Xヒーロー

語り部

第8話 泥土(脚本)

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〇シックなバー
  2021年 東京都内 とあるバーの一室
エンチャント魔導法士「悪いな呼び出して、お前らに少し聞きたい事あってよ。まず鳳凰、新聞みたよな?鸞が警官隊銃殺なんてありえるか?」
鳳凰「ねえな。既に蟲組に情報集めてもらってるが、鸞が銃を使った痕跡は見つかってねえ」
エンチャント魔導法士「雷蔵、狂風は蹴り技を好んで使うが何かあって銃使ったとかはないか?」
皇牙雷蔵「あいつはもう雷王跋会の人間じゃねえからわからんが···あいつに色々と『やるな』と言ってあいつはよく無視してた」
皇牙雷蔵「だが『武器』だけはどうしても使いたくないって感情があるしくてな、おかげでチャカ(銃)で悪ふざけしたこともあったな」
エンチャント魔導法士「ミン、武器術を得意とするアジア最強の殺し屋フェード。銃だって使ったんじゃないか?」
ミン「ありえない。フェードに三国志を読み聞かせさせすぎてああいう風に『昔の武器』ばかり使うようになってしまったんだ」
ミン「射撃はできない訳じゃないがあいつは専ら『近接武器』しか使わん。間違っても銃は使わんだろう」
  エンチャントは3人の意見を一通り聞いた後、酒をグイッと流し込み静かに口を開く
エンチャント魔導法士「ミン···お前紅色派の幹部だったよな?フェードがいたって事は紅色派もいたんだろ?なにか隠してねえか?」
ミン「疑われても仕方ねえか···だがなウィリアム、紅色派にも派閥があってな。恐らくあの場にいたのは共産系だ」
ミン「今紅色派の共産系は力つけててな···アメリカの政府機関に『赤ん坊』売りつけて、その金で中国政府を徐々に喰ってる」
エンチャント魔導法士「それとこれとなんの関係がある?」
ミン「スターゲート計画って知ってるか?」
鳳凰「アメリカで戦時中やってたヤツだな。超能力を軍事利用しようって躍起になったんだよな?くだらねえ話だ」
ミン「今から言うことはちゃんと裏とった情報だがな···紅色派が必死こいて金集めて政府動かそうとするのにはな···」
ミン「ロシアが開発中の『クローン喧嘩王』に一枚かんで、中国でも運用できるようにする為らしい」
  『喧嘩王』この言葉を聞いた3人は青ざめる。
  喧嘩王とは3代目Xヒーローマスター『神王雷華(じんおう らいか)』の事であり、誰もが認める最強の男。
  驚くべきはその経歴。彼は己の五体のみで徒手、武器、異種族、果ては能力者、異能使いまでも拳でねじ伏せ
  あまりに強すぎるため27歳の時『神』が直接地上へ降り『神になれ、望むものはなんでも与える』と言わしめる程である
  喧嘩王はその要求を断るも34歳の時謎の病で急死。遺体は埋葬され、その後非能力者達の信仰の対象となった
エンチャント魔導法士「ふざけるな···!喧嘩王のクローンだぁ···!?んな話あってたまるか!!」
皇牙雷蔵「ない話じゃねえぞ、喧嘩王の墓荒らされたってニュースあったろ。政府が守ってたはずの墓から盗まれたのは『首、腰、頭の骨』」
皇牙雷蔵「赤ん坊の件もそうだが日本政府もその計画に一枚かもうとしてんじゃねえのか?」
鳳凰「いや、恐らくアメリカでも『似たようなこと』しようとしてんじゃねえのか?」
鳳凰「紅色派はアメリカとロシアの両方に尻尾振って出来のいい方の付く気かもな」
エンチャント魔導法士「赤ん坊か···大量に必要なのは何故か知らんが喧嘩王絡みならその計画潰さなきゃならんな」
  すると鳳凰の手にハエが止まり鳳凰をみつめる。鳳凰も数分見つめ返した後『頼んだ』と声をかけハエは再び飛び立つ
鳳凰「ウィリアム、お前に客人だ。神奈川の伊吹町のホームレス街に斎王達が来ている、行ってこい」
エンチャント魔導法士「はぁ~···聞くこと聞いたからこれからお前らの奢りで酒飲もうと思ったのによ···」
「死んでも奢らねえよ、ウィリアム!!」
エンチャント魔導法士「揃いも揃って金持ちのくせのケチくせえなおい!わかったよ、ウィリアムじいさんは黙ってホームレス街に帰りますよー···」
エンチャント魔導法士「ちなみにキャバは~···」
「俺らだけで行く」
エンチャント魔導法士「ワシだけ除け者かい。いいもんいいもん、お前らよりもっといいキャバ言って自慢してやる!!」

