2 ドキドキと騒動(脚本)
〇古びた神社
久遠 陽菜(くおん ひな)「ねえ神様~今日はもう探すの切り上げよ~?」
玲仁(れいじ)・神狐「‥うむ、そうじゃな」
玲仁(れいじ)・神狐「ときに陽菜、また我のことを『神様』と申したな」
玲仁(れいじ)・神狐「『玲仁』と呼べと言うに」
久遠 陽菜(くおん ひな)「だ、だって『神様』だし? 神様を呼び捨てって‥ねえ?」
玲仁(れいじ)・神狐「‥ふむ。たしかに人間界で我のことを呼び捨てにする者はおらぬ」
玲仁(れいじ)・神狐「でもだからこそ! 妻となる陽菜には『玲仁』と呼んでもらいたいのじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「妻になるとは言ってませーん!」
玲仁(れいじ)・神狐「それから──」
久遠 陽菜(くおん ひな)(ダメだ‥全然私の言うこと聞いてないし、話が終わりそうにない)
久遠 陽菜(くおん ひな)「もー! わかった! 玲仁って呼ぶから、話は終わり!」
玲仁(れいじ)・神狐「‥うむ♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)(‥なんか飛んだ)
久遠 陽菜(くおん ひな)「えっと‥じゃあ玲仁。明日、また明るい時間に探そう?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「いちいち『ほわほわ』すなー!」
〇通学路
久遠 陽菜(くおん ひな)「あの‥玲仁?」
玲仁(れいじ)・神狐「なんじゃ? 陽菜」
久遠 陽菜(くおん ひな)「なんでついてきてるのかなぁって」
玲仁(れいじ)・神狐「こんな夜道を女人が単身で歩くのは危ういであろう?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「危ないから送ってくれてるってこと?」
玲仁(れいじ)・神狐「うむ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)(ふ‥ふぅん)
久遠 陽菜(くおん ひな)「えと、さりげなく繋いでるこの手は?」
玲仁(れいじ)・神狐「我が繋ぎたいからじゃ!」
玲仁(れいじ)・神狐「(キリッ)」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ、はは‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)(もう、手繋ぐくらい、いっか)
〇綺麗な一戸建て
久遠 陽菜(くおん ひな)「はい、ここが私の家。 送ってくれてありがとね、玲仁」
玲仁(れいじ)・神狐「うむ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「もう帰っていいよー?」
玲仁(れいじ)・神狐「帰らぬ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ええ!? なに言い出すの!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「い、家には入れられないよ!? 玲仁のこと、説明できないし!」
玲仁(れいじ)・神狐「説明なぞしなくてよい」
玲仁(れいじ)・神狐「関係のない者には、我が見えなくなる術をかけているからな」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そんなこと!」
おばあちゃん「騒がしいと思ったら‥陽菜? どうしたの」
おばあちゃん「早く中にお入りなさいな?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「う、うん‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)(おばあちゃん、玲仁のこと見えてないのかな?)
おばあちゃん「先に入っとくよー」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ねえ玲仁、さっきおばあちゃんと挨拶してたよね?」
玲仁(れいじ)・神狐「(スン‥‥)」
久遠 陽菜(くおん ひな)「無視かーい!!」
〇女の子の二人部屋
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ゛~、なんかめちゃくちゃ疲れた‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私、お風呂入って着替えてくるから、玲仁はここにいてね?」
玲仁(れいじ)・神狐「うむ。承知した」
〇清潔な浴室
久遠 陽菜(くおん ひな)(う~ん‥玲仁を部屋にあげちゃったけど、どうしよう)
久遠 陽菜(くおん ひな)(明日、キズナ石を見つければ、神社に帰るだろうから‥)
久遠 陽菜(くおん ひな)「よ~し! とりあえず、今夜だけなんとかやり過ごそう!」
〇女の子の二人部屋
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁、お待たせ~♪」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜♪ おおっ‥衣を替えたのか」
久遠 陽菜(くおん ひな)(ベッドで恋愛漫画読んで‥めっちゃくつろいでる~!)
