読切(脚本)
〇雪山の山荘
〇川に架かる橋の下
??「ふぁ~・・・」
??「ここは・・・」
源ちゃん「おはよう!」
??「誰だ!?」
源ちゃん「あちゃ~ また飲み過ぎた?」
??「う! なんだこの服!?」
源ちゃん「それ一番のお気に入りだろ?」
〇渋谷駅前
??「夢だ! 夢に違いない!」
ビルの窓ガラスに映る自分の姿を見る
ホームレス「ぎょえ~!」
〇川に架かる橋の下
源ちゃん「ここは日本の東京 あんたはホームレス 何度言わせる気?」
ホームレス「・・・ホームレス」
源ちゃん「家がない嫌われ者」
ホームレス「嫌われてる? 私が?」
源ちゃん「まだ酒抜けてないの?」
源ちゃん「インスタントスープあるけど飲む?」
源ちゃん「賞味期限切れのが大量に捨てれらてた」
神のお恵みよ!
ホームレス「恵み・・・ プレゼントか?」
源ちゃん「確かに!」
源ちゃん「クリスマス近いからね」
ホームレス「クリスマス!? サンタクロースは今どこで何をしている!?」
源ちゃん「何言ってんの?」
まさかあんた
その歳でサンタがいるって信じてる?
〇渋谷駅前
ホームレス「これは一体・・・ 何がどうなって・・・」
ホームレス「君!」
ホームレス「サンタクロースの居場所はわかるか!?」
ホームレス「ま! 待て!」
ホームレス「サンタクロースはどこにいるか知ってるか?」
宗教家「はい」
ホームレス「どこだ!」
宗教家「あなたの心の中にいます」
〇公園の入り口
ホームレス(私は・・・何者なんだ)
だっせぇ!
いじめっ子「お前本気でサンタ信じてるのかよ!」
子供「いるもん!」
子供「前のクリスマス 朝起きたら サンタさんのプレゼントあったもん!」
いじめっ子「それはお前のパパだよ!」
サンタなんてこの世にいないんだよ!
〇川に架かる橋の下
源ちゃん「サンタが世の中にいる事を証明する!?」
源ちゃん「どうやって?」
ホームレス「まずは金を稼ぐ」
源ちゃん「無理だよホームレスなのに」
アルバイト情報誌を出す
ホームレス「住所不定でも努力すれば何とか仕事はみつかりそうだ」
ホームレス「金が溜まったら地位のある権力者になってこの国を動かす」
ホームレス「そしてサンタがいる事を証明する! 元の体を取り戻すのはその後だ!」
源ちゃん「総理大臣にでもなってサンタがいるって法律作るわけ?」
ホームレス「総理大臣? この国の王の事か? それもありだが・・・」
ホームレス「とにかく何かしなければ始まらない 私は決してあきらめないぞ!」
源ちゃん「まぁいいけどさ」
源ちゃん「やりすぎるとまた昔みたいに家族も仲間も失うよ」
ホームレス「・・・なんだって?」
〇コンビニのレジ
ホームレス「いらっしゃいませ~」
客「やべ! 金足りねぇ!」
ホームレス「お代は結構です!」
子供「おじちゃ~ん!」
子供「今日もお金ないんだけどさ・・・」
店長「あんたまた勝手な事して!」
ホームレス「困ってる人を見たら放っておけなくて」
店長「じゃあこの店が困ってもいいって言うのかよ!」
店長「明日から来なくていいから」
〇川に架かる橋の下
ホームレス「私は何か間違った事をしたか?」
源ちゃん「良い事はしてるけど」
それじゃ金はたまらんわな
源ちゃん「どうしたんだ最近?」
源ちゃん「もう社長なんてこりごりだって言ってただろ?」
また戻りたくなった?
ホームレス「私が社長?」
源ちゃん「おいおい覚えてないのか? 重症だぞ? あんたは昔ネットショップ経営で大成功した」
その勢いでクリスマスイベントだっつって
無料で商品配りまくって
それが原因で破産しホームレスに
源ちゃん「でもまぁ」
源ちゃん「そのおかげでゴミ箱という名の宝箱に新品の酒がわんさか!」
源ちゃん「恵まれない僕達に素敵なクリスマスプレゼントありがとうございました!」
サンタクロース様!
