ネクタイ(脚本)
〇明るいリビング
明「ごちそうさまでした!」
美夕「お粗末様でした!」
明「それでは学校に行ってきます」
明「お留守番よろしくお願いします」
美夕「ちょっと待ったぁ!」
明「どうしたんですか?」
明「一人でお留守番が寂しいんですか?」
美夕「そんな甘えん坊じゃない」
明「大丈夫ですよ」
明「今日は午前中だけですから、すぐに帰ってきますよ」
明「だから、そんな不満そうな表情しないでくださいよ」
美夕「いや、してないから」
美夕「私がいったいどれくらい一人で過ごしてきたと思っているの?」
美夕「この程度では寂しさを感じないよ」
美夕「・・・それよりも今日は君の入学式だろ」
美夕「ネクタイが曲がっているよ」
美夕「初日ぐらい身だしなみに気をつけなさい」
美夕「ほら、結んであげるから」
美夕「こっちおいで!」
明「いいですよ」
明「自分でできますから!」
美夕「何?照れてるの?」
美夕「大丈夫だよ」
美夕「君は照れても成仏しないから!」
明「いや、そういうことじゃなくて」
美夕「いいから、いいから 私に任せなさい」
美夕「・・・・・・・・・」
美夕「・・・・・・・・・」
美夕「・・・思ったより難しいな」
美夕「ちょっと後ろを向いてくれないか。 前からじゃうまく結べない」
明「別にいいですけど」
美夕「それじゃあ失礼してっと!」
そういうと美夕は後ろから抱きつくように明のネクタイを直していく。
明「・・・・・・・・・」
明(えっと。あたっているのだが!?)
明(この人たまにこういう無防備なところを見せてくるよな)
明(成仏したくないとか言っているくせにガードが薄いんだよ!)
明(ここでもし美夕さんが気づいてしまったら照れてしまうかもしれない!)
明(ここは我慢だ! 決して堪能したいわけではない)
美夕「よし!できたっと!!」
明「ありがとうございます! それでは行ってきます!!」
美夕「・・・なにもそんなに急いで出ていかなくてもいいのに」
美夕「あんなに息を荒げて耳まで真っ赤にして走っていくなんて」
美夕「そんなに急ぎの予定があったのかな?」