〇荒廃した街
  数時間後 神奈川県内 伊吹町 ホームレス街
ホームレス「おぉ来た来た。エンチャントさん、あんたあんな可愛い子2人も待たせるなんて罪だね~」
ホームレス「まぁ取り巻きに元ヤクザの狂風がいるから裏がありそうだが···まぁ頑張ってくれや」
  そう言い残しホームレスは歩き去る。そこに居たのは斎王達であり彼らはエンチャントに近づき話始める
斎王幽羅「貴方がエンチャントさんですよね?少しお聞きしたいことがありまして···」
  鸞とフェードはエンチャントを両サイドから囲み、腕に抱きつく。エンチャントは満更でもない顔をし斎王の話を聞く
  斎王は妊婦が殺害されその腹を無理やり裂いて産まれる前の赤ん坊を紅色派がアメリカに輸送している事。
  そしてその船に魔術協会の人間がちらほらいた事を明かし、それについて尋ねる。エンチャントは近くにある枝を拾う
  とあるマークを地面に書き上げ『このマークか?』と尋ねる
フェード「あったな。魔術協会のマークじゃないのか?」
エンチャント魔導法士「これは『ロシア正教』のマークだ。プロテスタントの派生で生まれた分教でな、魔術協会とは関係は無い」
フェード「関係ない···?しかし確かに魔術協会のバッチをつけているのを見たぞ···?」
エンチャント魔導法士「魔術協会はカトリック聖教を母体として作られた組織、プロテスタント系は『異端』とみなしているからそいつらは『偽物』だ」
エンチャント魔導法士「それに魔術協会には明確な『マーク』はない。魔術協会は喧嘩王の存在に危機感を覚え時のローマ法王に」
エンチャント魔導法士「『歴史の光から魔術協会を遠ざけて欲しい』と願った。その為色々と策を講じてくださった物のひとつに『統一の印を作らないこと』」
エンチャント魔導法士「それが含まれている。以降その規則魔術協会解体が完了した『4ヶ月前』までしっかり守られている···はずだ」
キング「でもロシア正教ってのが居たんだろ?例え偽モンでも魔術扱えんだろ?じゃあそいつらが現行の魔術協会ってことじゃねえのか?」
キング「あれ···?なんでロシア正教のエセ魔術協会は残ってんだ···?本物の魔術協会は解体されてるのに···」
エンチャント魔導法士「さぁな。聞きたいことは答えたぞ、次は若い娘2人に楽しませてもらうぞ~?まずは足から···」
  2人の足を触ろうと手を近づけた瞬間フェードと鸞はエンチャントの首にクナイを突きつける。エンチャントは余裕そうな態度をみせ
  斎王達に話始める。
エンチャント魔導法士「随分嫌われたなぁ···本当はケツ撫で回したいところをグッ!と抑えたんだぞ~?」
エンチャント魔導法士「それにワシはお前らの『知らない事を知っている』、例えば鸞。お前、仲間に一文字族の事教えたか?」
鸞「は?話してるに決まってるだろ」
エンチャント魔導法士「違う違う『鳳凰の加護と土地の呪い』についてだ」
  それを聞いた鸞は青ざめる、なぜこの老人は『一文字族の恥部』を知っているのかと。そして続けざまにエンチャントは話す
エンチャント魔導法士「凪園、お前の『本当の苗字』は教えたか?教えてないよな。親父さんから何があっても晒すな。と言われてるんだもんな?」
凪園無頼「は···?なんで知ってんの?意味わかんねーんだけど」
エンチャント魔導法士「フェード、お前の名前は教えたか?王 文青(ワン・ウェイジー)ではないぞ?『朝鮮にいた頃の名前』だ」
フェード「貴様···どこで知った···?お前も紅色派の人間なのか···?」
エンチャント魔導法士「そんなわけないだろ。斎王、お前が1番だぞ?斎王家については言ったか?お前の父と祖母の『遺品』について···言ったか?」
  斎王を含め皆が目の前の老人に危機感を覚え『逃がしては行けない』と察する。一人を除いて
キング「よくわからんが皆隠し事してるんだな。俺はなんかないのか?」
エンチャント魔導法士「ない。というかお前誰だ、知らんぞワシ」
キング「はぁぁぁ!!?俺は変化武器のキングだ!武器の名前は不落の盾、わかんだろ!!」
エンチャント魔導法士「知らん。が···変化武器がまだ生きとったか、相変わらず来もしない剣神···『父親』だったか?まだ待っとるようだな」
キング「『親父』は来る。俺ら変化武器は最後の一人になるまで待ち続ける、俺らは親父との約束を守る義務があるんだよ」
エンチャント魔導法士「自ら破滅に向かう種族か···哀れだな。さて···ワシはキャバクラにでも行く、お前らはそこでお互いを疑い続けてろ」
  立ち去ろうとするエンチャントを斎王は引き止める。エンチャントは振り返り斎王を見つめる
斎王幽羅「エンチャントさんが言いたいことはよく分かりました。俺達はお互いを知らずに目標に向かってしまう所でした」
斎王幽羅「俺達は俺達と俺達自身を知っておく必要がある。そういう事ですよね?エンチャント魔導法士いや···」
斎王幽羅「3代目Xヒーロー メンバー 『命の魔術師』 ウィリアム・バージェスさん」
  一同が驚きの表情を見せる中エンチャントは眉をひそめる。なにか思い出したくない事があるようでそそくさとその場を去ろうとする
  逃がさないと言わんばかりにキングと鸞が行く手を塞ぎエンチャントは強引に進もうとする。
  無論60代の老人の力などたかがしれている為、2人は容易に跳ね除け転んだエンチャントをフェードが拘束する
鸞「一文字族の掟や剣神の事、斎王家の事···やけに詳しいと思ったら3代目の人間だったとはな」
フェード「どうする?聞きたいことは聞いた、こいつの命は我々にとって無価値だ。判断は任せるぞ斎王」
  斎王はフェードにエンチャントの両手を拘束して欲しいと伝え、フェードはエンチャントの両手を縛り上げる。
  斎王は携帯を取りだしどこかに電話をする、数分後携帯をしまい皆に向けて話始める。
斎王幽羅「皆、アメリカに行く前に胸の内にある『泥』落としていこう。いざって時に信用出来ないのは嫌だ」
キング「別にいいがよ、どこ行くんだ?警察共が張ってるだろうし神奈川でなきゃならねえぞ?」
斎王幽羅「わかってる。だから···斎王家の本家、俺の『実家』に行く」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第9話 幽光

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