麻木ブレイド物語

甘土礼朝

1-2(脚本)

麻木ブレイド物語

甘土礼朝

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〇リサイクルショップ(看板文字無し)
麻木 嵐「ここだ!」
麻木 得瑠「ホントにここ?」
麻木 嵐「前来てるから大丈夫です」
麻木 嵐「心配なら先に行くからついてきて」
麻木 得瑠「えっ!? 嵐ちゃん?」
  カランカラン。
麻木 得瑠(そう言うなら大丈夫かな──)

〇リサイクルショップの中
  カラン。軽やかにドアの鈴が鳴る。
雑貨屋店主「いらっしゃいませ」
麻木 得瑠(雑貨屋でいいのかなここ)
麻木 得瑠(怪しい人ではなさそうね 嵐、先に入ったけど・・・)
麻木 得瑠(あ、いたいた)
麻木 嵐「スミマセン、これお願いします」
麻木 得瑠(なんか高そうなの持ってきた!)
麻木 嵐「姉さんお願いします」
麻木 得瑠「えっと、おいくらに?」
雑貨屋店主「****円です」
麻木 得瑠「ギリギリ『単行本』って言えそうな値段だけども高いような・・・騙された気分」
麻木 得瑠「それでも誕生日だし・・・ね」
麻木 得瑠「これで」
雑貨屋店主「ありがとうございます お釣りはこちらに」
麻木 嵐「ありがとう姉さん」
麻木 得瑠「お、おめでとう嵐ちゃん」
雑貨屋店主「ではお客様あちらへ」
麻木 得瑠「まだ何かあるんですか?」
雑貨屋店主「ウチではお買い上げのお客様に占いをサービスで行ってるんです」
雑貨屋店主「たいしたものではないのですが」
麻木 嵐「実はこれも目的だったりします」
麻木 得瑠「そうなんだ それは私が居てもいいのかな?」
麻木 嵐「大丈夫だと思う」
雑貨屋店主「それではあちらの席へ」

〇暖炉のある小屋
  案内された机に店員に向かい合って座る。
  店員はテーブルに置いてあるオブジェの一つを二人の前に出す。
雑貨屋店主「それではまず始めに──」
雑貨屋店主「こちらに手をかざしてください」
麻木 嵐「こうですか?」
「!?」
雑貨屋店主「かなり強烈な光り方ですね 特に優れた能力または運命を持っているようです」
雑貨屋店主「詳しくはわかりませんが、あまり見ない特殊なもののように思われます」
麻木 嵐「はぁ・・・」
麻木 得瑠「特殊な才能だって、スゴイね」
雑貨屋店主「ただ、大きな力は不必要に災いを持ち込むことがあるため注意が必要です」
麻木 嵐「・・・」
雑貨屋店主「光の揺らぎから迷いを持っているように見えます」
雑貨屋店主「もしかすると先程の特殊で大きな力のせい なのでしょうか」
麻木 嵐「そうですね──」
麻木 得瑠(あの感じ、嵐思い当たることがあるのだろうか?)
雑貨屋店主「次にこのカードの山に手を置いて占いたい ものを念じてください」
麻木 嵐「こうでしょうか?」
雑貨屋店主「大丈夫です では──」
麻木 嵐「・・・」
  ・・・
雑貨屋店主「それではここからカードを一枚めくってください」
麻木 得瑠「何このカード気味悪い」
雑貨屋店主「死神ですね」
麻木 嵐「死神 それって──」
雑貨屋店主「いえ、心配しないでください 本人が死ぬのではなくこれは『広く何かが死ぬ』という意味しています」
雑貨屋店主「言い替えると『終わりを迎える』『区切りがつく』ということです 新しく始まる『変化の前兆』ととらえることとも」
麻木 嵐「変わる・・・んですか」
麻木 得瑠(やっぱり何か気づいてる・・・)
  このあともう少し占いは続いた───

〇リサイクルショップの中
麻木 嵐「もうこんな時間 早く帰らないと」
麻木 得瑠「遅くなる前に帰らないと母さんプンプンよ」
麻木 嵐「それでは 姉さん早く!」
麻木 得瑠「わかった、駅までね」
雑貨屋店主「ありがとうございます またの機会を」
  カランコロンカラン。
雑貨屋店主「あれが────そう」

〇商店街
  二人は駅へと急いでいた。
麻木 得瑠「この時間のバス人多いんで乗れるかな」
麻木 嵐「一本遅らせるのは避けたいところだね」
麻木 嵐「先に母さんに連絡入れといた方がいいかも」
麻木 得瑠「それだ!」
麻木 得瑠「あれ? 点かないぞ」
麻木 得瑠「バッテリーまだ結構あったと思ったんだけど」
麻木 嵐「じゃ私から──」
麻木 嵐「私のもダメみたい・・・」
麻木 得瑠「二人とも!?」
麻木 得瑠「仕方ない それなら早く帰ればいいだけのこと」
麻木 嵐「だね」

〇駅前ロータリー(駅名無し)
  姉妹は駅前まで戻る。
  駅前ロータリーのバス停。二人はその場所に立っていた。
麻木 得瑠「・・・・・・」
麻木 得瑠「嵐ちゃん、ちょっと怖いこと気づいたんだけど」
麻木 嵐「姉さんもですか?」
麻木 得瑠「いくら田舎で人少ないけども」
麻木 得瑠「人どころか車も見えないのはどうなのかな」
麻木 嵐「私も途中で駅に来れば、と思ったんですが」
麻木 嵐「誰もいませんね」
「・・・」
???「お、居た居た」
  つづく

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