3話 りぃる編:悲河瑠璃(脚本)
〇休憩スペース
鈴喜真琴(すずき まこと)(悲河・・・悲河瑠璃 受付してくれた兄の方はあの悲河玻璃)
鈴喜真琴(すずき まこと)(思い出した・・・!)
〇図書館
中学の頃、やたらウザ絡みしてくる後輩がいた
週1の図書当番を一緒にやってた、1つ下の後輩
頭良すぎてちょっと怖いし、すぐ人をからかう奴
不登校児らしくて、来てない日も多かった
そんなに仲良かったわけじゃない。
ただ、学校って場所に縛られない姿が少し眩しかった
1回口を滑らせた。曲を作ってるってこと。
ひめ以外にそれを唯一知っているのが悲河──
悲河瑠璃だった
〇休憩スペース
鈴喜真琴(すずき まこと)(えー、あれじゃん・・・成績いいけど不登校児だった悲河と)
鈴喜真琴(すずき まこと)(4つ上の卒業生なのに、所業が伝説的すぎてずっと語られてた悲河兄)
鈴喜真琴(すずき まこと)(親がコワーキングスペースやってるとか、兄がAI音声合成で高校生起業したとか言ってたなあ)
鈴喜真琴(すずき まこと)(連絡先も交換してないし、卒業してから1年ちょいも経ったら忘れるわ)
鈴喜真琴(すずき まこと)(・・・で。 悲河兄弟は2人兄弟なわけだけど)
鈴喜真琴(すずき まこと)「もしかして、あんたがりぃる?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「・・・あー、まあ。そうですけど」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「先輩、部屋のデスクトップPCで作業するのが好きな派でしたよね」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「今までも来てなかったのに、今更わざわざこんなとこに来る必要がない・・・」
鈴喜真琴(すずき まこと)(そういえば、こいつ無駄に記憶力高かったんだった)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「兄さん、ちょっと会議室借りていい?」
悲河玻璃(ひかわ はり)「なんか、知り合いだったぽいな。 一応会議室は有料なんだが──」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「いつも色々届けてあげてるでしょ。バイト代ってことでよろしく」
悲河玻璃(ひかわ はり)「はいはい」
鈴喜真琴(すずき まこと)(えーなんか連行される雰囲気なのかこれ)
鈴喜真琴(すずき まこと)(まあ、むしろ願ったり叶ったりな状況ではあるけど)
鈴喜真琴(すずき まこと)(悲河があのりぃるだったとはね・・・)
〇綺麗な会議室
悲河瑠璃(ひかわ るり)「テキトーに座ってください。ドリンクバーありますけど、なんか要ります?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「水買ってあるからいい」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「わかりました」
鈴喜真琴(すずき まこと)(やたら綺麗だな、ここ。 プロジェクターとかあるし)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「そういえば、先輩なんで制服なんです? 今日土曜ですけど」
鈴喜真琴(すずき まこと)「私制服と部屋着以外、服持ってないし」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「あー、なるほど」
鈴喜真琴(すずき まこと)(なんだその笑い方!)
