「第四話 □□□しの世界」(脚本)
〇湖畔
ヤン「前回のあらすじだぜ〜」
?「だよー!!」
?「俺とジンはゲートを通ってこの世界に来ようとしたんだけど」
ヤン「俺と俺の姉ちゃん、あとセベクとかいう奴のせいで予定が狂ってこのメンバーでここに来ちまったんだ」
ヤン「さらに厄介なことにこの白猫の能力が使えなくなってて通信も出来ねぇ」
ヤン「ゲートも開けねぇ、情報、後ろ盾も無しのやべぇ状況で姉ちゃん達にジンはキレるんだ」
ヤン「まぁキレるのも分かるけどな」
ヤン「そんな俺達の元にこの世界の住人が現れて俺らを助けてくれることになったんだ」
?「だけどジンはその日の夜にいつもとは違う意味が深そうな夢を見るんだ!!」
?「そして起きた所から第四話は始まるよ!!」
ヤン「あ、よっしゃ!服乾いたぜ!」
〇畳敷きの大広間
ジン「はっ・・・!?」
ジン「今・・・のは・・・?」
?「ふわぁ・・・」
?「おはようジン!」
?「あれ?どうしたの?元気無い?」
ジン「夢・・・を見たんだ」
?「夢?」
ジン「あぁ・・・僕は日本に来てからはいつも同じ夢を見ていたんだ」
ジン「でも・・・昨日は違った」
ジン「女の子と・・・愛情様って呼ばれてる人の夢・・・」
?「愛情様・・・?」
?「・・・」
?「あっ!!」
?「ジン、もしかしてそれってティアマトの夢じゃない?」
ジン「ティアマトの夢?」
ジン「・・・」
ジン「あっ・・・そうか!!」
ジン「ティアマトは「ティアマト」の二つ名とは別に愛情神って別名があった!!」
〇近未来の会議室
探究神「それが私がクラス分けした「愛情神」ティアマトさ」
〇畳敷きの大広間
ジン「だとしたらなんで僕はティアマトの夢を?」
ジン「あの夢を見たことに何の意味が?」
?「ジン!これからそれを調べようよ、俺達!」
ジン「・・・」
ジン「あぁ・・・そうだね」
ジン「とりあえず顔を洗わないとだ」
セベク「朝だ!!起きろ、男と白猫!!」
※音声は白猫君が感じたイメージです
ジン「うるせぇ!?」
?「ふにゃあ!?」
セベク「むっ・・・なんだ、どうした?」
ジン「・・・」
ジン「どうした?・・・じゃあないよ!?」
ジン「モーニングコールにはうるさすぎるわ!!」
ジン「あと僕の名前はジンだ!!」
セベク「あ!?す・・・すまない・・・」
セベク「癖でいつもと同じ様に起こしてしまった・・・」
ジン「えぇ・・・?」
ジン「まぁ・・・起こそうとしてくれてありがとう・・・」
ジン「ところで何で起こしに来てくれたのさ?」
セベク「決まっているだろう、俺は風紀委員だからな」
ジン「・・・ん?」
ジン「なんて?」
セベク「風紀委員だからと言ったんだ」
ジン「は?何故?」
セベク「決まっているだろう、俺は風紀委員として身の回りの人物の生活態度を監視しなくてはならない」
ジン「えぇ・・・?」
セベク「説明はしただろう!ほら!早く身だしなみを整えろ!」
ジン「いや!?訳分かんないよ!?」
セベク「やかましい!!俺は風紀委員としての使命を果たしているだけだ!!」
セベク「ほら、さっさと寝間着を脱がんか!!」
ジン「話が通じねぇー!?」
ジン「あー!!ちょっ!?服を脱がすなー!!」
?「あわわ・・・」
こうして騒々しい朝を迎えたジン達であった・・・
〇古民家の居間
セベクとの攻防戦の後、島民から朝食をご馳走になったジン。
ジン「はぁ・・・」
?「ジン・・・大丈夫?」
ジン「僕より大きい男性に服を無理やり脱がされたという点を除けば大丈夫だよ」
?「あらら・・・」
ジン「それよりもあの夢のことだ、僕達はティアマトに会う前に彼女のことをよく知る必要がある」
?「そうだね、でもどうすれば良いのかな?」
ジン「ふむ・・・まぁまずはあれだな」
?「あれって?」
ジン「現地の人達に聞き込みさ」
ジン「僕達は村の人全員にお客さんとして歓迎されてるしね、聞けば話してくれると思うんだ」
?「おー」
?「じゃあ早速行こう!!ジン!!」
ジン「え、ちょっと!?」
〇集落の入口
?「にゃにゃ〜」
ジン「ちょっと!!待って!!」