源ちゃん「ケータイ買ったの?」
ホームレス「ああ 仕事をするためには この国じゃこれが不可欠らしい」
源ちゃん「ならあれ見せてよYouTube!」
ホームレス「ゆ~?」
源ちゃん「今めちゃくちゃ流行ってるのがあんだよ!」
源ちゃん「あった!」
源ちゃん「一番再生回数多いのは・・・」
〇雪山の山荘
これだ!
動画のタイトルには
〇暖炉のある小屋
サンタとホームレスが
ガチで入れ替わった件について
お話します。
〇川に架かる橋の下
と書かれていた
〇暖炉のある小屋
サンタクロース「僕はホームレスで」
〇川に架かる橋の下
ある日突然サンタに入れ替わっていました
〇暖炉のある小屋
サンタクロース「僕は昔 人を笑顔にする事で 幸福を感じていました」
サンタクロース「人の幸せな顔を見る自分に酔っていた 自分は良い事をしているんだという ただの自己満足だったって ようやく気付いたんです」
サンタクロース「今思えば自分の事ばかり考えていた」
〇川に架かる橋の下
だから自分は世の中から消えた
源ちゃん「ぎゃはは!」
源ちゃん「あんたみぇな事言ってんなこいつ!」
まさかあんたと入れ替わったとか?(^^♪
〇暖炉のある小屋
サンタクロース「今は元の体に戻る気はありません」
〇川に架かる橋の下
この先
どうなるかわからない未来に悩むよりも
〇暖炉のある小屋
サンタクロース「今この時を 一生懸命生きたい そう思うようになったからです!」
〇川に架かる橋の下
源ちゃん「うほ! こいつの方があんたより人間は上だな!」
源ちゃん「ありゃ? どこ行くんだ? ケータイもらっていいって事か?」
〇暖炉のある小屋
サンタクロース「って事で僕が一番やりたい事を動画にあげていきます! 最初の企画は・・・全部のプレゼントを売った全で競馬してみたw です!」
〇センター街
〇センター街
〇クリスマスツリーのある広場
子供「どうしたの?」
ホームレス(あの時の・・・)
ホームレス「ちょっとね・・・」
子供「・・・」
ホームレス「どんなに着飾っていても」
私こそホームレス
ホームレス「心は貧しかった」
欲しい物を
人々にあげる存在であるはずの私が
ホームレス「自分自身が何かを欲しがっていたんだ」
彼のおかげで気づく事ができた
ホームレス「人々が私の存在を忘れたのではなく」
ホームレス「私が 人々の本当に欲しい物は何かを 忘れてしまっていたんだ」
ホームレス「ごめんね!」
ホームレス「君に言ってもしょうがないのに・・・ おじさん何してるんだろうね・・・」
子供「ううん! いいよ!」
君・・・
ホームレス「どうしてこんな汚い私に 声をかけたの?」
子供「おじさん寂しそうだったから 元気あげようと思って!」
子供「だって」
子供「良い子にしてないと サンタさんにプレゼントもらえないだろ!」
ホームレス「・・・そうだね」
ホームレス「良い子に ならないとだね・・・」
〇クリスマスツリーのある広場
子供「あ!」
ホームレス「雪・・・」
子供「キレイだね」
ホームレス「うん・・・ こんなキレイな雪 はじめて見たよ」
子供「じゃあ行くね!」
ホームレス「どこに?」
子供「今日はクリスマス! サンタさんは絶対にいるって! しょーめーしに行くんだ!」
ホームレス「私もそれ」
ホームレス「手伝ってもいいかな?」
子供「おじさんも サンタさんいるって信じてるの!?」
ホームレス「ああ」
サンタクロース「私は彼の友人なんだ」
サンタクロースがその立場を離れたことで、これまでの自身を客観視できたのでしょうね。先が全然予測できない展開、楽しませてもらいました。
サンタクロースを信じ続ける、純真な心に応えなくては!
色々と考えさせられる作品でした。
サンタクロースは、入れ替わってもまだ人に対して優しくいられるんですね。素敵です。
最初はコメディだと思ってましたが、考えさせられる話でした。
展開にご注目ください