妄想ひとりかくれんぼ#1(脚本)
〇簡素な一人部屋
──夏休み
午前0時30分──
ゆう「つ、ついにこの時が来た!!」
ゆう「実家に帰省するという親の意向を激戦の末、辛くも払いのけることに成功した・・・」
ゆう「従わない勇気をもってして勝ち得た家族不在の夏休み・・・」
ゆう「そして、僕は健全に成長している中学二年生の男子・・・」
ゆう「すると、当然いや必然的に僕がすることはただ一つに決まっている!!」
ゆう「そう!!エロいことだっ!!」
ゆう「うおおおおおぉぉぉぉおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」
〇カラフルな宇宙空間
ゆう「僕は、小さいころからおまじないが大好きだった」
ゆう「遠足の前日には必ずテルテル坊主を作り、」
ゆう「好きな人ができては「好き」「嫌い」と花弁をちぎった」
ゆう「毎年のおみくじにだって一喜一憂している」
ゆう「なぜ、こんなにおまじないが好きなのか自分でもわからない・・・」
ゆう「でも、おまじないをしたり、それが上手くいくと自分の願いが叶うような気がする」
ゆう「僕の気持ちを後押ししてくれたり、いい方向に導いてくれたりする。 そんな感じがする」
ゆう「昔の人もきっと僕と同じ気持ちでおまじないをしていたんだろうな」
ゆう「そうだ、思い出した」
ゆう「今日、僕はおまじないもしようと思っていたんだった」
ゆう「そのおまじないの名前は・・・」
第一章
──ひとりかくれんぼ──
〇簡素な一人部屋
──午前2時30分──
ゆう「ふぅ・・・」
ゆう「健全な男子中学生が、家族の居ない家ですることといえばもう一つあるよね」
ゆう「『ひとりかくれんぼ』 ネットでおまじないを調べているときに見つけたやつだ」
ゆう「なんかおまじないっていうより降霊術?的なもので、やってみた人はこわーい体験をすることになるらしい」
ゆう「えーっと、ざっくりの方法としては、 最初に、人に見立てたぬいぐるみを浴槽に沈める」
ゆう「家の明かりを消して、」
ゆう「刃物でぬいぐるみを刺しに行く」
ゆう「そして、隠れ場所に逃げる。 そうすることでお姉ちゃんが・・・」
ゆう「じゃなかった。霊の憑いたぬいぐるみが、探しに来る・・・らしい」
ゆう「でも実は僕、怖い系が苦手で・・・」
ゆう「そこで僕は考えた!」
ゆう「『ひとりかくれんぼ』の鬼を、ヤンデレなお姉ちゃんだと思っちゃえばいいのさ・・・ってね」
ゆう「僕は兄弟に、お兄ちゃんしかいないから 理想のお姉ちゃんを想像するんだ!!」
ゆう「僕にとって完璧で究極のお姉ちゃん・・・」
ゆう「そう!!『転生した異世界で幽霊アイドルたちの司令長官に今日急遽任命されたんだが、自信がなく落ち込んでいるすきに刺されて」
ゆう「もう一度異世界転生し刺した犯人を懲らしめるべく情報収集を進めると知らぬ間に最高の幽霊アイドル司令長官になるだけの」
ゆう「呪術を獲得していた』の最推しアイリ・A・ニーワちゃんだ!」
ゆう「そうすると、状況は一変する」
ゆう「ぬいぐるみに殺されるかもしれないというスリルを味わう呪術から・・・」
ゆう「『ヤンデレなお姉ちゃんに死ぬほど愛されて眠れない』という、ぼくにとってご褒美のシチュエーションに変貌する!!」
ゆう「あぁ、想像しただけでわくわくが止まらないねっ!!」
ゆう「「ゆう君お姉ちゃん以外の子と遊んでたの?そんなの許せないよ」とか言ってくれるのかなー。うん!きっと言ってくれるよねっ!!」
ゆう「言わぬなら 言わせて見せよう ヤンデレ語 姉にせまられ、責められたいよ」
ゆう「あー、まったく僕は何を言っているんだ!! テンションが上がると、いつもこうなっちゃうんだよなー」
ゆう「時間がもったいない!早く準備をして始めよう!!」
ヤンデレ短歌まで詠んじゃうほどのはしゃぎっぷりで中二病の正しいこじらせ方を満喫しているゆうくん。微笑ましいなあ。果たして最推しのアイリちゃんに会えるのでしょうか。