第4話 お願い!筋肉様(脚本)
〇理科室
九龍真理「え~、先日のSHO-MA2Oの一件だが」
九龍真理「女子生徒たちの間でイケメンアンドロイド炎上事件として話題になっているようだ」
衛士村斗真「あんなイケメンロボットが作れるなら、超次元科学研究部の活動を応援しても良いって声が増えてるみたいだね」
相沢新人「マジかよ、あんな大爆発起こしたってのに」
相沢新人「女子のイケメン欲は恐ろしいな」
九龍真理「これで学園内の女子票は確実に取れるだろう」
九龍真理「残りは男子票だが、これについても既に手は打っている!」
九龍真理「SHO-MA2Oの開発と並行して、実験は開始していたのだ」
衛士村斗真「おぉ、さすが真理ちゃん!」
九龍真理「ふははは! 実験の成果がようやく現れ始めたので、今日は貴様たちにも見せてやろう!」
九龍真理「こっちだ、ついて来い!」
〇屋上の入口
九龍真理「ここが実験会場だ!」
相沢新人「実験会場って、ただの屋上に続く階段だろ?」
相沢新人「屋上があんまり使われてねぇからって、また何か勝手に改造したのか?」
九龍真理「相沢、人聞きが悪いぞ! 今回は階段にはなにも改造をしておらん」
九龍真理「ただ、屋上に繋がる扉を神社の参拝場所の ようにデコレーションしただけだ!」
衛士村斗真「本当だ! 賽銭箱に、鈴もある!」
九龍真理「今回はこの場所で参拝を行うだけで、『男なら誰もが求めるもの』を簡単に手に入れることができる発明品を作った」
衛士村斗真「男なら誰もが求めるもの・・・」
衛士村斗真「伝説の魔剣・暗黒龍斬剣《ダークネスドラゴンスレイヤー》とか?」
相沢新人「なんだよそれ、ウルトラかっけぇじゃねぇか」
九龍真理「いや、そういう中二病的なあれでは無い」
九龍真理「男なら誰もが求めるもの・・・」
九龍真理「それは、筋肉だ!」
相沢新人「筋肉?」
相沢新人「この神社で神頼みでもして、ムキムキになろうってことか?」
九龍真理「そのような非科学的な方法ではない」
九龍真理「我々が行うのはあくまでも科学的なトレーニングだ!」
九龍真理「まずは二人とも、これを身につけろ」
九龍真理「これが、筋トレのための装着型端末《ウェアラブルデバイス》『お願い!筋肉様!』だ」
相沢新人「これを着るのと、筋トレにどんな関係があるんだよ?」
九龍真理「筋トレとは、運動による刺激によって筋繊維を損傷させて」
九龍真理「その後に休養することで超回復による筋肥大を目指すものだ」
相沢新人「ウェイトトレーニングで筋肉に負荷をかけて、その後に睡眠や食事を摂ることでムキムキになるってことだろ?」
九龍真理「このデバイスは筋トレの刺激を通常の10倍に増幅して、効率的にトレーニングを行うことを可能にしてくれる」
九龍真理「世の中の全ての男が筋肉を欲しながらも、なぜ世の中にはマッチョとそうでない男がいるのか?」
九龍真理「それは筋トレがしんどくて、ムキムキになるまで継続することが困難だからだ」
相沢新人「たしかに、筋トレ始めても、すぐにやめるヤツって多いもんな」
九龍真理「その点、この『お願い!筋肉様!』は」
九龍真理「身につけて、階段を上り、二礼二拍手一礼の簡単な参拝動作をするだけでマッチョになれる!」
九龍真理「さぁ、お前たちやってみろ!」
相沢新人「これを着たまま階段を上って参拝すればいいのか?」
衛士村斗真「行こう、相沢!」
「せーの」
「ギャァー!」
九龍真理「あ、すまない」
九龍真理「言い忘れていたが、このデバイスは運動によって筋肉が受ける刺激を10倍に増幅することで筋トレ効率を上げている」
九龍真理「そのため、身体に与えられる痛みや疲労も10倍になるのだ!」
九龍真理「常人が意識を保ちながら、参拝を終えることは不可能だろう」
相沢新人「全然簡単なトレーニングじゃねぇよ!」
九龍真理「そこで、このトレーニングの前には、私が特別に調合した甘酒を飲むことが必要不可欠」
九龍真理「これを飲むことで、トレーニングによる痛みを麻痺させ、更には傷ついた筋肉の超回復も補助することができる」
相沢新人「ヤバそうな甘酒だな」
相沢新人「違法な薬物とか混ざってねぇよな?」
九龍真理「失礼だな、相沢!」
九龍真理「これは私が独自に配合した甘酒だぞ!」
九龍真理「まだ違法薬物に指定されていないから問題はない!」
相沢新人「なおさら怖ぇよ!」
男子生徒「こんにちは! 今日もトレーニングに来ました」
九龍真理「おぉ、よく来たな!」
九龍真理「斗真と相沢! お客さんが来たので『お願い!筋肉様!』の体験はここまでだ」
九龍真理「どうせ甘酒を飲まずにトレーニングした反動でしばらくは動けまい」
九龍真理「その間、彼らのトレーニング風景でも見ているが良い」
男子生徒「みんな、甘酒は飲んだか?」
男子生徒たち「おぉ!」
男子生徒「それじゃあ、参拝始めるぞ! 一本目!」
男子生徒「うぉぉ!」
相沢新人「お嬢、一体このマッチョ集団は誰なんだ?」
九龍真理「ふははは! 彼らはこのデバイスの初回モニターだ」
九龍真理「この写真を見てみろ」
〇学校の部室
〇屋上の入口
相沢新人「まさか、これがあのマッチョか?」
九龍真理「あぁ、たった2週間のトレーニングであの身体を手に入れたのだ」
相沢新人「2週間で!?」
九龍真理「彼らは、私が開催した『ヒョロヒョロ男子オーデイション』で合格した、学園を代表するヒョロヒョロ男子たちだ」
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