エピソード29(脚本)
〇空っぽの部屋(ガムテープあり)
藤原一茶「瑚白、自分は何者や」
中園瑚白「・・・・・・」
藤原一茶「なあ、俺らは瑚白と一緒のチームなった時点で、もう選考に通らんのか?」
中園瑚白「そんなわけない! 」
中園瑚白「戸川さんとは、旧くからの知り合い、ただそれだけ」
中園瑚白「ホントに、選考のことは何も関係ない」
藤原一茶「嘘つけや、そんなん信じられるわけないやろ」
中園瑚白「ホントなの!」
中園瑚白「戸川さんだって、当日になるまで試験内容は知らない」
中園瑚白「そもそもエリートピアの試験にコネなんか通用しない」
中園瑚白「全部テレビで放送されていてズルなんてしようがない」
中園瑚白「全国の人たちに私たちは見張られてるの!」
中園瑚白「ねえ、紅音。 私嘘ついてないでしょ?」
真田紅音「う、うん。ついてない」
藤原一茶「せやから、そういうのが全部信用ならん言うとるやろ!」
〇黒
そのとき、突然ロウソクの灯りが消えた。
〇黒
「!!」
藤原一茶「あー、明かり、明かり点けてや!」
〇空っぽの部屋(ガムテープあり)
真田紅音「え」
中園瑚白「点いた」
部屋を見回すとドアにモニターが付いている。
真田紅音「これ、なに」
一茶はモニターを見てその場にへたり込む。
藤原一茶「・・・・・・」
真田紅音「なんだ、どうした」
中園瑚白「一人死体にしろ、つまり、この中から一人脱落させろってこと」
藤原一茶「なんや、この試験、おかしいやろ」
中園瑚白「時間もないから、多数決で決めたい。 異論はない?」
藤原一茶「待てや、ダメや、多数決なんてアカンわ。 話し合いで決めようや」
中園瑚白「やっぱり一茶、冷静じゃない。 五分で話し合いなんて、まとまるわけがない」
真田紅音「みんなここまで勝ち残ってるんだ」
真田紅音「五分の話し合いで自分が落選するなんて決められるわけないだろう」
藤原一茶「そんなんわかっとる、わかっとるけど」
中園瑚白「諦めて、多数決にしましょう」
藤原一茶「多数決で決めたら俺が落ちる、そんなんわかりきっとる」
藤原一茶「そんなん納得できるわけないやろ!」
真田紅音「一茶・・・」
藤原一茶「わかった、認めるわ。 今のハプニングも選考の一部やった」
藤原一茶「俺らにストレス与えて、いがみ合わせて、いらん人間をあぶりだす試験」
藤原一茶「そんで、俺はまんまとキレてもうた。 わかっとる、認めるわ」
藤原一茶「せやけど、俺はホンマに暗いのはダメやねん、小さいころからのトラウマや」
藤原一茶「いま明るなって冷静になって、全部──」
藤原一茶「・・・ふぅ」
藤原一茶「申し訳なかった思うとる、すまんかった」
真田紅音「・・・・・・」
中園瑚白「・・・・・・」
藤原一茶「せやから、どうにか話し合いで・・・」
中園瑚白「でも、誰かが落ちなきゃいけない」
藤原一茶「・・・・・・」
中園瑚白「一人を決められなかったら、三人とも落選することになる」
中園瑚白「それが一番最悪。そうでしょう?」
瑚白は紅音に同意を求める。
真田紅音「あ、ああ」
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