クララクルル 〜 加減を知らない妖精 ~

土井和人

第3話 『万引き犯とカレーライス』(脚本)

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土井和人

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〇スーパーマーケット

〇小さい会議室
店長「黙っててもダメだよ。 こっちは見てたんだからね」
中年男「・・・・・・」
店長「ほら、早く鞄の中の商品、出して!」
中年男「はい・・・」

〇駐車スペース
クララ「どうするのよ、この状況」
クルル「・・・・・・」
クララ「そもそも、勝手に一人で魔法使っちゃダメでしょ!?」
クルル「お姉ちゃんだって、この前、一人だけ抜け駆けしたくせいにぃ」
クララ「私は修行だから!」
クララ「あんたは勝手についてきただけなんだからね? わかってる!?」
クルル「・・・だって」
クララ「だってじゃない!」
クララ「まったく──魔法で万引きする勇気を授けちゃってどうするのよ!」
クルル「だって、あのおじさん──」

〇スーパーの店内
中年男「・・・・・・」
  中年の男が店内でレトルトカレーをジーッと見ている。
  手に握りしめた小銭を見ると、1円玉と10円玉しかない。

〇駐車スペース
クルル「すっごい食べたそうに、見てたんだもん」
クララ「だからって、やり方が間違ってるでしょ!」
クルル「・・・うぅ」

〇小さい会議室
店長「──これで全部?」

〇駐車スペース
クララ「しかもガッツリ材料から盗んでるし!」
クルル「へへ、まあね」
クララ「褒めてないからね!」

〇小さい会議室
店長「ったく。よくもまあ、これだけのものを──」
中年男「あの、実はまだ・・・」
店長「は?」
中年男「これで全部です」
店長「ふざけるんじゃないよ!」

〇駐車スペース
クララ「あんたホント魔法の加減知らないね・・・」
クルル「私もまさかあそこまで盗むとは」
クルル「ヘヘ・・・」

〇小さい会議室
店長「カレーを材料から盗んどいて、デザートまでって・・・」
店長「図々しすぎるでしょ!」
中年男「あ、いえ・・・デザートじゃありません」
店長「はあ!?」
中年男「これも全部カレーの材料で使おうと思って」
中年男「隠し味で」

〇駐車スペース
クララ「・・・・・・」
クルル「・・・・・・」

〇小さい会議室
店長「何に使おうが万引きは万引きだから!」
店長「とにかく警察に連絡するからね!」
中年男「え、待ってください・・・!」
店長「待ってくださいじゃないよ!」

〇駐車スペース
クルル「どうしよう、お姉ちゃん」
クルル「あのおじさん、あんなに困ってる・・・!」
クララ「しょうがないでしょ、あんたが変な魔法使うから」
クルル「ねえ、お姉ちゃんの魔法で、あのおじさん助けてあげてよ!」
クララ「そんな事、言われたって・・・」
クルル「だって、あんなに怒られてかわいそうだよ!」
クララ「いやいや、それあんたが言う?」
  ていうか感心すると思った!?
  隠し味で使うって聞いて!?
  すいません、すいません・・・!
クララ「ん、感心?」
クルル「え?」
クララ「あ、分かった!」
クララ「こうすればあのおじさん怒られずに済むんじゃない?」
クルル「え、なになに?」
クララ「まあ見てなって!」
クララ「クララクララクラクラクラ〜!」

〇小さい会議室
中年男「ホントすいませんでした・・・!」
中年男「あの、自分でも何で万引きなんてしたのか──」
店長「ちょっと待って!」
中年男「はい・・・?」
店長「これだけの量を盗むだなんて・・・」
店長「すご〜い!」
中年男「・・・え?」
店長「さらに何ておっしゃいました?」
店長「このパイナップル、バニラアイス、ココアは隠し味にですって!?」
店長「すばらしい!」
中年男「・・・?」
店長「詳しくレシピ聞かせてください!」
中年男「あ、あれ・・・?」

〇駐車スペース
クルル「なるほど、お店の人があのおじさんに関心するよう、魔法をかけたのね!」
クララ「そういうこと!」
クララ「こうすれば怒られないでしょ?」
クルル「さすがお姉ちゃんだね!」

〇小さい会議室
店長「早く早く!」
店長「この材料でどんな風にカレー作るんですか!?」
中年男「ま、まず初めに・・・にんじん、玉葱などの野菜を炒めます」
店長「そこは普通だね、うん」
中年男「その後、お肉を入れるんですが、このお肉にパイナップルを使います」
店長「え〜!? お肉にパイナップルを使うんですかぁ!?」
店長「すご〜い! どういう事、どういう事ぉ!?」
中年男「事前にパイナップルとお肉を一緒にして30分くらい置いておけば、お肉が柔らかくなるんです」
店長「嘘ぉ〜? 何でぇ〜?」
中年男「パイナップルに含まれるブロメリンという成分が、お肉のタンパク質を分解してくれるので、柔らかくなんです」
店長「え〜! すご〜い!」
中年男「ほら、パイナップルを食べると、舌がピリピリする事あるでしょ?」
店長「あるある!」

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コメント

  • これ。意外に好き。勉強になりました笑

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