公開告白、渋谷駅前大型ビジョンにて

夜恐

公開告白on渋谷ビジョン(脚本)

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〇渋谷のスクランブル交差点
竹原幸樹「あ、優香はさ、サプライズ公開告白ってどう思う?」
木下優香「どうって言われても・・・」
  私達の本日のデートもそろそろ終盤、彼氏と一緒に歩いていた時、私は彼にそう質問された。
木下優香「んー、サプライズをやるなんて馬鹿だよね、とは思うかな」
竹原幸樹「え、俺は凄いロマンチックだと思ったんだけど・・・馬鹿・・・?」
木下優香「いやどう考えても公開告白とかきつすぎるよ。 もし私がそんな告白されたなら恥ずかしさのあまりうさぎ跳びで家に帰れるかなぁ」
竹原幸樹「それはそれで恥ずかしくないの?」
木下優香「まぁとにかく、私は告白されるんなら普通にされた方が嬉しいかな!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  マズイ。非常にマズイ。
  だって俺は今から公開告白を計画しているのだから。
  俺はとある企業で働いている、仕事できる系サラリーマン(自称)だ。
  そんな俺でもこの渋谷ビジョンを使った公開告白は相当に神経を使う。
  大好きな彼女を連れて、丁度公開告白映像が流されるような時間にここまでやってくるようにしたのもそうだ。
  事前の打ち合わせだって大変だった。
  お金も約300万円かけたのである。
  貯金は空っぽになったけど、車を買うお金で一生の思い出に残るプロポーズを買ったと思えばいい。
木下優香「私は告白されるんなら普通にされた方が嬉しいかなぁ」
  ・・・え、そんなことある?
竹原幸樹「え、あ、あのー、特に深い意味は無いんだけどさ、そんなにサプライズ告白って駄目?」
木下優香「駄目だねぇ。私そんなことする人が相手だったら色々と無理かも・・・」
竹原幸樹「・・・だ、だよな!さすがに俺も信じられねえよ!」
木下優香「あ、もちろん竹原君はそんなことする人じゃないと思ってるし大丈夫だよ!」
木下優香「だから付き合ってるわけだし、私竹原君の事大好きだから!」
竹原幸樹「あ、ありがとう・・・」
  どうしよう、終わった。
  元々俺は彼女に告白するつもりでここまで来たのに。
竹原幸樹「始まるまであと五分・・・」
木下優香「え、何か始まるの?」
竹原幸樹「いやなんも始まらないよ!大丈夫大丈夫!」
  やべぇ、どうしよう。
  とりあえず彼女にあんなものを見せるのはやばい。幻滅されるかも。
  そうだ、今すぐ家まで帰ろう!
  そうすれば彼女が公開告白に気づくことはないじゃないか!
竹原幸樹「あ、や、やべ、俺急用思い出したから今すぐ帰らないか?!」
木下優香「あれそうなの?私渋谷でちょっと買い物して帰るから先帰ってて良いよ?」
竹原幸樹「それじゃ駄目なんだけどなぁ?!」
  じゃ、じゃあ他の案だ。
竹原幸樹「・・・今から渋谷は宇宙人に襲撃されます」
木下優香「それは普通に嘘でしょ」
竹原幸樹「ほんとなんだって!その辺とかビームで大穴空くから!」
木下優香「えぇ・・・」
  いや、もうこの際何を言っているか分からなくてもいい。彼女をここから引き離せれば・・・!
  というか既に何言ってるのか自分でも分からないし・・・!
竹原幸樹「あ、じゃ、じゃあ今すぐデート解散しよう!俺が家まで君を送っていくからさ--」
木下優香「竹原君、そんなに私と一緒にいるの嫌になった・・・?」
竹原幸樹「い、いやいやいやそんなまさか!なんなら同居しても・・・!」
  --そうだ、その手があった。
木下優香「竹原君?」
竹原幸樹「・・・今から大事な話がある。俺の家に来てくれ」

〇一人部屋
  急いでタクシーに乗って、無事に俺の家に帰りつく。
  もちろん彼女も一緒だ。
木下優香「た、竹原君、それで大事な話って・・・?」
  助かった。マジで助かった。
  それで、このままプロポーズまでしてしまおう。
  どうせ公開告白のつもりだったのだから覚悟は決まっている。
  彼女にテーブルに座ってもらって一息つく。
竹原幸樹「あ、あの、優香さ--」
  電話がかかって来た。
  こんな時に何だよ。
  タイミング悪いなぁもう。
  電話に出ると、聞こえてきたのは友人の声。
友人「おい幸樹!テレビつけろ今すぐだ!」
竹原幸樹「なんなんだよもう・・・」
  テレビをつける。
  と、なにやらとても見覚えのある、公開告白の様子が生中継されていた。
竹原幸樹「・・・・・・」
  ・・・んん?
  あ、いや、そうか。あんなとこで公開告白なんてやったらそりゃあ報道されてもおかしくないわな。
  で、公開告白には俺の名前と彼女の名前を載せていたから、俺の友人が報道を見てびっくりして電話をかけてきた、と。
竹原幸樹「あ、あのぉ、優香さん・・・」
木下優香「・・・わ」
竹原幸樹「え、あの、そのマジでごめ--」
木下優香「わ、私うさぎ跳びで家まで帰るね・・・」
竹原幸樹「待って待ってそれは普通に待って」
  優香さんの声は震えていた。
  はい、そりゃあそうなりますよね。
木下優香「わわわ私公開告白は止めてとあれほど・・・!」
竹原幸樹「ご、ごめん! 事前に用意してたんだけど今日初めて優香さんが公開告白嫌だって知ったんだよ・・・!」
木下優香「しかも名前まで出して・・・!」
竹原幸樹「それについては俺と結婚すれば苗字が変わるから大丈夫だよ!」
木下優香「そういう問題じゃないんだけど?!」
  あっ、はい、そうですよねすいません。
木下優香「・・・許さないから。このプロポーズ、子供まで語り継いでやる・・・!」
竹原幸樹「はい・・・ほんとすいませ・・・」
  ん?
竹原幸樹「・・・子供ってことは、その、」
木下優香「・・・オッケーだよ。プロポーズの答えだけはね」
竹原幸樹「優香さん・・・!」
木下優香「幸樹くん・・・!」
友人「・・・・・・で、俺は何を聞かされてるわけ?」
  ・・・あれ、電話切ってなかった?
友人「幸樹」
竹原幸樹「はっ、はい!」
友人「今度会う時覚悟しとけよ」
竹原幸樹「あっ・・・はい・・・」
  どうか、お手柔らかに。

コメント

  • 好きな人だったら公開告白でもなんでもめちゃくちゃ嬉しいけどなぁと私は思っちゃいました。結局バレちゃいましたけど、プロポーズ大成功ということで終わりよければすべてよし、これもふたりの想い出になりましたね。

  • 最後うまく行ってよかったです😂
    前にサプライズ告白でOKを出したものの、2人きりになった時に
    「あんな大勢の前じゃ断れなかったからOKしたけど無理だから」と後から断られた男性の話を聞いたことがあったので、そうならなくてほんとよかった🤦‍♀️笑
    ぜひ子どもに話す時には素敵な笑い話になっていて欲しいですね😊

  • 10分300万円って、まずそこにびっくりしてしまいました。プロポーズ最終的に上手くいってよかったけど、彼がそんな大金使ってしまったとしったら、その後の反応が心配になりました!彼らの愛がその怒りを鎮めることができます様に!!

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