エピソード28(脚本)
〇空っぽの部屋(ガムテープあり)
一茶は入口の扉を開けようとするが、扉はびくともしない。
中園瑚白「そこもオートロックになってるから、電気がこないと開かない」
紅音はトイレからロウソクを持ってきて火を灯した。
真田紅音「四本つけて四隅に置けば、だいぶ明るいよ」
藤原一茶「当たり前のこと偉そうに言うなや」
真田紅音「・・・・・・」
中園瑚白「電気が復旧するまで待つしかないね」
藤原一茶「どれぐらいで復旧すんねん」
中園瑚白「だから、私が知るわけないでしょ」
藤原一茶「ホンマに知らんのか」
真田紅音「おい一茶、お前変だぞ」
真田紅音「どうしてそんなに突っかかってくるんだ。 何をそんなにイライラしてるんだ」
藤原一茶「・・・なんや、俺ばっかり悪者かい」
中園瑚白「今日の一茶は変」
中園瑚白「一次試験の時みたいな、気持ち悪いにやけ顔が無い」
中園瑚白「明らかに冷静じゃない。どうしたの?」
藤原一茶「暗いのはアカンねん。 暗い中で冷静でいろて、それは無茶な話や」
中園瑚白「ほんとに、それだけ?」
藤原一茶「・・・どいつもこいつも信用ならんだけや」
真田紅音「僕のセリフだよ、それは」
三人とも険しい表情でお互いを見合う。
〇空っぽの部屋(ガムテープあり)
部屋のロウソクは半分以下しか残っていない。
一茶は落ち着きがなく、しきりにロウソクの残りを確認している。
藤原一茶「やっぱり変やろ。 遅すぎるわ、これは」
中園瑚白「これだけ大きな建物のシステムトラブルだから、直すのにも時間かかるんでしょ」
一茶は出入り口のドアを叩き始める。
藤原一茶「すんません、誰かおらんのですか?」
真田紅音「おい、やめろよ」
藤原一茶「せやかて、このまま待っとってもロウソクが消えるだけや」
藤原一茶「明かりがあるうちになんか行動しといた方がええやろ」
真田紅音「だからって、あんまり乱暴なことはするなよ」
藤原一茶「なにがや、ドアたたいて呼びかけるののどこが乱暴やねん」
藤原一茶「いつまでもトイレから出てこんやつは、叩いて急かさなあかんやろ」
一茶はまたドアを叩き始める。
真田紅音「やめろって」
中園瑚白「これも試験のうちかもしれないでしょ」
藤原一茶「は?」
中園瑚白「ハプニングに見せかけた試験かもしれない」
中園瑚白「こうやってストレスの溜まる状況に私たちを追い込んで、ストレス耐性を見てるのかもれない」
藤原一茶「さっきの係の人は、試験は中断や言うとったぞ」
中園瑚白「ふっ、素直に信じるなんて、ホントに追い込まれてたんだね」
藤原一茶「知っとったんか?」
中園瑚白「何が?」
藤原一茶「これも試験のうちだってことや」
中園瑚白「だから、もしかしたらそうかもしれないって」
中園瑚白「仮定の話でしょ」
藤原一茶「なんでもっと早う言わんねん。 俺が冷静やないって、そう思っとったんやろ」
藤原一茶「アホみたいに騒ぎたてんの見て、心ん中で笑っとったんか!」
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