05 写真撮影(脚本)
〇田舎の学校
三日目
沢渡隼也「咲!」
星宮咲「え?隼也!?」
朝の登校時間、俺は咲を見つけて真っ先に声を掛けて、俺は昨日までの事を咲に謝罪した。
沢渡隼也「俺、自分の事ばっかで、咲が困ってたのに優しくして上げられなかった。咲の事傷付けて、本当御免。俺もっと確りするからさ!」
星宮咲「隼也・・・私も間違ってたわ。私は隼也に確りして欲しくてキツく当たってて、その所為で私、自分のやってる事が疎かに」
星宮咲「成ってたわ。だから、私も自分を見つめ直そうと思うの。私の方こそ、御免なさい」
俺達はお互いに謝罪した。この時俺は、もう咲を傷付けないと心から誓った。昔から何だかんだ仲良くやってる咲とは、
これからも仲良くして行きたいと思う。
沢渡隼也「続きは教室で話そうか。今日はゆっくり話したい」
星宮咲「うん!」
外で話すのも難なので、俺達はゆっくり話す為に教室へと向かった。この光景がとある女子の視界に入ってた事に気付かずに。
黒崎友香「星宮先輩、貴方にはもっと絶望して貰わないと行けませんね・・・」
〇教室
三谷かな恵「お二人さんお早う!もう大丈夫見たいだね!」
星宮咲「お早うかな恵!私達もう大丈夫だよ!」
沢渡隼也「お早う三谷、色々騒がせて、咲の事悪かった」
三谷かな恵「全部終わったってんなら、もう気にして無いから大丈夫だよ」
三谷が俺達に挨拶をして来て、俺達を快く迎えてくれた。色々有ったけど、今度こそ大丈夫だろう。
星宮咲「かな恵は何してたの?」
三谷かな恵「あたしかい?これ見てた」
三谷が読んで居たのは海の写真集だった。見た感じ、学校の図書室から三谷が借りて来た物だろう。
沢渡隼也「海!良いなぁ!折角だから俺もバイトやって貯金して行って見ようかな」
星宮咲「え〜、隼也がバイトぉ?お寝坊さんだから店長さん達怒らせないか心配ねぇ」
沢渡隼也「おい咲、何時までそのネタ引きつるつもりだよ。最近俺だって早起きしてるからな?」
星宮咲「え〜、だって隼也なんだもん」
沢渡隼也「どう言う意味だよ」
三谷かな恵「はいはい、二人共そこまで!」
咲が意地悪なのは相変わらずだったけど、今思えばこれが咲らしさなのかも知れないと、俺は心の中で思った。
星宮咲「でもこんな感じに、自然豊かで綺麗な所、この学校にも無かったかな」
沢渡隼也「いや、実際有るでしょ。中庭とか、プールとか」
星宮咲「いや、プールは論外でしょ。男に取って良い物見れるのは確かだけど」
沢渡隼也「いや、その、そんなつもりじゃ・・・ぐうの音も出ねぇ」
三谷かな恵「綺麗な所ねぇ。ねぇ、折角だからあんた等で良さげな所探して見たら?行き慣れた場所って言っても案外気付かない所も」
三谷かな恵「有ったりする物だよ」
三谷の言う事は最もだった。此処で口論しても綺麗な場所なんて分かりゃしない。見つけたければ、自分達で見つければ良いのだ。
沢渡隼也「確かに、三谷の言う通りだな。咲、俺達で探そうか」
星宮咲「いいえ!此処は私だけで行くわ!」
何でだよとツッコミを入れたく成る返事だったが、取り合えず理由を聞いて見た。
星宮咲「私最近隼也に対して良い所無しだったでしょ?良い機会だから私が綺麗な場所見つけて、隼也をギャフンと言わせるついでに、」
星宮咲「隼也に私を見直させてやるわ!」
成る程、意地を張って居たのかと納得してしまった。でも、咲がどんな写真を取るかと、そんな楽しみが出来たのもまた事実だった
三谷かな恵「決まりだね。咲、良いの期待してるよ」
星宮咲「任せなされ!隼也、目に物見せて上げるわ!」
咲は意気揚々でスマホを片手に外へと向かった。俺は咲がどんな写真を撮るか楽しみだったが、俺があの視線に気付く事は無かった。
黒崎友香「・・・・・・」
〇華やかな広場