久遠 陽菜(くおん ひな)「漫画読んでたの? 面白い?」
玲仁(れいじ)・神狐「この絵物語は、漫画というのか? なかなか興味深い」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜は、このような物語に心惹かれるのか?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ん、まあ、理想っちゃ理想かな?」
玲仁(れいじ)・神狐「うむ。心得た」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そろそろ、寝るよー?」
玲仁(れいじ)・神狐「承知した」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁は‥床で寝てくれる?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「早々と布団をかぶって寝るんじゃなーい!」
玲仁(れいじ)・神狐「なぜじゃ~? そなたは妻になる身。恥ずかしがる必要はない」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あーのーねぇ‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「妻になるって言ってないし!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そうやって人の話聞かないところ、嫌い!」
久遠 陽菜(くおん ひな)(‥言い過ぎた、かな?)
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜に嫌われるのは、ツラいのぉ‥」
玲仁(れいじ)・神狐「我が改める。怒りを鎮めてくれ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ん‥わかってくれるなら、いいよ」
玲仁(れいじ)・神狐「(ホッ‥)」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜、我のこの姿でなければ良いであろう?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ん?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「わあ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「きゃ~♡ もふもふ~♪」
玲仁(れいじ)・白狐「ほれ♪ さわって良いぞ♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うにゃ~♪ かわいい~♪」
玲仁(れいじ)・白狐「この姿なら、寝床を共にしても良いであろう?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ‥まあ。この姿なら」
玲仁(れいじ)・白狐「陽菜も、もう休め」
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん。おやすみ」
〇女の子の二人部屋
〇女の子の二人部屋
〇綺麗な一戸建て
久遠 陽菜(くおん ひな)「なぁにぃ~!? この状況~!!」
〇女の子の二人部屋
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁‥説明、してくれる?」
玲仁(れいじ)・神狐「うむ♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ま、まず‥服着よっかぁぁ!」
玲仁(れいじ)・神狐「これで良いか?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「う、うん」
久遠 陽菜(くおん ひな)「え、えっと‥狐の姿で寝たのに、なんで今朝は裸だったの?」
玲仁(れいじ)・神狐「昨晩は暑くての‥気づいたらあの姿になっておった」
久遠 陽菜(くおん ひな)(Oh‥)
久遠 陽菜(くおん ひな)「じ、じゃあ‥腕枕してたのは?」
玲仁(れいじ)・神狐「漫画で見たからじゃ!」
玲仁(れいじ)・神狐「漫画の中のふたりは、とても幸せそうでな‥」
玲仁(れいじ)・神狐「我も陽菜にしたくなったのじゃ」
玲仁(れいじ)・神狐「あ、漫画では衣を着ておったがな」
久遠 陽菜(くおん ひな)「でしょーねー!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁‥漫画のふたりは恋人同士だったでしょ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「でも、私たちは恋人同士じゃないから、ああいうこと、普通はしないの」
玲仁(れいじ)・神狐「‥恋人同士」
玲仁(れいじ)・神狐「我は陽菜に惚れておる。あとは、陽菜が我に惚れれば良いのじゃ」
玲仁(れいじ)・神狐「早く我に惚れよ」
久遠 陽菜(くおん ひな)(あう‥)
〇おしゃれなリビングダイニング
久遠 陽菜(くおん ひな)(えーっと、おばあちゃんは)