アオイ「あ・・・おはようございます!!ジンさん、動物さん!!」
?「あ、アオイちゃん!!おはよう!!」
ジン「あぁ・・・おはよう・・・」
ジン「はぁ・・・ちょっと白猫君、急に走り出すのはやめて欲しいな」
?「んにゃ?何で?」
?「あ、そうだ!!アオイちゃんに聞きたいことあったんだ!!」
ジン「・・・」
アオイ「私に聞きたいこと・・・ですか?」
アオイ「良いですよ!!私に答えられる範囲で良ければですけど」
?「うん、大丈夫!!」
?「ほらジン!!早く聞いちゃお!!」
ジン「・・・」
ジン「もういいや、ティアマトのことで少し聞きたいことがあるんだ」
ジン「その・・・ティアマトってどんな神様なの?」
アオイ「どんな・・・というと・・・」
アオイ「ティアマト様はとても穏やかで優しい神様です」
アオイ「この星に生きる全ての生き物を慈しんで加護で守ってくれるんです」
ジン「なるほど・・・」
?「はいはーい!!」
?「じゃあティアマトさんは何でティアマト様って呼ばれるようになったの?」
?「元々愛情様って名前があったんだよね?」
アオイ「愛情様・・・?ティアマト様に別の名前があったんですか?」
ジン「あぁ・・・そうなんだ・・・」
アオイ「凄いです!!旅人さんはなんでも知ってるんですね!!」
アオイ「でもごめんなさい、私は分からないです・・・」
アオイ「でも、もしかしたら物知りおじいちゃんなら知ってるかも」
ジン「物知りおじいちゃん・・・?どんな人なの?」
アオイ「この島のはずれに住んでいるおじいちゃんです、少し変わった人ですけど物知りで優しい人ですよ!!」
アオイ「あっ・・・でも私がおじいちゃんの話をしたこと、内緒にしてください」
?「え?なんでなの?」
ジン「何か理由があるのかい?」
アオイ「えっと・・・その・・・」
アオイ「おじいちゃんはあまり人付き合いが上手くなくて・・・」
アオイ「それに村のみんなも何故かおじいちゃんを避けるんです・・・」
アオイ「私も両親に会いに行くなと言われてて・・・」
ジン「・・・なるほど」
ジン「分かった、誰にもこの事は言わないよ」
?「俺も内緒にする!!約束!!」
アオイ「・・・!!ありがとうございます!!」
アオイ「ではご飯も食べたことですし、さっそく行きましょう!!」
?「良いよ!!早く行こう!!」
ジン「あぁ問題ない、行こう」
〇海辺
一方その頃ヤンとその姉のエムはというと・・・
エム「よ〜く見てなさい!!」
エム「それ!!」
子供達「わぁー・・・!!すっごーい!!」
エム「(ドヤ顔)」
子供達「ねぇねぇもっとやって!!」
エム「良いけど先にあれ渡しなさい」
子供達「あっ飴ね・・・はい!!」
エム「ふふん!!じゃあさっそくやるわよ!!瞬き厳禁だからね!!」
子供達「うん!!」
子供達「ねぇねぇ?お兄さんはあれやらないの?」
ヤン「あぁ・・・俺は姉ちゃんみたいには出来ねぇからな・・・」
ヤン「なんか・・・ごめんな?」
子供達「え〜やってよ〜!!」
ヤン「えぇ・・・俺はあんなふうに出来ねぇって言ってるだろうが・・・」
子供達「ねぇねぇやってよ〜!!」
ヤン「はぁ・・・」
ヤン「(やべっ・・・ちっちぇ頃のこと少し思い出しちまった)」
ヤン「あぁはいはい、やればいいんだろ?」
ヤン「・・・ったく」
ヤン「・・・」
子供達「すっげぇー!!」
ヤン「はぁ!?」
ヤン「あれで!?自分で言うのもあれだけどあんなんで!?」
子供達「うん、すっごいよ!!俺達は魔法使えないもん!!」
子供達「使えるのはティアマト様だけだもん!!」
ヤン「・・・」
ヤン「ハハッ・・・そうかよ」
ヤン「じゃあ他にもいろいろ教えてやろうか?」
ヤン「うぜーやつボコボコにしてやる時に使えるぜ」
子供達「え〜だめだよ〜」
ヤン「なんでだよ?」
子供達「ティアマト様に喧嘩はダメって言われてるから島のみんなは喧嘩が「出来ない」んだ!!」
ヤン「ふーん・・・?そうなの」
ヤン「ティアマトの言うこと真面目に聞いてるわけか」
ヤン「じゃあなんか適当に使えそうなの教えるわ」