咲は綺麗な風景を求めて早速中庭に足を運んだ。学校で一番綺麗な場所と言われて、真っ先に思い付くのはこの中庭だった。
スマホを片手に咲は写真を撮り、次は何処へ行こうか考える。
〇華やかな裏庭
次に向かったのはテラス風の庭だった。晴れてる時は爽やかな感じで、程良い風が吹いたらさぞ居心地の良い場所に成りそうだ。
星宮咲「近くには花も咲いてて、こう言う所でコーヒー飲んだりしたら最高かもね。何より隼也が喜びそう」
スマホを片手に写真を撮り、咲はまだ見ぬ風景を求めて行った。
〇高い屋上
星宮咲「良い場所を探すなら、やっぱ高い所から探すのが一番ね」
次に咲が来た場所は屋上だった。高い所から下を見下ろせば何か良い物が見れると思い足を運んだのだった。
スマホを構えながら良さそうな場所を探してたら、後ろから誰かの声が聞こえた。
黒崎友香「すみません、此処で何をしているのですか?」
星宮咲「わぁ!ビックリした」
声の主は友香ちゃんだった。たまたま咲を見掛けたからか、興味本位で追い掛けて来たのだろう。
黒崎友香「確か、二年の星宮先輩でしたよね。私一年の黒崎友香って言います。驚かせてすみません」
星宮咲「そうだよ。星宮咲。私の事知ってたんだね。宜しく、黒崎さん」
黒崎友香「私の事は友香って呼んで下さい。先輩の名前は、他の人が呼んでるのを聞いて覚えたんです」
星宮咲「なら、私も咲で良いよ」
お互いに軽く自己紹介をする咲と友香ちゃん。咲は自分が、学校内で自然が有って綺麗な場所を探してる事を友香ちゃんに
打ち明けた。
黒崎友香「そうだったんですか。自然の有る場所って良いですよね。心が癒やされます。ですが、どうして一人なんですか?」
星宮咲「それは勿論、隼也にこう言う所が有るって見せて驚かせたいからよ!私もやれば出来るんだって見せ付けてやりたいのよ!」
黒崎友香「(私の隼也さんに良い所見せたい。幼馴染だからって良い気に成りやがって。)」
星宮咲「友香ちゃん?急に怖い顔してどうしたの?」
黒崎友香「え?私そんなに怖い顔してましたか?気の所為ですよ」
友香ちゃんの顔に一瞬怒りの表情が現れたが、彼女は直ぐにそれを隠した。咲も友香ちゃんの言う通り、気の所為と見て深入り
しなかった。
黒崎友香「実は私、咲先輩の大ファンなんですよ。隼也さんの為に摘心的に尽くす所とか、お弁当作り上手い所とか、先輩のそう言う所に」
黒崎友香「惹かれました」
星宮咲「えぇそうなの?確かに隼也は幼馴染だし、あいつ一人だと頼りないって言うか、昔からのヨシミで見てるだけって言うか、」
星宮咲「只、この前作ったお弁当は失敗しちゃったけど」
黒崎友香「ですが、失敗は成功の元って言うじゃ無いですか。滅気ずに頑張る先輩、カッコいいですよ」
星宮咲「そう言ってくれると照れるなぁ」
二人が仲良く喋る中、此処で友香ちゃんは有る物を取り出した。
星宮咲「友香ちゃん、それは?」
黒崎友香「咲先輩とお近付きに成りたいと思って、クッキーを焼いて見たんです。お口に合えば宜しいのですが」
星宮咲「わぁ有難う!一口貰うね!」
友香ちゃんから差し出されたクッキーを一口食べる咲。友香ちゃんは咲に感想を聞く。
黒崎友香「どうですか先輩?私お菓子作り余りやらないから自信無いんですが」
星宮咲「いやいや!凄い良く出来てる!友香ちゃんお菓子作りの才能有る・・・よ・・・」
どう言う訳か、咲はクッキーを食べただけで眠ってしまった。友香ちゃんのクッキーには睡眠薬が入れられており、眠った咲を見て
友香ちゃんは咲からスマホを取り上げた。
黒崎友香「咲先輩。貴重なお時間有難う御座いました。綺麗な風景の撮影、後は私に任せて下さい」
〇学校の廊下
友香ちゃんは咲から奪ったスマホを開いてカメラモードを起動していた。校内の廊下を歩き、近くに女子生徒が居ないかを