おばあちゃん「ああ、陽菜。おはよう。 朝から大きな声が聞こえたけど‥?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「え! あ‥えと‥その」
おばあちゃん「あら? まだお客さまがいらっしゃるのかしら?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「おばあちゃん!? これ、見えるの!?」
玲仁(れいじ)・神狐(‥これ)
おばあちゃん「なんにも見えないよ~。 でも、昨日の夜から気配は感じるわね」
おばあちゃん「優し~い気配をね」
久遠 陽菜(くおん ひな)「おばあちゃんって霊感あったんだ」
おばあちゃん「気配だけよ」
おばあちゃん「お客さまは‥ふふっ陽菜のことが好きなのかしら?」
おばあちゃん「陽菜のこと、守ってくれそうな気がするわ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そ、そうなの?」
おばあちゃん「うん。悪い気配は感じないよ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「へぇ‥」
おばあちゃん「そうそう、おばあちゃん出掛けるから、陽菜も出掛けるなら戸締まりよろしくね」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ、うん♪」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜、我の気持ちは少しは伝わったか?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「う‥ま、まあ」
玲仁(れいじ)・神狐「うまそうじゃな」
久遠 陽菜(くおん ひな)「おばあちゃんが作ってくれてた」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ、こら! つまみぐい~!」
玲仁(れいじ)・神狐「なかなかじゃの」
玲仁(れいじ)・神狐「なんじゃ! ここは氷室か? やけに冷えるのお」
久遠 陽菜(くおん ひな)「も~、冷蔵庫開けないの。冷凍庫も開けっぱなしにしな~い」
玲仁(れいじ)・神狐「冷蔵庫‥冷凍庫‥?」
玲仁(れいじ)・神狐「人間の住まいは、実に興味深いな!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そう?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そろそろキズナ石探しに行こっか~」
玲仁(れいじ)・神狐「うむ!」
〇古びた神社
久遠 陽菜(くおん ひな)「じゃあ手分けして探そ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「私はこっち、玲仁はあっち!」
玲仁(れいじ)・神狐「承知した」
〇森の中
玲仁(れいじ)・神狐(我の念をこめた神符が‥)
玲仁(れいじ)・神狐(永き時を経て、朽ち果てたか‥ あるいは何者かが‥?)
玲仁(れいじ)・神狐(それより‥‥緋紗(ひさ)の気配が全く感じられぬ)
玲仁(れいじ)・神狐(厄介な事態は避けたいのぉ)
玲仁(れいじ)・神狐(キズナ石探しが先か‥緋紗を探すほうが先か)
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ゛~! もう! あっつい!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「玲仁~、キズナ石見つかった? こっちは全然~‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あーー!!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「なんで玲仁だけアイス食べてるの~?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ずるいずる~い!!」
玲仁(れいじ)・神狐「陽菜も食すか?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「わぁい♪ うちの冷凍庫に常備してるアイスと同じ♪」
玲仁(れいじ)・神狐「まさに! 陽菜の家の冷凍庫から転送したものじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「おおぉい!!」
〇古びた神社
久遠 陽菜(くおん ひな)「ねえ玲仁?」
玲仁(れいじ)・神狐「なんじゃ? 陽菜♪」
久遠 陽菜(くおん ひな)「キズナ石をなくして一晩たったけど」
久遠 陽菜(くおん ひな)「とくになんにもおかしな事、起こってないよね?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「具体的に、どんなことが起こるの?」
玲仁(れいじ)・神狐「わからぬ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ええ!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「近隣に多大な影響が! って言ったじゃ~ん」
