クララクルル 〜 加減を知らない妖精 ~

土井和人

第4話 『告白は慎重に』(脚本)

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土井和人

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〇マンションの入り口

〇高級マンションの一室
  夜景が綺麗な高層階の一室で、若いカップルが抱き合っていた。

〇空
クルル「ねえ、クララお姉ちゃんが魔法をかけたのって、あの男の人?」
クルル「どんな力を授けてあげたの〜?」
クララ「まあまあ、見てなって」

〇高級マンションの一室
晴人「ねえ、美由紀」
美由紀「何?」
晴人「今、幸せ?」
美由紀「もちろん」
美由紀「だって晴人と出会わなかったら、こんな景色見ることなかっただろうし」
晴人「え・・・?」
美由紀「こんな素敵なマンションで、素敵な夜を過ごせるなんて、本当に幸せだなって」
  晴人は美由紀から離れて背を向ける。
美由紀「・・・どうしたの、晴人?」
晴人「やっぱりそうなんだ」
晴人「俺に金があるから近寄ってきただけなんだ?」
美由紀「え・・・?」

〇空
クララ「お、キタキタ〜!」
クルル「ねえ、どういうこと〜?」

〇レトロ喫茶
男友達「は? お前また新しい彼女作ったの?」
晴人「へへ、まあな」
男友達「これで何人目の彼女だよ?」
晴人「あ〜、何人目だろ?」
男友達「あのさあ、お前もいい歳なんだから、もうちょっと慎重になれよ」
晴人「慎重にって?」
男友達「だって、これまでお前が付き合ってきた女、ロクなのいないじゃん」
男友達「だいたいがお前の金目当てでさ」
晴人「まあ、それは・・・」
男友達「これは友達である俺からの忠告だからな」
晴人「でも慎重になれって言われてもさあ・・・」
晴人「それができないのが男ってもんだろ」

〇空
クララ「どうやらあの男の人は、お金持ちの家の息子らしくて」
クララ「これまでも何度か変な女に引っかかってたみたい」
クララ「でも、なかなか慎重に行動することができない・・・」
クララ「そこで!」
クララ「私があの男の人に、慎重になる魔法をかけたの!」
クルル「なるほど! これはいい人助けだね!」

〇高級マンションの一室
美由紀「ねえ晴人。どうしたの急に?」
晴人「だってさ、美由紀がマンションとか景色のことしか言わないから」
美由紀「でも、それは晴人と一緒だからこそってことだよ」
晴人「じゃあ、もし俺が貧乏でも愛してくれた?」
美由紀「当たり前じゃない。お金とか関係ない」
美由紀「私は晴人の笑顔を見ていると、それだけで幸せな気持ちになれる」
晴人「・・・なるほど、そういうことか」
美由紀「え?」
晴人「結局、顔ってことか」
晴人「顔だけで判断して俺と付き合ったってことなんだ?」
美由紀「いや、そういう事じゃ──」
晴人「でも、今俺の顔を見てるだけで幸せって言ったじゃないか」
美由紀「私は笑顔が好きって言っただけだよ・・・!」

〇空
クララ「よし! めっちゃ慎重になってる!」
クルル「お姉ちゃんの魔法のおかげだね!」

〇高級マンションの一室
晴人「じゃあもし俺がこの顔じゃなくても、愛してくれた?」
美由紀「もちろんだよ。 私は晴人の優しい心が好きなんだから!」
晴人「優しい心・・・?」
美由紀「そうだよ」
晴人「ふざけるな! 帰れ!」
美由紀「何でよ!?」
晴人「優しい心が好きってことは・・・」
晴人「俺が優しくなかったら、愛してくれなかったってことだろ!?」
美由紀「・・・いや、それはそうじゃない!?」
晴人「ほら、やっぱり本当は俺のことなんて・・・」
美由紀「え、待ってよ!」
晴人「俺は美由紀がどんな風でも、美由紀のことを愛する自信がある!」
美由紀「私だって、晴人が晴人でいる限り・・・!」
晴人「じゃあ晴人じゃなかったらダメってこと!?」
晴人「雨人だったら愛してくれなかったってこと!?」
美由紀「はあ!?」

〇空
クルル「でも、ちょっと慎重になりすぎじゃない?」
クララ「う〜ん。た、たしかに・・・」

〇高級マンションの一室
美由紀「ねえ晴人、ちょっと落ち着いて?」
美由紀「私は晴人という人間そのものが、好きだって言ってるの!」
晴人「じゃあもし俺が人間じゃなくて――」
晴人「リモコンだったら愛してくれなかったってこと!?」
美由紀「いやそんなこと言われても・・・!」
晴人「俺はたとえ美由紀が――」
晴人「スリッパだったとしても、愛してみせる!」
美由紀「よく分からないんだけど!」
晴人「どうして俺の気持ちを分かってくれないんだよ!」

〇空
クルル「結局あの男の人も女の人も、困っちゃってない?」
クララ「も〜どうしてよ!?」
クララ「私の魔法は完璧だったはずなのに!?」

〇高級マンションの一室
美由紀「ねえ聞いて!? 私は本当に晴人のことを愛してる!」
晴人「ほら! 何か適当だもん言い方がさ」
美由紀「じゃあどうすればいいのよ!?」
晴人「お願いだから、美由紀の本当の気持ちを聞かせてくれ!」
美由紀「私はずっと本当の気持ちを言ってるし!」
美由紀「どうしてそれが伝わらないの!?」
晴人「もう俺もどうしていいか分からないよ・・・」

〇空

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