第2話 潜入!部活動設立説明会(脚本)
〇学園内のベンチ
瀬尾道安「超次元科学研究部、お前たちに解散を命じる」
九龍真理「なんだと!?」
瀬尾道安「お前達の噂はかねてから聞いていた」
瀬尾道安「『超次元科学』などという得体の知れないものを追い求め、危険な科学実験を繰り返す変態集団がいるとな」
九龍真理「へ、変態集団とは何事だ!」
九龍真理「我々は『超次元科学研究部』、科学の発展のために心血を注ぐ崇高な組織だぞ」
瀬尾道安「そもそも、お前達は正式な部活動として承認されていないだろう?」
瀬尾道安「解散以前の問題だ!」
瀬尾道安「規則を守れない者に活動を行う資格はない!」
瀬尾道安「もっとも、正式に部を設立したところで、『超次元科学の研究』などという馬鹿げた活動に価値があるとは思えんがな」
相沢新人「あれが、生徒会長の瀬尾道安か」
衛士村斗真「評判通りの規則に厳しくて、怖い人だったでしょ?」
九龍真理「1学年連邦生徒会長だか何だか知らんが、超次元科学研究部《チカケン》の活動をバカにするなんて許せん!」
九龍真理「なんとしても正式な部活動として我々の活動をヤツらに認めさせてやる」
相沢新人「そうは言っても、どうやって正式な部活動として認めさせるんだよ?」
相沢新人「何か作戦はあるのか?」
九龍真理「まったくない!」
相沢新人「ねぇのかよ!」
衛士村斗真「あ、さっきこれを学年連邦生徒会の人たちがくれたんだけど・・・」
部活動設立説明会
衛士村斗真「金曜の放課後に説明会があるみたい」
相沢新人「これに出れば、部活動の設立に必要な手続きがわかるってことか」
九龍真理「よくやったぞ、斗真!」
九龍真理「それでは、部活動設立説明会に潜入して、正式に超次元科学研究部《チカケン》を設立するぞ!」
〇清潔な廊下
金曜日の放課後
衛士村斗真「うわぁ、すごい人数だね」
相沢新人「こんなに大人数じゃ、会場に入りきらねぇよ」
相沢新人「入り口近くで立って見るしかなさそうだぜ?」
衛士村斗真「張り切って来たけど、学年連邦生徒会に声を届けるのは難しそうだね」
九龍真理「ふははは! そんなこともあろうかと、とっておきの発明品を用意したぞ」
九龍真理「それがこれ!」
九龍真理「拡声器エコーゲリオンだ!」
相沢新人「拡声器ってことは、声を大きくする発明品ってことか?」
九龍真理「相沢、私がただの拡声器を作って満足すると思うか?」
九龍真理「この拡声器エコーゲリオンは反響《エコー》を操ることができる」
相沢新人「反響《エコー》を操る?」
相沢新人「いまいちピントこねぇな」
九龍真理「では、実験してみよう!」
九龍真理「斗真、廊下の一番端まで走ってきてくれるか?」
衛士村斗真「OK! 真理ちゃん」
衛士村斗真「おーい、着いたよ~!」
相沢新人「足はやっ!」
九龍真理「よし、まずはこのスコープで声を届ける対象の位置を補足する」
九龍真理「そして、ボタンを押して喋るだけ」
九龍真理「ボソボソボソ」
相沢新人「え? お嬢、なんて?」
九龍真理「『こんな科学者は嫌だ。どんな科学者?』と言ったのだ」
相沢新人「まさかの大喜利!?」
九龍真理「科学者たるもの、大喜利にもすぐに対応できる柔軟なひらめきが大切だからな」
相沢新人「隣にいる俺でも聞き取れなかったぞ」
相沢新人「遠くにいる斗真に聞こえてるのか?」
九龍真理「大丈夫、必ず聞こえている」
衛士村斗真「アインシュタインを意識しすぎて常に舌を 出してる」
九龍真理「・・・・・・」
相沢新人「・・・・・・」
衛士村斗真「あ、あの常に舌出してるから、よだれとかダラダラでなんかすごく嫌っていう」
相沢新人「もういいよ、お前はよくがんばった」
九龍真理「と、このように」
九龍真理「エコーゲリオンは反響《エコー》を操るこで、どんなに離れていても狙ったターゲットに声を届けることができるのだ」
相沢新人「おい、お嬢も大喜利になんかコメントしてやれよ!」
九龍真理「これがあれば、騒がしい説明会の会場でも瀬尾に声を届けることが可能だ」
九龍真理「さぁ、会場に乗り込むぞ!」
〇説明会場
瀬尾道安「これより部活動設立説明会を始める」
瀬尾道安「説明内容に関して不明点があれば、最後に質疑応答の時間を設ける予定だ」
瀬尾道安「挙手をして、許可を得てから発言するように」
瀬尾道安「まずは、単刀直入に部活動の設立条件からお伝えしよう。条件は2つのみ」
瀬尾道安「一つ目の条件は『所属する部員が3名以上であること』」
瀬尾道安「残念ながら、2名以下の活動を部活動として認可することはできない」
熱湯サーフィン部「待て!」
熱湯サーフィン部「人数は少なくとも私たち『熱湯サーフィン部』には全国の温泉地でサーフィンをするという野望があるのだ」
熱湯サーフィン部「部活動として認めてもらえなくては困る」
瀬尾道安「挙手をして、許可を得てから発言する規則だと説明したはずだが?」
書道ボクシング部「発言の許可なんて待ってられるか!」
書道ボクシング部「我が『書道ボクシング部』も、競技の普及のために」
書道ボクシング部「たとえ部員が一人だろうと、墨が黒いうちは部への昇格を諦めん」
瀬尾道安「規則を守れない者を部活動として、認めるつもりはない」
瀬尾道安「所属部員が既定の人数に達していない者たちも、まとめて会場からつまみ出せ」
瀬尾の合図を受けて、学年連邦生徒会の会員たちが、反発する生徒たちを会場から追い出した。
学年連邦生徒会員A「さぁ、帰ってください」
熱湯サーフィン部「なにをする! 離せ!」
学年連邦生徒会員B「人数が集まったら、また来てくださいね」
熱湯サーフィン部「瀬尾、覚えていろよ!」
書道ボクシング部「この借りは必ず返す! 硯洗って待ってやがれ」
九龍真理「くっ、なんて強引な」
九龍真理「これが学年連邦生徒会のやり方か」
学年連邦生徒会員A「あ、お前たちはこの間の変態科学者集団!」
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