を通すことなんかは出来ない」
中園瑚白「でもまだ三次試験、落ちた受験生を一人復活させることぐらいはわけない」
真田紅音「・・・・・・」
藤原一茶「はああ・・・」
藤原一茶「なんや、どうすればええ」
中園瑚白「もう一度冷静になって考えて。 このままだと確実に三人が落ちる」
中園瑚白「さすがに私の祖父も、三人を復活させることはできない」
中園瑚白「でも、今あなたがここで落ちることを選んでくれれば、あとで絶対に復活させることができる」
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