確認していた。
三谷かな恵「・・・・・・」
友香ちゃんは女子の存在を確認し、スマホを使ってひっそりと歩き、女子のスカートの中を撮影した。
三谷かな恵「・・・・・・?」
三谷は何か違和感に気付くがそこには誰も居なかった。その後も友香ちゃんは女子のスカートの盗撮を幾度と無く繰り返した。
〇教室
星宮咲「・・・ん・・・んん・・・・・・」
咲が目を覚ましたのは自分の教室だった。自分は確か外の風景を撮影してた筈が、気付いたら此処に居た。
何故こんな所に居るのか咲自身良く分かって居なかったが、教室のドアから見知った顔が入ってた来た。
三谷かな恵「やっと起きた?これで沢渡の事は責められないわね」
教室に来たのは三谷だった。三谷は事の顛末を咲に打ち明けた。
星宮咲「かな恵、私何で此処に?」
三谷かな恵「あんたを此処に運んで来てくれたのは一年の黒崎って女の子だったよ。クッキーを食べたら突然寝ちゃったって聞いてね」
三谷かな恵「起こしても起きないからあの子があんたを此処に運んで来てくれたのよ。後でお礼言っときなさい」
三谷の話を聞いて咲は全て思い出した。屋上で写真を撮ってたらたまたま会って、友香ちゃんは自分のファンだと公言していた。
だが、友香ちゃんから差し出されたクッキーを食べてからの記憶は全く無かった。
三谷かな恵「クッキーを食べて爆睡だ何て、咲、あんた最近頑張り過ぎたんじゃ無い?偶には休む事も考えなきゃ。それはそうと、これ返すわ」
咲は自身のスマホを見て大事な事を思い出した。俺達が見ていない綺麗な景色を俺に見せる事だと。
星宮咲「隼也は、隼也は今何処!?」
三谷かな恵「大丈夫。あたしの方から校門で待つ様に言ってるわ。早く自慢の風景見せて上げなさい」
その話を聞いた咲は大慌てで俺が待つ校門へと走って行った。自分がした約束をすっぽかしては示しが付かないからだ。
三谷かな恵「あの黒崎って子、本当に良い子なのかしら」
〇田舎の学校
三谷からの言付けで、咲を校門の前で待つ事に成った俺は、疲れていた事も合ってうたた寝していた。こんな事なら、
スマホでも見ながら時間を潰して置けば良かっただろうか。でも今はっきりしてるのは、寝てる時が一番心地良いと言う事。
俺は寝ながら咲を待って居た。我ながら不謹慎で有る。
星宮咲「隼也〜!隼也〜!」
咲の掛け声を聞いて俺は漸く目が覚めた。どれだけ彼女は良い写真が撮れたか、お手並み拝見と行く事に。
沢渡隼也「咲、随分遅かったな。お前の事だからもっと早く来ると思ってたんだが」
星宮咲「それは御免。私、何だか知らぬ間に寝ちゃってた見たいで」
沢渡隼也「まぁ、怪我とかじゃ無ければ何でも良いよ。約束通り、写真見せて貰うよ」
俺は咲からスマホを受け取り、写真を見せて貰った。
沢渡隼也「おぉ!何時もの中庭だけで無く、テラス風の庭まで撮ったのか!他は・・・むむ?」
俺は咲の写真のデータを覗いたがその中には明らかにおかしい物が混ざってた。俺の困惑に気付いた咲は、自身のスマホを確認した。
星宮咲「な、何これ?何で女子のスカートの中の写真なんて・・・!?」
沢渡隼也「咲、何でこんな写真有るのか説明してくれないか?幾ら女子同士でも、やって良い事と悪い事って物が有るだろ?」
星宮咲「ち、違うの!私知らない!何かの間違いよ!」
だけど、現に咲のスマホには盗撮写真が有る。綺麗な風景を見せると言って置きながら、こんなのを見せられたら
幻滅以外の言葉が見つからなかった。
沢渡隼也「咲、俺達もう大丈夫って思ってたけど、何かガッカリだわ。俺は帰るぜ」
スマホの中の盗撮写真を見せられ、何だか拍子抜けに成った俺は迷わず咲を無視して帰る事にした。
星宮咲「待って・・・隼也・・・私、そんなつもりで・・・!!」
黒崎友香「・・・・・・」