【番外編①】かぽーん。(脚本)
〇清潔な浴室
──ハンティンとみさおが初めて会った日。
その夜、2人はいきなり一緒の風呂へと入ったのだった・・・
ハンティン「──って、いきなりすぎだろ!?」
杜みさお「いいじゃん、お互い減るもんじゃねえしさ。 『こっちは全然オッケー』って、夕方言ったじゃん?」
ハンティン「そういう問題じゃねえ! 俺、一応男って事になってるんですけど?」
杜みさお「知ってる知ってる〜」
ハンティン「『ほぼ初対面で異性同士が同じお風呂に入る』って、色々アウトだからな!? ──ってか、妖精に言わすなこんな事!」
ハンティン(ってか、なんで風呂なのに服着たんだよ? いや、別に着て欲しくないとかじゃない!あくまでマナーとか色々あってだな・・・!)
ハンティン(しっかしこの服なんだよ・・・ 身体のラインが出過ぎてヤバいじゃないか!? 直視できんぞ、こんなの!!)
気恥ずかしさから、ハンティンはみさおから背を向けていた。
ハンティンは、どうしようもなくウブだった。
杜みさお「あ!顔が赤い!」
ハンティン「う・・・うっさいな、もー!」
そんなハンティンは、風呂桶に貯められた湯水に浸かっている。
小さい彼では、人間用の浴槽は大きすぎるのだ。
杜みさお「──あ、そうだ・・・ なあハンティン」
ハンティン「どうしたよ、風呂場でも何故か服着てる嬢ちゃん」
杜みさお「しょうがないだろ、衣装これしかないんだから・・・」
杜みさお「──魔法少女を増やす気、まだあんの?」
ハンティン「──いや、ない。 元はといえば、同僚の無茶振りからこの世界に来たんだからな・・・」
ハンティンは、自分がこの人間界に降り立ったいきさつを、みさおに話した。
杜みさお「ははは!なっかなかヤバいな、その黒猫ヤロー!」
ハンティン「お前もたいがいだろ? ってか、元からアイツは変なヤツなんだよ!全然考えてる事わっかんないしよ〜・・・!」
杜みさお「に、しても──女の子に魔法少女をやらせる事が妖精界ではトレンド、かあ・・・ 変な流行りもあったもんだよ、全くさ」
ハンティン「ああ──俺も最初だけ、トレンドを追って女の子を魔法少女にしよう・・・ なーんて思ってたけど・・・」
ハンティン「そんな気も起きなくなった── そして考えた。 これ以上、魔法少女が増えたらどうなるのかって、さ」
杜みさお「──ふぅん」
ハンティン「昼間に現れた、ミス☆コウテイ・・・ あんなのが溢れかえったら、それこそハルマゲドン・・・この世の終わりだ」
ハンティン「だから俺は── 魔法少女を新たに作らない事にした」
杜みさお「そっか── それを聞いて安心した・・・」
杜みさお「でもいいのか? ──観光課の仕事もあるから、誰かを魔法少女にして引っ張ってこなきゃダメじゃないか?」
ハンティン「ああ、そうだ── だから・・・」
ハンティン「色々落ち着いたらでいい── 俺と一緒に、王国に来てくれないか・・・?」
杜みさお「う〜ん、そう言われると、なあ──」
杜みさお「あ、いい事思いついたっ!」
杜みさお「オレが大満足するぐらい、でっかーくて、スゴーくて、楽しいイベントを用意してくれたら・・・ 考えてやらんでもない、けど?」
ハンティン(あっ、俺── また無茶振られたぁ!)
ハンティン(こいつの満足するイベント・・・? なんじゃそりゃ・・・? 一体なにをどうすれば? ──うぅぅ・・・・・・!!)
思わず考え込むハンティン。
だがそこへ偶然──
杜みさお「よいしょっと!そろそろ上がるか!」
浴槽から出たみさおの姿が、ハンティンの目に映った。
水滴に濡れたスクール水着、紅潮した頬の彼女はどこか艶っぽく──
ハンティン(あ、あああ・・・・・・!!! 見ちゃった見ちゃった見ちゃったぁ・・・!)
りおの姿を見て思考がすっかりショートハンティン。
そして彼はそのうち、すっかりのぼせてしまっていた。
ハンティン(あ── やべ── い、しき──が・・・)
杜みさお「うわーっ! やべえやべえ! ハンティン!大丈夫かぁーっ!? 死ぬなぁああっ!!!」
その後──
15分ほどして、ハンティンが意識を取り戻した。
ところが──
〇大きな箪笥のある和室
杜みさお「うおおおん!!こりゃあ・・・・・・ゲーミング・・・やかん・・・虹麦茶カルパス、こんぶ、羽が生えて・・・zzz・・・」
ハンティン「ぉぉぅぅぅッ!?! ──ねぞー、わるいな、おい、どーなってんだよ・・・zzz」
就寝中にも、みさおの寝相の悪さに苦しめられる事となったのだった──
おばちゃん(仮名)「ちゃんちゃん──♪なんてね。 さて、こっちは深夜の特別営業、始めようじゃないか。よろしくちゃん」
『──あ、よろしく、お願いします・・・』