美夕は憑いてくる

ぬばたま

みそ汁(脚本)

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〇明るいリビング
  ここはアパートの一室。
  食卓で向かい合う男女が二人。
明「美夕《みゆ》さんは料理上手ですね」
  味噌汁をすすりながらつぶやく男は家中 明《いえなか あきら》
  このアパートの住人であり、高校生一年生。
美夕「ははは!」
美夕「そーだろ、そーだろ」
  得意げな顔をしている彼女は美夕。
  このアパートに住み着いている幽霊。
  白くきめ細かい肢体を純白なセーラー服で包み、長く白い髪を三つ編みにしている。
明「炊事洗濯なんでもできますね」
美夕「生前はもしかしたら生粋のお嬢様だったかもしれないね!」
明「きっと花嫁修業をいっぱいしたんでしょうね」
明「いい花嫁になれると思いますよ!」
美夕「・・・君、もしかして私のこと成仏させようとしてる?」
明「そんなことはありませんよ」
明「ただ事実を述べているだけです」
美夕「わかっていると思うけど、私は照れたら成仏しちゃうんだよ!」
明「そんなポンコツな美夕さんもまたかわいいです」
美夕「ほんとにわかってるのかな?」
美夕「あとポンコツではない!」
明「それにオレは美夕さんに成仏してほしくありません」
美夕「へぇー」
美夕「そう思っているとは意外だね」
美夕「君は私を早々に成仏させて悠々自適の一人暮らしライフを満喫したいと思っていたよ」
明「確かに一人暮らしを始めて初日でいきなり幽霊と同棲するとは思いませんでした」
美夕「同棲とかいうな!」
美夕「せめてルームシェアといえ!!」
明「おかげで悠々自適な一人暮らしライフはお預け状態です」
美夕「それは悪かったと思っているよ」
明「でも、美夕さんとの二人暮らしもいいものですね」
明「味噌汁はおいしいですし!」
美夕「私を住まわせておくメリットはそれだけか?」
明「毎日飲みたいです!」
美夕「・・・ほんとに成仏させようとしてないよな?」
明「・・・してませんよ」
明(あ、あぶなかった)
明(なんだよ味噌汁を毎日飲みたいってプロポーズの言葉かよ!)
明(すみません美夕さん)
明(オレがあなたに告白するのはあなたが照れても成仏しない方法を探し出してからです)
明(しかし、プロポーズまがいのことをしてしまったのも事実)
明(ここはなんとかしてごまかさないと・・・)
明「おかわりください!」
明(今日の味噌汁がとてもおいしかったことにしよう!)
美夕「ねぇーよ。バーカ!!」

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