玲仁(れいじ)・神狐「キズナ石をなくしたのは、こたびが初めてじゃからなあ」
玲仁(れいじ)・神狐「伝え聞いていたことを、述べたまでじゃ」
久遠 陽菜(くおん ひな)「な、なるほど‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「でもさ! 今のところなにも起こってないってことは、このまま──」
玲仁(れいじ)・神狐「否! すでに起こっておる」
久遠 陽菜(くおん ひな)「え!? どんなこと?」
玲仁(れいじ)・神狐「暑くてたまらぬ!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そりゃ、夏だし? 暑いに決まってるじゃん」
久遠 陽菜(くおん ひな)「なに言って──」
玲仁(れいじ)・神狐「これまでは、キズナ石が我の周囲を適温に保っておったのだ」
玲仁(れいじ)・神狐「このままの暑さが続くなら、また裸体に──」
久遠 陽菜(くおん ひな)「わああああ!!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「それは困る~!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「う‥うう~、キズナ石見つからないし、どうしよう」
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ! 誰かが拾って交番に届けてくれてるかも!?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「可能性は低いかもしれないけど‥行ってみる?」
玲仁(れいじ)・神狐「うむ‥わずかでも可能性があるなら、参ろう」
〇商店街
久遠 陽菜(くおん ひな)「・・・」
久遠 陽菜(くおん ひな)「‥ね、ねえ玲仁? なんかいつもの商店街と違う気がする」
玲仁(れいじ)・神狐「・・・」
山木 利香(やまき りか)「あー♪ 委員長! どしたの? ひとり?」
久遠 陽菜(くおん ひな)(あ! 玲仁のこと見えてないんだ)
久遠 陽菜(くおん ひな)「うん。ちょっと交番に‥」
山木 利香(やまき りか)「交番かぁ‥今は、行っても話聞いてもらえないかもよ?」
久遠 陽菜(くおん ひな)「なんで?」
山木 利香(やまき りか)「いや‥なんかね、テレビとかの電子機器が一斉におかしくなってるらしくって」
山木 利香(やまき りか)「混乱した人たちが、交番に押し寄せてるとか‥」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ええ!?」
山木 利香(やまき りか)「それ系は、お巡りさんに聞いてもわかんないと思うけどねー」
山木 利香(やまき りか)「でね、私いろんな場所まわって、情報収集してきたんだけど‥」
山木 利香(やまき りか)「電子機器がおかしくなってるのって、このあたりだけみたいよ?」
山木 利香(やまき りか)「それからね、なんだか怪しい人が目撃されてるみたい」
久遠 陽菜(くおん ひな)「怪しい人?」
玲仁(れいじ)・神狐(もしや‥緋紗?)
山木 利香(やまき りか)「うん。この暑い中、黒いパーカーのフードを頭からかぶってウロウロして」
山木 利香(やまき りか)「おかしくなった電子機器をじっと見てるんだって‥変じゃない?」
山木 利香(やまき りか)「ただの野次馬かなぁ?」
山木 利香(やまき りか)「てことで! 謎を解明しに、引き続き、情報収集に行ってきま~す♪」
山木 利香(やまき りか)「じゃーねー! 委員長!」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ねえ玲仁、今の話って、キズナ石と関係‥ある?」
玲仁(れいじ)・神狐「ふーむ‥」
玲仁(れいじ)・神狐「我とキズナ石が離れた影響か‥」
玲仁(れいじ)・神狐「あるいは、怪しき人物がキズナ石を拾い、なにやら企んでいるか」
久遠 陽菜(くおん ひな)「そう‥だね」
久遠 陽菜(くおん ひな)「ちょっと商店街の様子、見てまわる?」
玲仁(れいじ)・神狐「そうしよう」
〇たこ焼き屋の店内
久遠 陽菜(くおん ひな)「この店のテレビ‥ついてないね」
〇ショッピングモールのフードコート
久遠 陽菜(くおん ひな)「ここは映像が映ってない」
〇町の電気屋
久遠 陽菜(くおん ひな)「あ‥あの人!」
玲仁の狐姿でモフモフはてぇてぇでした😇✨
おばあちゃん霊感あって、霊の善し悪し見極めるの凄いですね!
玲仁は良い霊……よかったね玲仁!(笑)
真夏で家電製品使えないのはヤバいですね😅
コンビニやスーパーとか大惨事になってそうです😱
面白かったです!
もふもふ狐と一緒に寝るのは羨ましいですが、裸の人間になられると心臓に悪いですね🤣
暑くても狐の姿でいられるように、早くキズナ石をとり戻せるといいですね!
玲二、天然系俺様神様だった!便利な能力もあるのにもうめちゃくちゃですね(笑)好きです🥰何やら不穏な気配、そして探すのはキズナ石だけじゃない、と…。
コミカルに進むお話と深まる謎で2話もぐっと惹き込まれました。引き続き楽しませて頂きます!