第12話 決戦前に(脚本)
〇闇の闘技場
エイリーン「コウル! コウル!」
コウル「・・・」
エイリーン「傷が・・・ なかなか塞がらない」
エイリーン「こんなところで 死んではだめです、コウル!」
〇黒背景
コウル「う・・・ん・・・」
コウル「ここは・・・」
コウル「川・・・?」
コウル「そうだ。 あの時、矢を受けて・・・」
コウル「じゃあ、僕は死んだのか・・・?」
???「いや、君はまだ死んではいない」
コウル「ジンさん!?」
コウル「ジンさんがいるってことは、 やっぱり僕は死んだんじゃ・・・」
ジン「いや、まだ生きている」
ジン「川のこちら側に来なければ、 まだ生きれる可能性はある」
ジン「気持ちを強く持つんだ」
ジン「エイリーンちゃんも君を待っている」
コウル「そうだ、エイリーン!」
コウル「ありがとうございます、ジンさん」
ジン「すまないね。コウルくん」
ジン「・・・カズを頼む」
〇闇の闘技場
コウル「っ・・・」
エイリーン「コウル!」
エイリーン「コウル!」
エイリーンが喜びで抱きつく。
コウル「エ、エイリーン。 嬉しいけど、痛いよ・・・」
エイリーン「す、すみません」
エイリーン「治療、続けますね」
コウル「うん」
コウル「せっかくもらった服、 さっそく、穴開けちゃったね・・・」
エイリーン「これくらいなら──」
治療と一緒に、
服に開いた穴も直っていく
コウル「べ、便利だね」
エイリーン「女神の加護の服だからですよ」
コウル「治療ありがとう」
コウル「って、 エイリーンもボロボロじゃない!」
エイリーン「この力は自分には使えなくて」
コウル「そうなの?」
コウル「・・・ここで、少し休憩しよう」
エイリーン「え、ですが・・・」
コウル「エイリーンにも万全でいてほしいんだ。 また何があるかわからないから」
エイリーン「・・・」
エイリーン「わかりました。 コウルが言うなら」
〇闇の闘技場
コウル「ぬ、塗るよ?」
エイリーン「はい」
コウルが恥ずかしそうに、
エイリーンの身体に薬を塗り始める。
コウル「・・・」
エイリーン「・・・」
エイリーン「コウル。 あなたは元の世界に帰りたいですか?」
コウル「え?」
エイリーン「どうなのです、コウル」
コウル「それは・・・」
コウル「確かに、全く戻る気はないって言ったら 嘘になるよ。 でも──」
コウル「今は、エイリーンと一緒にいたい」
エイリーン「ありがとうございます」
エイリーン「でも考えておいてほしいのです」
エイリーン「もし、元の世界に帰るか、 この世界に残るかの選択を 迫られた時のために」
コウル「う、うん」
〇闇の闘技場
エイリーン「では行きましょう?」
コウル「うん」
エイリーン「ですが、一体どこから・・・」
コウル「大丈夫。 さっき気づいたんだけど──」
コウル「この壁が怪しい」
コウルは壁の一角。
少しだけ色が違う部分に触れる。
天井が揺れ階段が降りてきた。
エイリーン「よくわかりましたね」
コウル「まあね」
コウル(元の世界で そこそこゲームやってたのが 役に立った・・・かな?)
〇モヤモヤ
コウル「暗い・・・」
エイリーン「でも道は見えます。あっちです」
コウル「・・・」
エイリーン「・・・」
エイリーン「あそこから光が!」
コウル「行ってみよう!」
〇空
コウル「って、うわわわ!?」
エイリーン「コウル!」
コウル「ご、ごめん。 助かったよ・・・」
コウル「でも、ここは・・・」
〇秘密基地の中枢
コウル「外と全然、雰囲気が違う・・・」
エイリーン「これは・・・?」
???「魔力砲だ」
コウル「カーズ・・・」
カーズ「よく来たな」
カーズ「なるほど未熟そうなガキと、 記憶喪失女が、ずいぶん成長したようだ」
コウル「・・・カーズ。 あなたはここで何をする気だ」
カーズ「聞きたいか?」
カーズ「この魔力砲・・・ これをあそこに撃ち込む。 と言ったら?」
〇地球
コウル「あれは・・・元の世界!?」
カーズ「そう。 これをここから撃ち込む」
コウル「な!?」
コウル「だけどこんな砲台で滅ぼせるわけが・・・」
カーズ「並の魔力量ではせいぜい、 町1つが限度だった。 だが──」
カーズ「そこの女の膨大な魔力! それを手に入れたことで、 この放題は完璧になった!」
エイリーン「わたしが敗北したあの時・・・」
カーズ「そう。貴様の魔力を奪った。 驚いたよ。その奪った相手が生きていた」
カーズ「そしてまた魔力を持っていることにな!」
カーズ「だがよかったよ・・・」
カーズ「また貴様から魔力を 奪うことができるのだからな!」
カーズ「貴様らの魔力を最後に、 魔力砲を発射する!」
コウル「くっ・・・!」
コウル「カーズ! あなたを止めます! 元の世界を守るため。 そして──」
コウル「ジンさんとの約束を果たすために!」
カーズ「やれるものなら!」