鈴喜真琴(すずき まこと)(駄目だ、りぃるに会いに来たはずなのに 正体が悲河だったせいで気が抜ける・・・)
鈴喜真琴(すずき まこと)「ていうかなんであんた、「りぃる」なの」
鈴喜真琴(すずき まこと)「そんな可愛い名前してるようなツラじゃないじゃん。曲もゴツいし」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「適当に本名もじって付けましたから。細かいことは突っ込まないでください」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「それに、前から思ってましたけど先輩だって「小鳥」って感じじゃないでしょう」
鈴喜真琴(すずき まこと)「私も適当に本名もじってつけただけだし」
鈴喜真琴(すずき まこと)(てか私は悲河がりぃるって知らなかったけど、こいつは私のこと知ってるじゃん)
鈴喜真琴(すずき まこと)「学生コミュニティにいたんなら、なんか話しかけてくれれば良かったのに」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「あぁ、あのLagCordのやつですか?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「なんか創設者数人で盛り上がってて、発言しにくかったんで」
鈴喜真琴(すずき まこと)(それは、わかる・・・!)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「で、先輩。こういう世間話をしに来たわけじゃないんですよね?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「・・・うん、まあ」
鈴喜真琴(すずき まこと)(そうだ。私はひめを裏切ったかもしれないロイドpのりぃるに会いに来た)
鈴喜真琴(すずき まこと)(もし裏切ってたら。りぃるを、悲河を──)
鈴喜真琴(すずき まこと)(中学卒業して、一年ちょっとの間喋ってないのになあ)
鈴喜真琴(すずき まこと)(昔みたいに普通に話し掛けてくるし、図書室にいるみたいな感覚というか)
鈴喜真琴(すずき まこと)(調子狂う・・・)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「先輩の受付をしていた兄さん。その弟である僕を見て「りぃる」と言った」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「つまり先輩はNN.Netの子供の高校生がりぃるだと知っていた」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「これは昨日公開された記事に書いてあったこと。記事を見て来たのは分かります」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「問題は「どうやって」ではなく「なぜ」」
鈴喜真琴(すずき まこと)「・・・」
鈴喜真琴(すずき まこと)(え、いや何こいつ。怖いんだけど 頭回りすぎだろ)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「先輩は俺を見て驚いていましたし、後輩の悲河ではなくロイドpのりぃるに会いに来たのは明白」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「もしかして、年齢も活動歴も下の俺に再生数抜かれて、嫉妬でもしました?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「それでボコりに来たとか・・・」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「ま、冗談ですけど」
鈴喜真琴(すずき まこと)「・・・」
鈴喜真琴(すずき まこと)「ま、殴るかはともかく。嫉妬してたのは事実かもね」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「え、マジでですか?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「そりゃまあ一応。同世代だし意識はしてたから」
鈴喜真琴(すずき まこと)「だからLagCordの同世代コミュニティも入ったわけだし」
鈴喜真琴(すずき まこと)「私は再生数数万が基本で、1番高い再生数でも10万ちょい」
鈴喜真琴(すずき まこと)「りぃるは基本数十万でこないだバズって100万超えた」
鈴喜真琴(すずき まこと)「別に再生数だけ目当てでやってるわけじゃないけど、多少は嫉妬するよ」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「俺の曲の再生数は、最近刺さりやすいEDMだから稼ぎやすいだけです」
鈴喜真琴(すずき まこと)「え、なに慰めてる?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「事実です。逆に先輩の曲は最近刺さりにくいですよね。切ない系のバラード」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「切ないけど、ちょっと優しい感じして俺は嫌いじゃないですが」
鈴喜真琴(すずき まこと)「急に情緒的なこと言うじゃん・・・」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「何か問題でも?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「ないですけど」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「それは良かったです」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「で、なぜ先輩がりぃるに会いに来たのかですけど・・・」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「先輩、わかりやすいとこありますよね さっきからやけに鞄見てるみたいですけど」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「もしかして凶器でも入ってたりします?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「それから、視線が鋭すぎます 敵意というより、殺意ですかね」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「せっかく可愛い後輩と再会したっていうのに緊張感ありすぎなんですよ」
鈴喜真琴(すずき まこと)(こいつよく自分のこと可愛い後輩とか言えるな!)
鈴喜真琴(すずき まこと)(こっちはノリノリな長文推理ぶつけられてビビってるんだけど!)
悲河瑠璃(ひかわ るり)「・・・めあのんに関することですか?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「は──?」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「そうですね。例えば・・・めあのんの死の原因がロイドpにあると思った」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「誰が原因かは分からないから、見極めて殺しに来た」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「合ってます?」
鈴喜真琴(すずき まこと)(マジでなんだこいつ・・・ 最初にしなきゃよかった)
鈴喜真琴(すずき まこと)「はあ・・・大体合ってる」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「えっ合ってるんですか?」
鈴喜真琴(すずき まこと)「いや、なんでそこで驚く」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「そりゃカマかけただけですし・・・」
鈴喜真琴(すずき まこと)「はあ?!」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「いや流石に情報少なすぎますよ あれだけじゃ確定できません」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「で、まあ詳しいことは知りませんが大体やりたいことは分かりました」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「一つ言っておきます」
悲河瑠璃(ひかわ るり)「──辞めた方がいいですよ」
ひえ〜頭の良い後輩君でしたね
まことの反応最高です
なんだこいつって思ってることを言ってくれたし
会話にスピード感がでてタップ止まりません
相手の方が完全に上手ですね……敵になると困るけど、味方となると頼もしいタイプ。
どちらに転がるのだ(。ŏ﹏ŏ)