子供達「やったー!!」
ヤン「・・・」
ヤン「・・・ん?待った、お前ら魔力持ってんのか?」
子供達「何それー?美味しい?」
ヤン「・・・」
〇集落の入口
そしてセベクは・・・
セベク「・・・!!」
セベク「おい貴様!!何をしている!!」
老人「え!?あ・・・これかい?」
セベク「貴様ー!!」
老人「ヒエッ!?」
老人「な・・・なに・・・!?」
するとせベクは老人が運ぼうとしていた箱を半ば無理やり受け取った。
セベク「ご老人が重い物を運ぶな!!腰を悪くしたらどうする!!」
老人「・・・」
セベク「聞いているのかご老人!!」
老人「・・・っ」
老人「ハッハッハッ!!!!」
セベク「なっ・・・なんだ急に笑い出して・・・!!」
老人「いや〜そうかいそうかい、君はワシのことを心配してくれたんだね」
老人「でも大丈夫だ!!ワシはご覧の通り!!」
老人「よっ!!」
老人「ほっ!!」
セベク「うわぁー!?なんだその動きは!?」
老人「ハハハッ!!」
老人「フハハッ!!」
セベク「なんだ今の!?ほぼ瞬間移動してなかったか!?」
老人「ティアマト様の加護のおかげでワシはまだまだ元気いっぱいなんだよ」
セベク「なっ・・・!?」
セベク「そ・・・そうか・・・」
セベク「その・・・ご老人扱いしてすみませんでした・・・」
老人「いいんだよ!!別に!!」
老人「遠くから来た旅人さんなら知らないのも無理はないさ」
老人「それに君はワシが腰を悪くしないか心配してくれたんだろう?」
老人「君は優しいんだね、ありがとう!」
セベク「えっ・・・」
セベク「・・・」
セベク「・・・フフッ」
セベク「・・・!!」
老人「・・・」
老人「ところで旅人さん」
セベク「むっ・・・?なんでしょう?」
老人「その箱を今から言う所に代わりに運んでは貰えないだろうか?」
セベク「・・・?良いですよ?」
老人「その・・・」
老人「ワシ、さっきのでさすがに腰をやっちまったみたいでな・・・」
セベク「・・・」
セベク「貴様ー!!」
※イメージです
〇森の中
そして場面はジン達に戻る・・・
アオイ「おじいちゃんの家はもうすぐです、おじいちゃんは気難しい人ですが優しい人なので心配はいらないですよ」
アオイ「きっとジンさん達が知りたいことも教えてくれるはずです!」
ジン「それはありがたい、でもお金とか大丈夫?何か要求されたりしたらどうしよう・・・」
アオイ「おか・・・ね?」
アオイ「お金って何ですか?」
ジン「え・・・」
ジン「えっと・・・」
ジンはアオイにお金の概念についてしどろもどろながらも簡単に説明した。
アオイ「わぁ・・・」
アオイ「ジンさん達が住んでる島にはそんな物があるんですね・・・」
アオイ「・・・怖いですね」
ジン「怖い・・・か・・・」
ジン(ここにはお金の概念がない・・・?)
ジン(じゃああの時の宿代の心配は杞憂だったのか・・・?)
ジン(それにお金の概念がないならここの人達はどうやって取引をしているんだ?)
ジン(物々交換なのかな・・・?)
ジン「ねぇ・・・何で怖いと思ったんだ?」
ジン「言葉に出来る範囲で良いから教えてくれないかい?」
アオイ「そう・・・ですね・・・」
?「あ・・・見て二人とも、お家が見えてきたよ!!」
アオイ「あ、おじいちゃんのお家が見えてきましたね」
ジン「そうだね、この話は後にしようか」
・・・
?「やっと来てくれた・・・」
〇草原の一軒家
アオイ「着きました!!ここが物知りおじいちゃんのお家です!!」
ジン「ここが・・・」
アオイ「私が先に一人で行きます、後でお呼びするのでお二人は少し離れた所で待っててください」
?「分かったー!!」
ジン「うん、分かった」
アオイ「さてと・・・」
アオイ「おじいちゃーん!!私だよ、アオイ!!」
アオイ「居るー?」
・・・
アオイ「・・・」
「うるせぇ!!!!」
「今行くから大人しく待ってろ!!!!」
アオイ「わぁ!?ごめんなさい!?」
?「あっあの人が・・・!」
ジン「あの人が・・・」
to be continued